クローズアップ現代

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2019年5月8日(水)
アーバン・イノシシ物語 ワシらが都会を目指すワケ

アーバン・イノシシ物語 ワシらが都会を目指すワケ

都市に突然イノシシが現れ商業地や住宅街を暴走する。そうした現象が全国で相次いでいる。通勤途中の会社員が体当たりされて咬まれたり、バイクと衝突する死傷事故なども続発。国の調査ではイノシシの生息数は30年で3倍に増え、全国41の都府県で市街地に出没するようになっていた。一体何が起きているのか。取材を進めると、私たち日本人の行動や社会構造の変化と深く関わっていることが分かってきた。視聴者がとらえた映像を徹底分析し、イノシシの都市進出の深層に迫る。

出演者

  • 石井光太さん (作家)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学教授)
  • 武田真一 (キャスター) 、 高山哲哉 (アナウンサー)

衝撃映像!アーバン・イノシシ暴走 東京へも

朝の通勤途中でした。

「危ない、危ない。」

さらに学校や…。

「やばい、やばい。逃げろ、逃げろ。」

コンビニ、町の商業施設でも。

「下がってください、下がってください。」

今、山から離れた市街地に、突然イノシシが現れる現象が全国で相次いでいます。

神戸市鳥獣相談ダイヤル
「イノシシの目撃でございますね。何区でご覧になりましたか?
大学の寮の前でイノシシに出会って、近くのコンビニエンスストアに逃げて。」

イノシシの数は、平成に入って3倍にまで増えたとも言われ、全国41の都府県で都市への出没が確認されるまでに。

人と接触し、死傷事故も続出。東京都心にも、ひたひたと迫りつつあります。都会に進出し始めた、アーバン・イノシシ。

武田:私たちを取り巻く環境に、今一体何が起きているのか。視聴者が捉えた映像などから検証します。

「(イノシシが)あそこぐるぐる回っている。」

去年(2018年)福岡市で撮影された動画には、アーバン・イノシシの特徴が克明に記録されています。

「うぁ。」

「危ない、危ない。」

人間に体当たり。両足を噛み大けがを負わせました。一部始終を目撃した、長坂奈津江さんです。

長坂奈津江さん
「男性の方もすごい『あー』みたいな感じで大声出されて、それですごいんだな。恐怖でした。」

本来、野生のイノシシは人を警戒し、自ら近づくことはないとされています。ところが…。

長坂奈津江さん
「(男性が)倒れて(イノシシが)逃げるかと思ったら、また攻撃して、かみついた。すごい落ち着きがない様子だった。」

他の場所で撮影された動画からも、都会に現れたイノシシは、人に積極的に向かってくる様子がうかがえます。

イノシシはこの時、パニック状態にあると専門家は指摘します。

農研機構 研究員 江口祐輔さん
「都会だと迷ってしまうことがある。そうなると、どうしたらいいか分からなくなってパニックになる。慣れていない場所で、慣れていない人間に遭って、あっという間に気が動転してしまって、暴れ回ってしまうことも考えられる。」

パニックに陥ったイノシシが襲いかかってくるとどうなるのか。動物の運動能力を研究する、濱部浩一教授です。

2年前、道路などへの侵入を防ぐ柵の開発のため、野生のイノシシを分析しました。注目すべきは、そのスピードと衝突のエネルギーです。体重70キロのイノシシが僅か2秒で時速24キロにまで到達。

鉄製のフェンスは瞬時に変形。

更に…。

日本獣医生命科学大学 教授 濱部浩一さん
「もし狙われたら、まずよけきれない。最初に体当たりを避けられたとしても、かすっただけでも、かなりのダメージを食らう。上の牙が、横に向いている。かすった時にざくっと切れる。」

パニックに陥ったイノシシの強烈なスピードと破壊力。去年、静岡や福岡、兵庫など全国で、暴走したイノシシがバイクと衝突する事故が頻発。死者も出ました。
都心から30キロ圏内、人口11万の埼玉県ふじみ野市です。

ここでも6年前、住宅地にいきなりイノシシが出現。暴走したあげく、小学生に噛みつき、けがを負わせました。半径20キロに山はなく住宅や商業施設が混在する町。どこを通ってきたのか、大きな謎でした。その謎を解くため、今回イノシシの生態や行動に詳しい2人の専門家と現場を歩きました。2人が注目した場所がありました。

農研機構 研究員 江口祐輔さん
「こういったところ、狭いところ通るの大好き。」

町を縦横に走る用水路。

江口さん
「こういった所を伝って、いろんな所から、ちょっと気が向いたら外に出る。」

用水路の近くでは、目撃証言も得られました。

埼玉県農業技術研究センター 古谷益朗さん
「向こうに行ったんですね。」

目撃者
「そうです。」

古谷さん
「こっちの方が本流というか川に近い。」

目撃者
「鴨川につながって、鴨川が荒川につながっている。」

専門家と、その荒川に向かうと…。

古谷さん
「江口さん、この辺もなんか下に敷いている。」

河原には、イノシシの寝床のようなものもありました。

取材班
「これのことですか?」

古谷さん
「葉っぱが下にありますよね。この形で下にそれだけ落ちるというのはおかしい。何かが意図的に下に敷いたみたい。」

実際この6年間、荒川沿いでは、ふじみ野市以外の場所でも多くのイノシシが目撃されていました。

古谷さん
「川を伝って海までというのは、日本中どこでもおきていますので、時間はかかりますけども、確実にやってくると。」

一級河川をいくつも抱える東京も例外ではありません。近年、目撃情報が増え始めているのが、多摩川の周辺です。これはあきる野市の住宅街とみられる場所で撮影されたもの。

府中市ではイノシシが朝の通勤電車に激突。交通にも影響を与えています。

都内に進出したイノシシ。行政などから対策を請け負う民間企業が、生息域の詳しい調査にあたっています。この日、都心から30キロ西、昭島市の多摩川河川敷で、ドローンによる観測が行われました。早速、生き物の反応。

「ウサギかな。」

違う動物でした。そして、調査開始から20分。

「動いた。これはイノシシぽいですね。たぶん2頭います。結構デカいですね。」

イノシシは、調査ポイントから僅か20メートルほどの河原に潜んでいました。

自然環境コンサルタント会社 佐々木孝太郎さん
「これだけ近くにいるのは驚きました。多摩川を通って、下流のほうの市街地へ、いきなり(イノシシが)出てくることはありうる。」

もしかしたら、あなたの周りにも?

ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学教授)
ゲスト 石井光太さん(作家)

高山:見てください。これは本物のイノシシの剥製です。体長が1メートル50センチで、推定体重は80キロ。5歳ほどと言われているんです。

武田:これは大きい方なんですね?

高山:山で捕獲されたものの中では結構大きいんですけれど、都会に現れるイノシシはこの一回りも二回りも大きいものが出没しているんです。

宮田さん:これが2秒で加速してくる。

石井さん:牙が思ったよりも鋭いですよね。完全に刃物ですよね。

武田:このイノシシの大きさ、原付バイクぐらいありますよね。

高山:体重も80キロですから、ぶつかった衝撃はまさに原付バイク。

武田:宮田さんは、このアーバン・イノシシの恐怖をどういうふうにご覧になりますか?

宮田さん:例えば今、中部地方で豚コレラが非常に猛威を振るっていると。その中で、原因が何かはまだ特定されてはいないんですが、この野生のイノシシに既に感染は確認されていて、対策を難しくしている。これは恐らく間違いないだろう。

武田:対策を難しくしている?

宮田さん:豚を殺処分したとしても、イノシシが野生に放たれていて、豚コレラが100頭単位で確認されているので、「じゃあ、そのイノシシをどうするんですか?」と。「ワクチンを食べさせますか?」「食べに来ません」みたいな、こういうような課題が既に出ています。

武田:単純にイノシシに人がぶつかって危ないということだけではなくて、いろんな脅威が考えられる。

高山:とにかく今、イノシシの数が増えています。都市、山に限らず、専門家が「増えている」という実感をおっしゃるんですが、環境省も3年前のデータ推計で89万頭イノシシがいると発表しています。数字で言うと、1990年代から3倍に増えているんです。

増加の理由ははっきりと分からないそうなんですけれども、温暖化なども原因ではないかと話しています。これまで目撃証言が少なかった東北・北陸でも目撃されるようになっているということです。

武田:イノシシが川を伝って都会まで生息域を広げている。専門家の話では、東京の市街地、もしかしたら都心まで、その生息域が広がるかもしれないという指摘もありましたけれども、石井さんはどういう脅威を感じていますか?

石井さん:先ほどのVTRで語られた脅威というのは、あくまでも人間から見た目線だと思うんですね。つまりイノシシがやってきて、生活を脅かされる。でも、イノシシの立場に立ってみた時に、彼らはどこを歩いていいか分からなくて、迷ってパニックになってしまっている。そこに人間がやってきた。自分の身を守るために必死になって戦わなきゃいけない。そう考えてみると、人間が追い詰められているというよりも、むしろイノシシが追い詰められているんじゃないか。そういった目線は必要なんじゃないのかなと思いますね。

アーバン・イノシシ物語 ワシが都会へ出る理由

人間どもの話は尽きぬようじゃが、そもそもワシらがなぜ都会を目指すのか、それは人間の行動と深く関係しておるのじゃ。
ワシらの仲間が既に定住まで始めている神戸市。

住民
「イノシシそこのローソンにいることある。もうそりゃ相当大きい。怖いです。そこ通れないから裏から回って帰るとか。」

「主人がワンちゃんの散歩している時に出会って(イノシシが)向かって来たんで、犬に。やっつけようと思ったら、牙がひざに刺さって、ばい菌が入ったんで入院した。」

市内で人と出くわすのは年200回以上。悪さをする仲間もいるので、民間の警備員がほぼ毎日パトロールしておる。

警備会社 多田建三さん
「たくさんありますね。踏まれた跡なんですけど、あれは確実にイノシシのフンの跡。ひょっとしたら空き地の所でも、どこか(イノシシが)隠れている場所があるかもしれない。」

なぜ、ワシらがこの都会を気に入ったかって?それを研究する横山真弓教授が、ワシらの仲間を捕らえ、ふだん何を食べておるのか調べたところ…。

兵庫県立大学 教授 横山真弓さん
「アメの(包み)紙ですかね。これはお弁当を食べてしまって、その中に入っていた仕切りですね。」

これは市内で捕らえられた、ワシらの仲間。体重は通常の3倍、160キロもあったんじゃ。

横山さん
「通常イノシシというのは、ミミズとか土壌性の昆虫ですとか、木の根っこ、草の根っこなどで体が大きくなれる動物なんです。野生ではないような高カロリーな食物を一度食べてしまうと、麻薬のようにやめることができない。そういう状況に陥ってしまいます。」

何よりうまかったのが生ゴミ。ルールを守らない人間もいるので、ある意味、食べ放題。更に人間は「かわいい」と、ワシらにエサまでくれたりする。味を覚えた仲間の中には、コンビニの外で人を待ち伏せ、出てきたところを追突。落とした袋から弁当を奪って食べる知恵者も現れておる。都会の人間と接することでワシらは変わった。

横山さん
「人は自分たちを攻撃してこない生き物。そして非常に栄養価の高い食料を持っている生き物。それを奪い取っても、自分には攻撃は来ないと。そういう生き物だという学習をしてしまう。」

都会っていいなぁ。

高山:実はこのアーバン・イノシシの現象は日本に限ったことではないんです。
こちらは香港の中心部のショッピングモール。屋根裏に侵入して大騒ぎになったんです。

こちらは韓国です。韓国料理のお店で暴走を繰り返して、配膳台で何とか食い止めようとするんですが、やっぱり力が強い。

こちらはドイツ・ベルリン。一説によると、ベルリンの市内には1万頭以上も住みついているという研究結果もあるんです。

更にこちら、こんなふうに群れで我が物顔で道路の真ん中を歩いています。

こうした世界の都市で相次ぐ出没というのは原因ははっきりしていません。ただ、やはり日本と同じく、都市部への人口の集中、それから農業人口の減少といった社会構造の変化が一因ではないかと見られています。

武田:アーバン・イノシシを生んでしまう社会構造の変化は、日本だけではなく、世界各地で見られることなんですね。

宮田さん:そうですね。都市化は全世界でずっと起こっています。これは1900年、都市に住む人口は13%だったんですが、2005年〜2006年辺りに50%を超えたと。これはアフリカを含んだ全てのエリアでそうなってきていると。こうなってくると、都市と農村の境界線が崩れてきて、エリアをまたいでイノシシが直接都市にやってくる。こういったことが起こり始めるのかなというふうに思います。

高山:体の変化もあったじゃないですか。とにかく巨大化しがち。エサを探すために動き回らなくて済むんですよね。プラス高カロリーなものを食べるので、人で言うとメタボに近い。先ほど冒頭にご覧いただいた80キロというのは、大体、標準的な大人になった時のサイズなんですけれど、あれを上回るというのはちょっと異常なんだそうです。

武田:自然界にはアメ玉みたいな砂糖を食べる機会は、そうはないですよね。

宮田さん:先ほど食料を「麻薬」と表現されていましたけれど、やっぱり麻薬となると、与えた方の責任は大きいですよね。

高山:一度食べてしまうと、麻薬と例えられるぐらいですから、山に戻ってエサを探すという気分にもなれない。その象徴とも言えるのが、実は巨大化だけではなくて、こんな体の変化もあるんです。山育ちのイノシシと、都市育ちのイノシシの骨格、違いが一目瞭然だと思うんですが。

石井さん:牙の大きさが全く違いますよね。

高山:イノシシは土を掘ってエサを探すことをしなければ、こんなふうに牙が伸びるんだそうです。自然で生きていくためには、土を掘ってエサを得なければいけないので、牙は摩耗します。都市では、コンクリートばかりで、土を掘る機会もないので、こうして牙が伸び放題。

人間どもが忘れておることがもう一つある。ワシらのふるさとである山が大きく変わりつつあることじゃ。ワシらのふるさと、荒川の上流、秩父山地。

取材班
「ゆうべ?」

元農家 髙橋博司さん
「たぶん、ゆうべ。ここです。濁っている所ある。」

最近では、誰に遠慮することなく、水浴びで里に下りている。実はここ、ほんの30年前までは田んぼだった。そのころは、さすがに人目を恐れ、なるべく近寄らないようにしていた。でも、その田んぼもいつしか耕されなくなった。

髙橋さん
「もう遊び場ですから。イノシシにとったら水あるし、沢あるし、極楽みたいな所ですよ。さみしいという気持ちもあるし、元に戻したいという気持ちもあるし。ただ後継者そのものが(都市に)勤めに出ちゃっているから、戻すことは難しい。」

里山で農業をする人は、最盛期に比べ8割も減ったという。ワシらイノシシに残されたのは、人気のなくなった廃屋。そして、誰からも邪魔されず、食べ放題となった果樹や木の実じゃった。

埼玉県農業技術研究センター 古谷益朗さん
「たぶん管理していない、このクリ。でもやっぱり実はつけますから、下にイガグリたまっていますね。」

専門家によれば、こうした環境からワシらは山で急増。一方で、密集して暮らすのが嫌いなワシら。それまで歯止めとなってきた里山が衰退すると、都会へ流れ始めたんじゃ。

農研機構 研究員 江口祐輔さん
「蛇口を開けてしまった状況から(イノシシが)流れていくと。ここが一番の上流になるわけで、ここで根本的にはいかに野生動物の人里に出てくるところを少しでも食い止めるのは大切。」

しかし、山で繁殖を繰り返すワシら。1頭ずつ捕まえたところで、それを上回るスピードで増え続ける。解決するのはワシらではない。人間こそが自らの営みを見つめ直す必要があるんじゃ。

古谷さん
「動物対策、被害対策というと『動物が悪い』『動物だけなんとかすればいい』とすごく言われるんですけども、実際に行くともっと奥の深い問題であって、やっぱりそこに住む人の生活が変わったこと。これが結構、大きな実は問題。」

この秩父の山奥には、ワシらと因縁の深いある動物が祀られておる。ニホンオオカミじゃ。

古くから人は、ワシらイノシシが増えすぎぬよう、天敵のオオカミを大切にしてきた。しかし、そのオオカミを害獣と見なすようになり、絶滅させた明治以降、自然のバランスは崩れた。人間の営みに翻弄されながら、山であふれたワシらは今、都会を目指す。

高山:実は2023年を目標に、国は今いるイノシシの頭数を半分に減らそうと、それだけ捕獲をしていこうというような動きを見せています。更には今日ご紹介した神戸市も、実はパトロールと捕獲で、ある程度、数を減らすというところにつながっているんですけれど、神戸市、もう一つポイントがありまして、実は「イノシシ条例」という条例があるんです。これは、イノシシへのエサやり、ゴミの放置などはやめてくださいと。もしやった場合は名前を公表しますというものなんです。ハンターにお願いしたり、柵を作って山村で食い止めてというのではなく、都市の私たちも関係があるんだという意識を持つことも減少傾向につながるというんです。

武田:自然と人間がどう共存すべきだと思いますか?

石井さん:僕は「もののけ姫」という映画の中から、こういった言葉を引用したいと思います。「森とタタラ場、双方生きる道はないのか」という言葉です。

つまり「自然界と人間が共存できる道はないのか」ということです。自然環境の中で、イノシシを駆除しても、また違う問題が出てきてしまうんじゃないのかなと思うんですね。やはり駆除というのは根本的な解決策にはならないと思うんです。「もののけ姫」の映画の中で、イノシシの大群を人間が銃で殺してしまう。それを見た時に、恐らく多くの人が「なんでこんなことをするんだ」と思ったと思うんですよね。でも、「駆除してしまえ」という発想は、それと同じ発想だと思うんです。つまりイノシシを恐怖の対象として見るのではなくて、同じ社会の中で生きている生き物だというような目線が、まず必要なんじゃないのかなと。一人一人がイノシシを同じ生き物として考えた先に、新しい共存の方法を探していけるんじゃないのか、見つけていけるんじゃないのかなというふうに思っています。

宮田さん:「自然に帰れ」ということだったり、「もののけ姫」の世界も美しいと思うんですが、それ以外の可能性を我々は考えてみるのも一つかなというところで、「都市化、その先」を考える一つの機会なのかなと思います。

例えば今「自動運転」という技術がやってきました。都市の中でも道路が整備され尽くされているので、ここで走らせるのは簡単ではないと。であれば、農村部で実験をしてみると。電気自動車も今きていますと。共同保有して、電気が安いところに蓄電して、電気を皆で共有していこうと。地産地消ができるかもしれない。

武田:もともとイノシシの住むエリアと、人間が住むエリアのある種バッファーになっていた地域が荒廃してしまって、イノシシがあふれ出しているという話がありましたけれども、宮田さんのお話は、そのバッファーをもう一回テクノロジーの力で何とか取り戻せないかということですか?

宮田さん:そうですね。今の都市生活とは違う新しい価値というものが、これから地方でできるかもしれないですし、その時に動物たちと共存するという、また新しいスタイルを我々は作ることができるかもしれないなと。

高山:専門家の方も「人の気配があることが一番大きな壁になる。人が消えてしまうことが一番良くないことだ」とおっしゃっていたので、住めと言われるとなかなか住みづらいんですけれど、住みやすさがそういったテクノロジーで担保されれば、気配をつくることもできるかもしれないですよね。

武田:今起きている、イノシシが都会で増えているということの裏に、私たちの社会の変化、生き方の変化、本当にこれでいいんだろうかということを、もう一回問い直すヒントがあるんだなというふうに思いましたね。