クローズアップ現代

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2019年6月13日(木)
あなたは“脂肪味”を感じますか?
最新研究!味覚が健康を左右する

あなたは“脂肪味”を感じますか?
最新研究!味覚が健康を左右する

去年、九州大学のグループが、脂肪に反応する舌の味蕾(みらい)細胞から脳に味を伝える「神経」を発見。甘味・酸味・塩味・苦味・うま味に続く“第6の味覚”として注目される。これが鈍くなると、肥満傾向になるとする研究もある。実は味覚は栄養を感じとるセンサー。健康を左右するという。病院が実施する、高血圧患者などの「塩味」の感度を上げる「味覚療法」や、行政と歯科医師会などが連携して、子どもの味覚を育てる「味覚教育」などの取材を交え、急速に研究が進む「味覚と健康のメカニズム」を掘り下げる。

出演者

  • 安松啓子さん (東京歯科大学准教授)
  • 三國清三さん (仏料理シェフ)
  • 武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)

健康を左右!?あなたは敏感?鈍感?

武田:皆さん、“脂肪味”という味覚、ご存じですか?甘味・塩味・酸味・苦味・うま味、これらに加わる、第6の味覚です。去年(2018年)特定されました。

動物性の脂や、植物性の油で感じられる“脂肪味”。栗原リポーターそのお味は?

栗原:クリーミーさ、まろやかさが残る。

実はこの“脂肪味”、感じられるかどうかは個人差があるというんです。

被験者
「全然わかんない。」

ちょっと待って、笑い事ではありませんよ!“脂肪味”に鈍感だと、生活習慣病のリスクが高まると指摘する研究者もいるんです。

オーストラリア ディーキン大学 教授 ラッセル・キーストさん
「“脂肪味”に鈍感な人は、脂肪をとり過ぎてしまう危険がある。肥満や、それに関連した脳卒中、心臓病、糖尿病などの病気につながる可能性がある。」

あなたは“脂肪味”を感じますか?心配になってきた皆さん、セルフチェックや対策をとことんお伝えします。

去年10月、世界に先駆け、“脂肪味”のメカニズムを解明したのは、九州大学の研究グループです。私たちの舌にある味蕾(みらい)。味をキャッチする器官です。

味蕾には、甘味や酸味など、5つの成分を受け取る細胞があり、それぞれの味覚を脳に伝える神経とつながっていることが分かっていました。今回、“脂肪味”を脳に伝える神経が、新たに発見されたのです。

人間にとって“脂肪味”とは?

九州大学 特任教授 二ノ宮裕三さん
「(脂肪味は)我々の体が必要としている栄養素を過不足無くとる。健康維持するために不可欠な感覚であるといえる。」

アフリカで誕生した人類。動物の脂肪は貴重な栄養素でした。それをキャッチするために“脂肪味”を感じるようになったというのです。ところが、オーストラリア、ディーキン大学の研究により、“脂肪味”の感じ方には個人差があることが分かってきました。更に、鈍感な人ほど、肥満や生活習慣病のリスクが高くなると指摘されています。そこで…。

「“脂肪味”大実験!」

今回、番組では、20代から50代の男女30人に協力してもらい、脂肪味の感度を調べました。使うのは、油の一種、オレイン酸が入った溶液。薄いものから濃いものまで4段階の濃度を用意しました。脂肪味を感じる濃度によって、超敏感から超鈍感まで感度を判定するのです。

一番手は栗原リポーター。においに惑わされないために鼻をふさぎ、3つのカップの溶液を味わいます。オレイン酸入りの溶液は1つだけ。それを当てれば脂肪味を感じたことになります。

さて、栗原さん、いかがですか?

栗原:3番が違う味がした。

「正解です。超敏感な、お方です。」

栗原リポーターは超敏感。では、ほかの皆さんはどうでしょうか?

栗原:それでは正解は3番です。上野さん、間違えました。

悔しそうな表情を浮かべるのは、32歳の上野さん。もっと濃い濃度では、どうでしょう?

栗原:正解は2番です。

上野太一さん
「全然、わからなかった。さっきより全然難しい。」

結局、全て分からなかった上野さん。超鈍感となってしまいました。

上野さん
「何を感じ取ったらいいか、わからなくて、迷走しています。」

テストの結果はご覧のとおり。30人中10人が「やや鈍感」から「超鈍感」と判定されたのです。

新村広生さん
「自信なくなっちゃいました。(自信は)あったんですけど、ここまで外れちゃうと心が折れる。」

近藤リサさん
「わからないのはショックなので、わかるようになりたい。」

一体なぜ、10人の方は“脂肪味”に鈍感だったのか。そして、テレビの前の皆さんが“脂肪味”の感度を知る方法は?このあと、たっぷりとお伝えします。

栗原:あの実験で使った溶液を、今日はスタジオにも用意しました。3つありますけれども、どれか1つにオレイン酸が入っているので、武田さん、当ててみてください。

武田:じゃあ、いってみたいと思います。
すいません、全然分からないです。本当に。全く分からない…。これかな?

栗原:正解は真ん中。
ということで、武田さんは鈍感ということになります。

ゲスト 三國清三さん(仏料理シェフ)

武田:本当に全然分からないんですけれども、日本を代表するフランス料理のシェフである、三國清三さんにちょっと味見をしていただこうと思います。

三國さん:あっ、全然違いますね。味の厚み、まったり感、はるかにこっちが純度が高いです。

なぜ鈍感に?カギは脂肪の継続摂取

ゲスト 安松啓子さん(東京歯科大学准教授)

栗原:“脂肪味”のメカニズムを解明して、実験の監修もしていただきました、安松啓子さんと共にボードを使って、ご説明してまいります。私は結構、うま味、甘味、そういったことも感じたんですけれども、メカニズムとしてはどういうことなんですか?

安松さん:それは非常に研究結果と合っていまして、甘味の細胞、そしてうま味の細胞につながる神経も脂肪酸に反応するということが分かりました。

そして脳に伝わる時には、甘味として、うま味として伝わる。こっちも同時に起こっているんですね。

武田:ただ、不思議だったのは、“脂肪味”の感度に個人差があるわけですよね。これはなぜなんでしょうか?

安松さん:個人差があるのは、脂肪をいかに続けてとったかというのが分かれ目になります。継続摂取すると脂の味に鈍感になるんですね。

武田:でも僕、そんなにとってないと思うんですけれども、やっぱりとっているんですかね?

栗原:今回、安松さんにリスクの要因を挙げていただいて、セルフチェックを作っていただきました。

「1日2食、揚げものを食べることがある」「肉は脂がのったものが好き」「しょうゆラーメンより、とんこつラーメン」などなど、この中で2つ以上チェックがありますと「鈍感」の可能性があるということなんですが、いかがでしょうか?

武田:私は4つ当てはまるので…。

安松さん:当たっていますね。

武田:脂を継続してとることで“脂肪味”が鈍っていく。これはどういうメカニズムなんですか?

栗原:いろいろな可能性があるということなんですが、まずは「舌の“脂肪味”を感じる細胞そのものが衰える」、そして「脂肪味を抑制するホルモンが分泌されて感じる細胞を鈍らせる」、「脳の脂肪味を感じる部分が脂肪味に慣れてしまう」ということが考えられているんですね。

安松さん:あくまでも仮説なんですけれども、この3つの可能性があると思います。

武田:そうすると体にはどんな影響が出てくるんですか?

安松さん:「この揚げものおいしかったのに何か物足りないな」ということが起こると思うんですね。そうすると、つい油ものを次々にとってしまう危険性があります。そうすると、食べ過ぎになってしまいますよね。

武田:三國さん、脂肪の味はある種、中毒性と言いますか、病みつきになる感覚はありますよね。

三國さん:そうです。ほかの5つの味覚よりも圧倒的にパワーがあるんですよ。ですから、脂を常に摂取すると、ほかの5つの味が薄く感じる。なので感じにくくなるわけです。

武田:そうかあ、だんだん不安になってきました。

栗原:そこで我々は、安松さんの監修の下、脂肪味の敏感さをどう取り戻すのか検証しました。

敏感さを10日間で改善?結果は!?

ご協力いただいたのは、鈍感と判定されたうちの9人。

「揚げものをやめ、焼きものや蒸しものにする」「脂身の多い肉はやめ、鶏のむね肉や白身魚にする」など、6つのポイントを実践することで、日常の食事から脂肪を減らしてもらいました。

実は、味をキャッチする味蕾は、10日ほどで生まれ変わると言われています。その間できるだけ脂肪を減らすことで、新しく生まれた味蕾の感度が上がると考えられているのです。

皆さんのやり方をちょっと拝見。超鈍感と判定された上野さん。お昼ごはんを買いにやって来たのは、職場近くの総菜店です。

上野さん
「これもおいしそう。こういうの中華料理店でも食べます。チャーハン、チンジャオロースー、ラーメン。」

これまでは、脂が多い中華料理や揚げものを選んでいましたが、この日選んだのはサバ弁当。焼きものを選びました。

上野さん、何か変化は感じますか?

上野さん
「気をつけてるせいかもしれないけど、甘味と、塩味と、梅干しの酸味が、鋭く感じるような気がしてしまっている。」

同じく、超鈍感と判定された新村さん。

新村さん
「背脂、のってますね。おいしいんすよ、脂っぽいから。」

これまでの夕食はラーメンや牛丼などが多かったといいます。

新村さん
「深夜に食べると、おいしいじゃないですか。わかっちゃいるけど、みたいなところはあります。」

しかし今は我慢。できるだけ自炊して食事を改善しようとしています。

新村さん
「これも皮とっちゃえば、ほぼ赤身っぽい肉になるんで、完璧かな。」

この日のメニューは、鶏むね肉とナスの炒めもの。油も控えめにして、ポン酢で味付けです。何とか脂肪の味を見極められるようになりたいと、意気込んでいます。

こうして、10日間の改善生活に挑んだ皆さん。再び、脂肪味のテストを行いました。

さて結果はどうだったのでしょうか?

栗原:正解は、3番です。

2人とも一番低い濃度で正解。超敏感になっていました。

栗原:どんな味ですか?

上野さん
「ひたすらにちょっと気持ち悪いというか、まずいというか、何か分かんないです。何が分かっているか分かんないですけれど、何か分かった気がします。」

新村さん
「満足せず、更に高めていくだけだと思うんですけど…。」

栗原:アスリート的思考に変わってきますよね。

新村さん
「そうですね。やっぱ変わったなって分かったんで、まだいけるなと思います。」

結果、敏感になった人は9人中3人。一方、6人は鈍感のまま。一体何がこの差を生んだのでしょうか?

敏感さ 改善する・しないを分けるのは

武田:皆さん、同じように気を付けていらっしゃったと思うんですけれども、なぜ差が出てしまうんですか?

安松さん:今回の皆さんのアンケートを基に調べたんですけれども、2つパターンがありまして、1つ目は、BMIが25以上の方。肥満のカテゴリーに入ってしまっている人は、低脂肪食にしても、なかなか敏感にはならなかったんですね。

脂肪細胞から「レプチン」というホルモンが出てくるんですけれども、それは甘味とかのおいしい味を抑制しますので、脂肪の味もそれで抑制されている可能性があります。それともう1つは、朝食とかを抜いていらっしゃる方が残りの方だったんですね。

栗原:改善しなかった方は、朝を抜いている。昼はカレー。そして夜にはヨーグルトだけ。こういう結果なんですが、安松さん注目したのは、まさに朝と夜の食事です。

安松さん:朝なしで、夜のヨーグルトもはっきり言って、成人男性としてはカロリーが全然足りていませんよね。お昼の1食のカレーがメインの食事になっていますけれども、完全に彼は飢餓モードに入ってしまったと思います。

武田:飢餓モード?

安村さん:飢餓モードです。危機を感じて、いろんなホルモンが動員されるんじゃないかと。その中のホルモンがやっぱり作用しているんじゃないかなというふうに仮説が立てられました。鈍化するメカニズムとしては、とり続けることだけじゃなくて、栄養素が足りていない時も鈍感になっているということが分かりました。

武田:三國さん、味覚を豊かにするために、どんなことに心がけて毎日のメニューを考えればいいんでしょうか?

三國さん:やっぱり自然のものをなるだけ使うっていうのはすごく意識しています。味蕾がちゃんとそれに応えてくれるので。

武田:そうすると、一番強い脂の味だけじゃなくて、ほかの味も大事にする。

三國さん:そう、バランスよくね。一番分かりやすいのは、例えばワインとか、甘い、酸っぱい、しょっぱい、苦い、うま味と全部あるんですが、バランスよく配合されて初めて、我々はスムーズに「ああ、飲みやすいな」「おいしいな」。ですから脂も一緒で、その6つの味覚って、脂だけが突出しちゃうと、ほかの味覚を感じづらくなっちゃうんです。

“脂肪味”以外の味覚については、私たちの健康との深い関わりが分かってきています。

味覚の改善で病気を治療 効果が…

こちらの病院では、味覚の改善で病気を治療しています。

木村勝敏さん、63歳。塩味の感度が落ちていると診断されました。

看護師
「何か味がしますか?」

木村勝敏さん
「甘いのかな、これ。」

塩味のついた、ろ紙を濃度の低いものから順に舌にあて、どの濃度で正確な反応をするかを見たところ、正常な人なら2段階目までに反応しますが、木村さんは6段階目でやっと塩味が分かりました。

慢性腎不全の木村さん。塩味が鈍っていることで、塩分の強いものを好んで食べてしまい、余分な水分を摂取していました。そのため、腎臓に負担がかかり、体の老廃物をうまく排出できませんでした。

木村さん
「症状でいうと、二日酔いの朝みたいな。ああ体だるいな、かったるいな、仕事に行くのも、おっくうだなっていう感じ。」

木村さんが受けたのは、9日間入院して、3食で塩分6gの減塩食をとる治療。

塩サバにもしょうゆをかけるほど濃い味が好きだった木村さん。当初は味を感じなかったといいます。しかし退院前日には…。

木村さん
「白菜自体の味がわかるし、今までだったら“これに、またしょうゆ”という感じだった。今はこれでも十分食べられるようになった。」

味覚の改善に伴って、腎臓の状態にも変化が見られました。

看護師
「これが入院する前。これ今日。尿素窒素ってBUNがやっぱり良くなってる。」

腎機能が低下すると、うまく排せつできない尿素窒素の値が下がり、改善していたのです。同様に、塩味感度の低下による症状の悪化が見られたのは、高血圧患者や急性心筋梗塞患者。これらの病気の治療にも塩味感度の改善を取り入れています。

更に塩味以外の味覚、うま味や甘味など、ほかの味覚についても検査することで、早期の治療や予防につなげようとしています。

山陰労災病院 医師 水田栄之助さん
「甘味に鈍い人は、あまり野菜を食べてないことが分かってきました。更に、うま味に鈍い人は、甘い物が好きで、かつ肥満の傾向があるということが分かってきました。1つずつ、日常診療のヒントになるんじゃないかなと思って、更に追究しているところです。」

注目される味覚と健康の関係。このあと更に詳しくお伝えします。

三國流!健康食のコツ

武田:三國さんは病院食の監修もなさっているということですけれども、味と病気の治療って、こんなに密接に関わっているんですね。

三國さん:「医食同源」という言葉があるように、いち早く病気を治すには、やっぱり食事治療が一番最初なんですね。じゃあ、どういうふうにするかって、まず素材選び。野菜でも、ちゃんとした土壌で作ったものは、それだけでおいしいし、あとは昆布とカツオで、お塩を一切入れませんから、それでもううま味がありますから、それで調理してあげると、お塩はほとんどいらないです。

舌→脳→消化器 驚異の連動

栗原:なぜ味覚改善が体全体の健康につながるのか。
そもそも味覚というのは、どんな食べ物が体に入ってきたか最初に感じるセンサーの役目なんです。甘味は、エネルギー源の元となる「糖」。塩味は、「ミネラル」。酸味は「腐敗物」。

その情報が脳に伝わりますと、消化器官の準備が促されます。だから味覚が正常になりますと、連動して消化器官にいい影響が出るということなんですね。

安松さん:甘味に関しては、味覚で甘味を感じただけで、脳で「脳相分泌」という現象が起きます。それを感じただけでインスリンがすい臓から出てくる。そして、腸で吸収された糖分が、速やかにインスリンによって細胞に取り込まれますので、食後の血糖値の急上昇がないということなんですね。

栗原:“脂肪味”でいうとどうでしょうか?

安松さん:脂肪は「脳相分泌」で、すい臓でリパーゼが作られていますけれども、それが準備されると。

武田:つまり、しっかり味わって食べるというのは、味覚によって、体に食べ物や飲み物を受け入れる準備をさせる。

日々の食生活がカギ

正常な味覚を保つためには、日々の食生活が重要だと、専門家は指摘しています。

東北大学 名誉教授 笹野高嗣さん
「味覚というのは、日常の食生活の中で変わる。『朝食を食べない』あるいは『急いで食事をする』。味に関しては、非常に辛いものとか、刺激的な味の濃いもの、いわゆるジャンクフードを日常、食べている。本人が気づかないままに、だんだん味覚障害が進行して重篤になっていく。」

幼いころから味覚を育てようという取り組みがあります。幼稚園や小学校を対象に歯科医師などが行う、味覚教室。味付けをしていない野菜を食べてもらい、素材が持つ繊細な味覚を感じ取れるようにするのが狙いです。この日は、キャベツと白菜の味の違いを体験。味覚だけに集中できるように目隠しをしてもらいます。

「両方食べ比べてごらん、どこが違うかな。」

園児
「(白菜は)ちょっと苦い。」

「これ(キャベツ)少し長くかんでごらん。お口に入れて、たくさんかんで。」

園児
「甘くなってる。」

「ちょっとずるかんでいくと、だんだん甘くなってくるんだよ。」

甲府市歯科医師会 会長 武井啓一さん
「味覚をしっかり知ることによって、おいしさを広げていく。好き嫌い無くというのが、小さいころからやらないと、大人になってから変えるのは大変。」

味覚教室に参加していた、池田爽八くんの家を訪ねました。姉の絆七ちゃんも2年前に味覚教室に参加。苦手なにんじんも食べられるようになったといいます。

母 美貴子さん
「どう?どんな味。」

絆七ちゃん
「甘いのと苦いのがまざって、おいしい。」

母 美貴子さん
「『まずい』と思っていた中に、1個でも『おいしい』ところを気づければいい。」

皆さん、日々の食事の中で味覚を意識していますか?

武田:毎日、味を大切にして生きるためには何が必要なんでしょうか?

安松さん:よくかんで食べることをお勧めしたいですね。よくかむと唾液がたくさん出るんですよ。たくさん出た唾液の中に消化酵素が入っているじゃないですか。そこで分解されて栄養素が初めて味覚になるわけです。しっかりかんでもらいたいなと。

三國さん:何回ぐらいかめばいいですか?

安松さん:最低30回。

三國さん:30回!?かめますかね。

安松さん:しっかりかんで味わっていただきたいなと思いますね。

武田:その1つ1つの料理や食材をじっくり味わうことは、この忙しい毎日の中ではなかなか難しいじゃないですか。

三國さん:それを毎日じゃなくて、ひと月に一遍、1週間に一遍、毎日であればいいですけれど、本当に1年に一遍でもいいです。そういう体験をすると、ちゃんとよみがえりますので。

武田:三國さんご自身も味覚に関する食育教育なさっているということですけど。

三國さん:その目的は、子どもたちのそれによって心、気持ちを育むんだと、豊かにするんだというのが本質なんです。例えばピーマンが嫌だ、トマトが嫌だ、キュウリが嫌だという子どもがいるじゃないですか。必ず農家に連れていくんです。そうすると、農家のお父さんとお母さんが一生懸命作ってね、ピーマンとか。その生のままのやつを僕がピーマンとか食べてあげるわけです。子どもたちもそれをまねして、今まで食べられなかった子たちは全員食べます。体験ですよね。その食べ物と心と気持ちが一致した時に、初めて本当においしいと思って食べます。

武田:食に関する体験を積み重ねることで、味というものをしっかり意識するようになる。

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