クローズアップ現代

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2019年7月31日(水)
検証1年 郵便局・保険の不適切販売

検証1年 郵便局・保険の不適切販売

日本中に大きな衝撃を与えている郵便局による「保険の不適切販売」。今月、日本郵便とかんぽ生命保険の社長が謝罪会見を行うなど、郵政グループによる保険販売に問題が生じていたことが、次々と明るみになっている。番組では、昨年4月にこの問題を取り上げた。放送から1年、「問題は改善するどころかむしろ深刻さを増している」という郵便局関係者の告白、トラブルを訴える高齢者やその家族の声も後をたたない。不適切な手法を内部で共有していたことをうかがわせる内部資料も入手。民営化から12年、大きな岐路に立たされた巨大組織の課題をあらためて浮き彫りにする。

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保険契約に関するチェック項目と相談窓口はこちらから
https://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/153/index.html
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去年4月24日に放送した「郵便局が保険を“押し売り”!? ~郵便局員たちの告白~」の放送内容はこちらから。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4121/
また、去年取材した「告白 保険 “不適切営業”の手法」「日本郵便からの回答(全文)」などの関連記事はこちらから
https://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/092/

出演者

  • 田尻嗣夫さん (東京国際大学名誉教授)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学 教授)
  • 武田真一 (キャスター)

激震!郵便局 広がる保険トラブル

郵便局の保険トラブルを訴える男性
「一番は憤りですよね。必要のない(保険)契約をさせられた。」

郵便局の保険トラブルを訴える女性
「考えられないですね、ほんとに。こんなことが世の中にあるんだと思って。」

今、巨大組織の信頼が大きく揺らいでいます。

かんぽ生命 植平光彦社長
「深くおわびを申し上げます。」

不適切な疑いがある保険契約がついに18万件を超えた日本郵政グループ。

かんぽ生命 植平光彦社長
「お客さまに不利益が発生している現状につきましては、直近の調査の内容で判明をしました。」

実は番組では1年前にこの問題を指摘。それを日本郵政グループの幹部にも直接伝えていました。

日本郵便 佐野公紀常務執行役員
「信頼を裏切るような行為が、少なくない数、起こっている。会社として非常に深刻。郵便局に対しての信頼を失ってはいけない。改めないといけない。」

ところが、放送後も私たちのもとには問題は改善されていないという情報提供が後を絶ちませんでした。そして、ここまで膨れ上がった保険を巡るトラブル。なぜ郵政グループはこうした営業を止められなかったのでしょうか。

検証1年 郵便局 保険トラブルの真相

前回の放送から半年たった去年(2018年)10月に高齢の母親が知らぬ間に保険に入れられていたという家族です。

娘 弘美さん
「説明しないで保険に入れられるなんてことが、この世の中にあっていいはずがないっていう、驚がくのひと言ですね。」

ある日、2人の郵便局員が母親の智子さんを訪ねてきました。相続税対策の話がしたいと切り出したといいます。娘の弘美さんも同席し30分ほど話をすると営業で立ち寄ったことを報告するため、こちらにサインしてほしいと用紙を差し出されたといいます。智子さんと弘美さんは疑うことなくサインしたといいます。ところが数日後。家族は身に覚えのない書類の存在に気が付きました。

弘美さんの夫
「保険のなんと契約証書が入っていたと。これとこれで、全部、設計書なんですよ。」

郵便局員が面談後に置いていった資料などの中から保険証券や重要書類が出てきたのだといいます。

弘美さんの夫
「これ出てきたと。置いてったチラシにはさんで全部置いてありましたよ、ということですね。」

この保険は娘の弘美さんが死亡したときに高齢の母親が保険金を受け取るというもの。保険料の総額は10年間でおよそ860万円。月7万円の支払いの8割近くを掛け捨ての特約に充てた設計でした。

不審に思い問い合わせた家族はさらに驚きます。郵便局側が開示したのは保険に同意したとするサイン。報告のためと言われて書いた2人のサインが保険契約に同意したことを示す書類に転写されていました。

娘 弘美さん
「間違いなく私のサインではありましたけれども、その契約書にサインした覚えは一切ないですね。もう青天のへきれきですよね。」

実は、営業の報告のためとサインを促したときに使用されたペンは、もともとかんぽ生命がペーパーレス化を進めるために導入したもの。筆跡をデータとして保存し、そのままほかの書類に転写できる機能が備わっていました。

母親 智子さん
「これは大変なことだなってなった。説明なんて全然聞いていないし、してないんだから。」

家族が抗議して2か月後、かんぽ生命はこの契約を無効としました。理由は、契約者の意向と相違しているためだとしています。弘美さんは、民間の保険会社に勤めていた経験もあり、憤りを抑えることができなかったといいます。

娘 弘美さん
「保険1件とるのに何回も足を運んで説明してやっと(契約)なのに、考えられないですね、ほんとに。こんなことが世の中にあるんだと思って。」

証言が事実であれば、法律に違反する疑いもあるこのケースについて、その認識を問いました。これに対し日本郵政グループは「個別の案件については回答を控えるが、事実であれば厳正に対処する」と回答しています。こうした不適切な営業が続く背景には、何があるのでしょうか。

日本郵便 横山邦男社長
「営業実績を重視するあまり、お客さま視点に立った営業活動を徹底することができておりませんでした。」

1年前の番組で、私たちは現場に過剰な数値目標、いわゆるノルマが課せられていることを指摘しました。ノルマを守るため、やむにやまれず不適切な販売に関与しているという現場職員の声も伝えました。

現役郵便局員
「まともにやってたら絶対無理(な数字)。本当にそれは必要ないと思って売ってるので、だましている。心の中ではごめんなさい。」

これに対して幹部は、保険販売の数値目標を1割削減し業務改善を進めるとしました。

日本郵便 佐野公紀常務執行役員
「営業目標の額を抑えながら、お客さま本位の営業というものをしっかりと浸透させていこうと。」

にもかかわらず、この1年、事態は改善どころかむしろ深刻化しているという郵便局関係者からの声が相次いで寄せられました。現役の郵便局員が匿名を条件に取材に応じました。

現役郵便局員 Aさん
「(状況は)変わってないです。会社で求めている数字が大きすぎますので。」

「不適正な募集なくなると思いますか?」

現役郵便局員 Aさん
「なくならないと思います。」

この局員は、去年の放送後も不適切な保険販売をしていたことを認めました。

現役郵便局員 Aさん
「今あるのをやめて、違う保険に入れるというやり方です。7か月間、ダブってかけていただく。お客さんにとっては、すべて損。」

この局員が明らかにしたのは、今、社会で大きな問題となっている保険の二重払いという手法でした。二重払いとは、もともとあるAという保険契約と新たなBという契約の保険料を二重に支払う状態です。

郵政グループではAを解約し、新たにBを契約する場合には「乗り換え」と見なされます。そのため、販売する局員への手当は新規契約の半分です。ところがAの解約を7か月以上延ばせば、新規契約と見なされ手当を100%受け取ることができるというのです。

現役郵便局員 Aさん
「お客さんには『少しでも長く持っていた方が得だ』と、うそをついて数字と手当が丸々入りますので、今までもやってますし(前回の)放送の後も変わっていないです。」

前回の放送後も不適切な販売が広がっていたことをうかがわせる内部文書も入手しました。これは、今年(2019年)4月かんぽ生命が作成した販売の品質に疑いがある契約を集計したリストです。これを見ると、二重払いとなる疑いのある契約が前年に比べ増えていたことが分かります。

厳しいノルマが後押しする無理な契約。それに管理者である局長までもが加担するケースがあることも分かってきました。一向に変わらぬ組織に危機感を感じる現役郵便局長が情報を提供してくれました。

現役郵便局長 Bさん
「圧をかけられて追い込まれるから(問題は)以前と変わりはないと思います。」

これは、金融庁に届け出が出された不適正募集のファイル。偽造契約。重要な事項を伝えない。保険業法などに違反する悪質な事例を示しています。その発生が頻発しており、去年は22件に上りました。しかも、そのうち4件は管理者である郵便局長が関与したものであることも分かりました。

現役郵便局長 Bさん
「不適正であろうが、なんであろうが、どうしても数字をあげなきゃならないという気持ちにさせられて、苦しい思いをしていると。」

郵便局の不適切販売は、どこまで広がるのでしょうか。

武田:番組には去年4月の放送までに450件余り、そして放送後にはこれまで、550件の情報が寄せられました。そのうち半分は、郵便局の関係者からの情報でした。日本郵政グループは今日(31日)、不適切な可能性のある保険契約が、18万件余りに及ぶと公表しました。さらに、実際に悪質な法令違反に当たる事例が、去年1年間に22件発生していたことも明らかになりました。私たちはこうした問題の具体的な事例について、寄せられた内部情報から取材を続けていました。先ほどご覧いただいたのは、保険の販売を巡る問題だったわけですけれども、それ以外にも問題があるという情報が寄せられています。それは、ゆうちょ銀行が扱う投資信託を巡る問題です。

郵政グループ さらなるトラブルの広がり

これは前回の放送後、私たちが入手したゆうちょ銀行の研修資料です。そこでは、金融商品取引法など法令に違反した証券事故が自社での投資信託の販売で毎年複数回発生していることが記されていました。

投資信託の販売現場で何が起きているのか。ゆうちょ銀行の現役職員が取材に応じました。職員は、投資信託の販売目標が年々上がっており不適切な販売が増えているといいます。

現役ゆうちょ銀行職員 Cさん
「『貯金みたいなもんですよ』『2%増えることもあります』と、マイナスの側面を説明せずに、お客さまに誤認をさせてるってことが多い。」

郵便局やゆうちょ銀行の有志が開いた研修会で配られた文書です。投資信託は貯金商品と使い勝手が一緒。ほかの金融機関と違って負けにくい。郵便局への信頼を強調して販売を促す言葉が書かれていました。

現役ゆうちょ銀行職員 Cさん
「投資信託を『もっと売れもっと売れ』っていう流れになっています。不適正営業っていうのは増えると私は思います。」

こうした実態に対し郵政グループは、ゆうちょ銀行で証券事故が発生していることは事実であり、引き続き、社員一人一人がコンプライアンスの順守を全社を挙げて実施するとしています。
郵政グループ、問題の全容は解明できるのでしょうか。

検証1年 郵便局 保険トラブルの真相

武田:この問題を1年以上取材してきたディレクターの望月さん。前回の放送で私たちは問題を指摘しました。日本郵政グループの幹部も、改善を約束しましたよね。にもかかわらず、こういう事態になっている。この1年の動きをどういうふうに見ていますか?

望月健ディレクター:まず特徴的だったのが、前回の番組のときは、圧倒的に郵便局関係者の方からの声が多かったんですけれども、番組以降は、番組を見てまさかと思って、自分の家族の契約を調べてみたんだけれども、そういうトラブルに巻き込まれていたという声が数多く寄せられました。その中には、非常に深刻、もう本当に不適切というにはあまりに深刻というケースも少なくなくて、例えば、認知症のご両親が、わずか10か月で10件の新規契約をさせられていたとか、あるいはそのお母さんが3年連続で5件の契約に入れられていたと。

いずれも郵便局が契約を無効ということで、認められた契約だったんですけれども、こういったケースっていうのは、本当に郵便局をすごく信頼をしていた家族とか高齢者を、非常に深刻な状況になるというようなことで、本当に人生の大事なエンディングの時期を汚すような状態になっていたというふうに感じています。自分の契約が非常に本当に大丈夫なのかということで心配されている視聴者の方も多いと思うんですけれども、私たち、こういう簡単なチェック項目と、それからその相談先というのを、番組のサイトのほうにまとめましたので、よろしかったら参考にしていただければと思います。

武田:グループの幹部が前回、その保険契約の数値目標を下げるというふうに語っていました。現場に課せられるノルマの圧力、これはどうなったんでしょう?

望月ディレクター:取材した郵便局の関係者の方々からは、基本的には変わっていないんだというような声を、共通して聞いていました。確かに上から悪いことはするなよと、コンプライアンスを守れというようなことは、大変よく言われるようになったんだけれども、一方で、でも数字は上げろよというようなことを言われる中で、つまりばれないようにやれということなのかと非常に憤ってる方が多かったように感じています。

武田:番組で1年以上前に問題を指摘したにもかかわらず、なぜこうなったのかという思いを禁じえないんですけれども、望月さんはどういうことを感じていますか?

望月ディレクター:これ1つの例なんですけれども、今年の4月3日に出された、日本郵便の副社長の管理者向けのメッセージというような文書なんですけれども、そこで前年度を上回る違法な、そういった事例、保険の契約っていうのが発覚したこと。それから局長などの管理者自らの、違法な販売に関わっていたと、それが複数あったんだということを、絶対あってはならないことなんだということで、それを問題視するってことは、きちんと示されているんです。しかし、それがそういった危機感とか本気度が、どれだけの程度のものだったのかというのが、実際には問われているんじゃないかなというふうに感じました。


ゲスト 田尻嗣夫さん(東京国際大学 名誉教授)

武田:経済記者として長年、郵政を取材してこられた田尻さん、かんぽ生命財団という外郭団体の理事長も務められた経験もあって、内部の事情にも非常にお詳しいということですけれども、なぜこの現場で起きていることに、ここまで対応ができなかったんでしょうか?

田尻嗣夫さん:かんぽ株式会社の新規契約者の約半数は、60歳以上なんですね。高齢者っていうのは、非常に郵便局に対して信頼度が高いという特徴があるわけです。それにもかかわらず、今回は逆のことをやってしまったということなんですが、ひと言で言いますと、ガバナンスの欠如、分かりやすく言うと、想像力が欠如していたと。つまり、役員室に届けられるデータとか数字なんていうのは、何も語ってないわけですね。その後ろにある現場で何が起きているのか、お客と渉外職員との間にどういう関係の会話が交わされてるのか、そういうことは何も見えないわけですね。そういうことをやはり理解する努力が、この役員のほうになかったということであろうかと思います。

武田:役員には全く情報は明かしてなかったんですか?

田尻さん:形式主義に陥っているわけですね。

武田:何か手がかりみたいなものはなかったんでしょうか?

田尻さん:かんぽ生命の場合には、5月の取締役会、それから7月の日本郵政の取締役会で、初めて全体のことを知ったというお話があるんですけれども、私の持っている社内資料では、少なくとも3年前から、高齢者苦情という言葉がすでに社内で使われていたわけですね。そういう意味での統計を取ってるわけです。にもかかわらず、それがトップのほうに上がっていなかったとすれば、これは大問題だというふうに思います。

ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授)

武田:宮田さんはどうご覧になりました?

宮田裕章さん:日々新たな課題が浮き上がってくるため、まだ問題の底は見えないんですが、ただ現時点でも少なくとも言えるのは、これだけ規模が大きくなって、さまざまな課題が浮き上がってくると。このときシステムの一部、ノルマの見直しという形で修正しても、やはり課題解決は難しいだろうと。田尻さんがおっしゃるように、ガバナンスを見直さなくてはいけない。実は9年前に、この問題提起、ガバナンス見直しというのは提案されてます。かんぽの宿の売却を巡る一連の不適切な問題で、第三者委員会が設置されて、日本郵政のガバナンス、問題追及じゃなくて、建設的に見直しましょうという提言が出てるんですけれども、実際、この中を見ても、今回の課題、そのまま積み残されていると感じました。やはりわれわれ、一時的にスキャンダルとしてつるし上げるだけではなくて、現実に組織が変わるために、どういったことが必要なのか、そして本当に変われるのか、これを見守っていかなくてはいけないかなと思います。

武田:そして経済部の安藤デスクにも聞きたいと思いますけれども、郵政民営化から12年、郵政グループならではの構造的な課題というのもあるんじゃないでしょうか?

安藤隆 経済部デスク:改めまして、こちら、ご覧いただきたいと思いますが、日本郵政グループは民営化されて、株式を上場もしている。利益を上げて、成長していく必要がある会社です。一方で、法律上、この日本郵便を中心に、郵便ですとか金融のサービスを全国あまねく提供していく、そういう義務があるんですよね。これには相応のコストがかかります。

ですから、このゆうちょ銀行ですとか、かんぽ生命、金融2社にその厳しい郵便事業を支えてもらうような、そういう構図になっています。ですから、この生命保険ですとか投資信託を、郵便局で販売をして、その代わりに手数料を受け取っているという構図があるわけです。かんぽ生命が得意としてきた貯蓄性の保険というのは、歴史的な低金利で魅力は下がってしまっているんですけれども、この金融商品の販売を伸ばしていかざるをえない、そういうことが今回の問題にも影響しているとはいえると思います。

武田:そうしたグループ内の持ちつ持たれつの関係が、今回のこの不適切な営業の根底にあるのではないかという証言もかんぽ生命の元幹部から得られました。

元かんぽ生命 幹部
「郵便局会社はあまり不祥事を表沙汰にはしたくない。『不適正募集(契約)とするならば目標やらないぞ』という主張をしてくる。かんぽ生命としても目標は達成してもらいたい。そうなると、ほんとにガバナンス守れるのと。」

武田:ということなんですけど、グループの目標達成が優先される中で、顧客の利益が顧みられていないんじゃないかということが、今の発言からもうかがえるんですけれども、田尻さんはどういうふうにご覧になりましたか?

田尻さん:ひと言で言いますと、現場力の低下だと思います。これは組織の問題なんですけれども、新しいルールや、コンプライアンスに適したルール、ルーティンワークが導入されるわけですね。そういう場合に、それを守ってさえすれば大丈夫だという、あるいはそれを、どうくぐり抜けるかという潜り方を、この現場のほうが考えてしまうというふうになってしまって、お客がどっか行っちゃうわけですね。そういうやはり、コンプライアンスの問題が、個人で考えさせるという、感じさせる、そういう思いやる心っていうのを失ってしまっていることが、非常に大きな問題だと思います。それから、銀行業界とか証券業界は、投資信託の回転売買とか保険業界の不正な販売っていうようなことについての経験は、20年前からさんざん苦労しているわけです。そういうことに学ぶ謙虚さを、やはり持たないといけないというふうに思います。

武田:安藤さん、一連の問題を受けて、今日まさに郵政グループのトップが記者会見を行いましたけれども、どんなことを語ったんでしょう?

安藤デスク:日本郵政の長門社長をはじめ経営3トップ、改めて会見で陳謝をしました。会見の中身ですけれども、大きく3つポイントがあったと思っています。なぜ問題がここまで拡大してしまったのか、そして背景にあったノルマの問題、どう受け止めているのか、そして、一番大事な顧客への対応を今後どうするのか、こういった3点についてまとめました。

<なぜ 問題ここまで拡大?>

かんぽ生命 植平光彦社長
「1年前、あるいは2年前から、この品質全般について総合的に網をかぶせて対策をうってきた。それだけでは十分でなかったと大変反省しております。」

<背景にあったノルマ>

日本郵便 横山邦男社長
「今般の事態を招いたそもそもの要因が貯蓄性商品の魅力の低下等におきまして、これまで通りの営業が困難になったにも関わらず、組織マネージメントを状況に応じて変えることができず、営業目標が新契約の獲得に偏っていた点にある。」

<顧客への対応>

日本郵政 長門正貢社長
「著しく、お客様の期待を裏切ったし、ブランドイメージを損なってしまったと感じております。大変、責任を痛感している。ならばこそ、なるべく早く回復できるように、同僚に申し訳ないんだけど、全力を尽くして頑張ろうと。簡単に前のイメージには戻らないと思いますけれども、一刻も早く戻すべく、現在のたすきをつなぐというのが、われわれの仕事と思います。」

安藤デスク:会見でのポイント、また改めてまとめましたけれども、届かなかった声ということで、契約者の声、そしてノルマが厳しいといった内部の声、いずれも十分に経営陣に届かず、それが危機意識の欠如につながったと。その意味で、経営の責任というのは重いと思います。そして、ノルマですけれども、抜本的に見直す、具体的には今年度は廃止する、そして来年度以降は、新規契約の獲得ということではなくて、契約がどれだけ維持されているかといった観点で見直していく方針が示されました。そして、一番大事な顧客対応ですけれども、不適切な販売の疑いがある18万件だけではなくて、3,000万件という、このすべての契約を対象に、顧客に不利益がなかったか検証していく、そして9月にも中間報告がされるという姿勢が明らかになりました。

武田:そして、金融庁の対応ですね。

安藤デスク:監督官庁としての金融庁ですが、やはり金融庁も、この問題は個々の販売局員の問題ではなくて、組織の問題だと受け止めています。なぜ、これほどの問題の拡大に至ったのか、今後、秋にも立ち入り検査を行うなどして、問題が確認されれば、行政処分を行うと、厳しい姿勢で臨む方針です。

武田:日本郵政グループ、今後、どうしていくべきなのか、田尻さんはいかがですか?

田尻さん:海外の例を見ましても、大体、郵政民営化の10年前後から、こういうマイナスの現象が次々表面化しているわけですね。同じことが言えるわけでありまして、そういう意味では郵政民営化、12年になるわけですね。このあたりで根本的な問題を考えてみる必要があろうかと思います。いわゆるユニバーサルサービスというのは、郵便局の数の問題ではなくて、そのサービスの水準、基準の問題だということを、より明確に考え直す必要があると。今、郵便サービスの、配達の問題が継続中ですけれども、秋にはひょっとしたら表面化するかも分からないということだと思います。

武田:宮田さんはどうでしょうか?

宮田さん:今回、問題が表面化する前から、義憤を感じて、地域に貢献したいという思いでNHKに声を寄せてくださった方が郵政内部にいるということだったり、省庁ともディスカッションしたんですけれども、金融庁や総務省はこの問題が解決できなければ監督省庁としての存在意義はないという覚悟を示しています。こういった方々には非常に敬意を感じますが、ただ、郵政というのは、非常に巨大な組織です。時にはこういった志を飲み込んでしまうので、やはり1人の人が、一部の人が一時的に頑張っても、問題は解決しない。民営化っていうのは、まさに選挙で、国民が選んだ、こういったイシューですので、われわれ社会全体としても志のある内外の人たちが、どういった形で取り組めるのか、これを応援して見守っていくべきかなというふうに思います。

武田:そして、取材した望月さんは?

望月ディレクター:本当の顧客本位というのはなんなのかというのを考えていただきたいなというのは思います。特に高齢者へ向けた保険の販売というのは、売り手と買い手には圧倒的な情報の格差というものがありますから、本当にお客さんにとって何がベストなのかというのを考えた対応というのをやっていってもらいたいなというのは、すごく思います。

武田:今日の会見でも、真の顧客本位を目指すと言っていたこの日本郵政グループ。どう変わっていくのか、引き続き取材を続けていきたいというふうに思っています。