クローズアップ現代

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2019年4月25日(木)
“AIに負けない”人材を育成せよ ~企業・教育 最前線~

“AIに負けない”人材を育成せよ ~企業・教育 最前線~

「自分たちの仕事がAIに奪われる」。いま企業の間で、AIに負けない組織、人材を作ろうという改革が進んでいる。都内のホテルでは、チェックインなどで機械化を進める一方、従業員が地域の商店街などで人脈を築き、宿泊客にユニークな観光体験を提案する、人間ならではのサービスを開拓。また大阪では、AIを活用できる人材を育成しようと、「社内大学」を設けるメーカーも。こうした中、アメリカでは、グーグルなどIT企業の社員が子どもを通わせる学校が注目を集めている。デジタル機器をすべて遮断し、「問いを立てる力」や協調力などを身につけさせているという。AIが進化する時代、私たちに求められる能力とは?企業や教育の現場を取材し、深めていく。

出演者

  • 松尾豊さん (東京大学大学院 教授)
  • 田坂広志さん (多摩大学大学院 名誉教授)
  • 武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)

進む無人化 人ならではの“能力”に活路

AIやロボットが活躍する時代を見据えて、社員の業務を変え始めているホテル運営会社があります。フロントには、自動のチェックイン機。

無人化が進むホテル業界。2030年には、ホテルの客室係は98.7%の確率で、AIなどに取って代わられるとされています。しかし、従業員たちによるおもてなしのサービスを売りにしてきたこのグループのホテルでは、自動化を進めたところ、思わぬ影響が出たといいます。

ホテル総支配人 磯川涼子さん
「人から機械になったことで、冷たい感じがするとか、機械の操作そのものが分からないという声がある。」

そこで、人間だけが持つ能力を生かした新たな業務を考え出しました。それは…。

「ご近所ガイド、OMOレンジャー!」

入社3年目の久下晴花さんです。これまでフロントなど、業務は全てホテル内にとどまっていました。新たに担うことになったのは、ホテルを飛び出し、宿泊客をもてなすこと。ガイドブックなどには載っていない知られざる情報を集め、街を案内します。

やって来たのは、路地裏の肉屋さん。取って置きの逸品を紹介します。

久下晴花さん
「この切り絵は作るのに4〜5か月くらいかかるそうです。」

観光客
「もう肉屋じゃなくて芸術家ね。」

AIに取って代わられるのではないかと心配していた久下さん。考え方が代わったといいます。

久下晴花さん
「人間ができることの大半はAIができるようになってきているので、やることを奪われると考えるよりも、人間にしかできないことを、もっと頑張ろうと思う。」

グループの代表、星野佳路さん。AIなどの普及が、人間の仕事に対する意識を大きく変えていくと考えています。

ホテル運営会社 代表 星野佳路さん
「楽しいと思うことを演出する能力とか、それを地域の歴史や文化と結びつける能力とか、こういうクリエイティブな作業が、ホテルが本来やらなくてはいけないこと。ロボットやAIがホテルの仕事をよりクリエイティブにしてくれるし、より楽しくしてくれる。そういうふうに捉えるべきだと思う。」

ゲスト 松尾豊さん(東京大学大学院 教授)

AI研究の第一人者、松尾豊さん。「AIの得意・不得意を知れば負けることはない」ということですが、いかがですか?

松尾さん:チェックインのような定型の業務は、AIがどんどんやるようになってくると思います。一方で、人と会話をしたり、新たな発見を促すような演出をすることは、人のとても価値の高い仕事になっていくんじゃないかというふうに思います。

AIにできない仕事とは?活路は…

栗原:大阪では、不動産業界で人間とAIとの競争が始まっているんです。

2030年には、52.7%の確率でAIなどに取って代わられるとされる不動産営業員。
大阪で不動産業を営んで30年になる、難波啓祐さんです。

今年1月、業界団体が導入した、価格査定のためのAIに危機を感じたといいます。

栗原:出ました。すぐに出ました。これまでは価格を査定するのに、どれぐらい時間がかかっていた?

難波啓祐さん
「売買事例のデータを抽出したり、2時間半ぐらいの時間がかかっていた。」

栗原:2時間半かかっていたのが1分。

これまで、不動産の価格査定は、物件状況や立地条件、過去の売買実績などを調べた上で、難波さんのように資格を持つ人が算出していました。ところが、誰でも手軽に使えるAIが普及すれば、不動産業者は必要なくなってしまうのではと恐れているのです。過去のデータをもとに価格を決めるAI。難波さんは、まだデータになっていない顧客のニーズを見極めた工夫で対抗しようとしています。例えば、AIがおよそ1,500万円と査定したものの、売れずにいた築40年の中古マンション。ニーズを分析した難波さんは、床や壁を撤去し、はやりのワンフロアにすることを売り主に提案。リフォームして住みたいという人に販売することができたといいます。

難波啓祐さん
「AIではできない、私たち業者ならではの仕事に重点をおくことができないか。私たちも生き残るというか、私たちの存在価値を見出していきたい。」

ゲスト 田坂広志さん(多摩大学大学院 名誉教授)

AI時代に求められる人材についての著書もある、田坂広志さん。これからは、想像力や接客力、管理力が大切だとしていますが、どういうことですか?

田坂さん:この不動産業の方、大変ご苦労されていますけれども、向かっている方向は正しいですね。これは、実際リフォームのデザインを考えたり、企画を作ったり、提案したり、ここに想像力とか接客力、そのまま磨かれていますね。今、この番組を見られているビジネスパーソンの方、非常に参考になる事例だと思います。

AIにない能力もとに人事評価 採用

AIにはない能力をもとに、採用や人事評価を行う企業も現れています。
こちらの眼鏡販売の全国チェーン。4年前からAIなどの導入を進めています。

眼鏡の度数を判定する作業。以前はベテラン社員が客と相談しながら進めていましたが、AIがビッグデータを基に度数を判定しています。さまざまな分野で、AI化や機械化が進む眼鏡販売の仕事。

2030年には51.7%の確率で、AIなどに取って代わられるとされています。
この眼鏡チェーンを経営する、田中修治さん。AIの導入が進み、他社との差別化が難しくなる中、求めているのは、顧客の共感を得られる人材だといいます。

メガネチェーン 社長 田中修治さん
「AIやビッグデータで解決できるものは全部さっさと置き換えてしまって、目の前のお客さんを楽しませる人だけが残ればいいビジネスになる。」

この会社が従業員の評価に取り入れているのが、SNSのフォロワー数です。2年前にツイッターを始めた、小滝沙織さんです。日常を積極的に発信し、フォロワー数は1,600人。売り上げにもつながっているといいます。

小滝沙織さん
「『小滝ちゃんのところで買うね』と、買いに来てくれる人もいた。」

フォロワー数を重視した採用枠もあります。

人事担当者
「フォロワー数は、約4万人ですね。」

1万人を超えている人は、発進力の高いインフルエンサーとして評価され、書類選考や筆記試験を免除されます。基本給に加え、毎月5万円のインフルエンサー手当も支給されます。

メガネチェーン 社長 田中修治さん
「人間しかできないことによって、得られる付加価値は増えていく。それが生み出せる人は、給料がたくさんもらえるようになる。そこを楽しんで一生懸命やったほうがAIに負けないですよ。」

AI時代の到来で大きく変わるかもしれない、あなたの仕事。今後どうなるのでしょうか?

どうなる?あなたの仕事 活路はこれだ

栗原:こちらは、今ある仕事が、およそ10年後にAIやロボットなどに置き換わる可能性を職業別に推計した結果です。

武田:税理士や公認会計士、司法書士といった専門性が高いと言われている仕事も、高い確率でAIに置き換わると見られているんですね。

栗原:実は、労働人口の49%が置き換えられると見られているんです。

武田:そうしたAI時代に、私たちの仕事は一体どうなるんでしょうか。
お2人の見方はこうです。田坂さんは「“AI失業”の危機」、松尾さんは「AIの得意・不得意を知れば負けない」。

まず田坂さん、「AI失業」ショッキングな言葉ですけれど、どんな危機が来るとお考えなんですか?

田坂さん:先ほどのデータにもあるように、大変、失業の可能性って出てくると思います。ただ、そのことはずいぶん言われていますので、問題はどういう能力を磨けばいいかということだと思うんですね。人工知能の強みって何かと考えると、せんじ詰めれば、まずは2つです。1つは「論理的思考」、もう1つは「専門的な知識」。この2つの能力で仕事をしている方々は、多くの場合、失業する可能性があるわけです。

武田:それは学力が非常に高い人ということですか?

田坂さん:まさにそのとおりで、この能力というのは、実は日本の学歴社会の中で、いわゆる偏差値が高い方々、みんなその能力を持っているわけです。今までは、それで結構、世の中で活躍できたんですけれども、人工知能が広がっていくと、実は高学歴の方でもなかなか厳しい時代がやって来る。それは、文科省の今の教育体系が、世界全体の水準から見ると、ひと回り遅れているのではないか。その1点は、危機という意味の一つの深い意味だと思います。もう1つは、先ほどの企業でフォロワー数を重視していましたが、ああいう人材の育成って大企業はできないんですよ。これはもう1つの意味で言えば、大企業も非常に危機に直面していく。人材育成の仕組みがないですね。

武田:一方の松尾さんは、AIが得意とするもの、不得意とするものを挙げていますが、「データから学習することが可能」というのが得意な分野。これは仕事として見るとどんなことなんですか?

松尾さん:先ほど、不動産の査定がありましたけれども、あれも過去の事例をたくさんデータとしてためれば、正確に推定できる。それから、お医者さんの業務で、画像診断、レントゲンとかCTの写真から病気の可能性を出すと。これも今、お医者さんよりも精度が高い技術が作られてきています。

武田:一方、不得意な点としては、「言語の理解」「総合的な判断」ということですけれど、これはどんな仕事?

松尾さん:「言語の理解」というのは、お客さんと対話をして、意味内容を理解しながら会話を続けていく。これが今のAIにはできないですね。

武田:ガイドさんのような仕事ですね。

松尾さん:「総合的な判断」というのは、例えば提案力に代表されるように、社会の一般常識を知った上で、こうしたほうがいいんじゃないかというのを提案する能力。こういった常識は、AIにはないんですね。ですから、常識を使った思考は、やっぱり人間が得意なものなんです。

武田:一方、田坂さん、「人間だけが発揮できる力」として、こういった項目を挙げていらっしゃいます。この「クリエイティビティー」これ僕、自信ないんですよ。いきなり何か新しいアイデアを出せと言われても、AI時代じゃなくても、ちょっと難しいと思う方も多いと思うんですけれども、やっぱり必要ですか?

田坂さん:この「クリエイティビティー」ってよく言われるんですけれども、これを聞くと、大体みなさん、「自分はスティーブ・ジョブズにはなれない」とか、そう考えてしまうわけですね。でも、そういうことじゃなくて、先ほど不動産屋の方が、例えばリフォームについての新しいアイデアを出して、そのプランを作って、お客様に提案して喜んでいただくということをやっていますよね。ああいうアイデアを実現していく力こそが、これからの時代、少なくとも、この番組をご覧になっている多くのビジネスパーソンの方々にとっては、まさにその意味における「クリエイティビティー」を磨いておくべきだと。何もみんながみんなイノベーティブなスティーブ・ジョブズみたいになる必要はない。

武田:「マネジメント」というのは、どういうことですか?

田坂さん:「マネジメント」というのも「管理力」と書いてありますけれども、ほとんど管理的な業務は人工知能に代わっていきます。逆に「マネジメント」、非常に高度化したところを人間が担うようになる。分かりやすく言えば、「心のマネジメント」です。例えばメンバーの元気がない時に励ませる力とか、職場の中での共感とか、協調性を高めていくとか、さらには一人一人の成長を支えるとか、そういうマネジメント能力が求められるようになるわけです。

武田:こうした力を養っていくには、やはり子どもの頃からの教育が大切なのかもしれないですね。

ITエリートが通わせる学校 意外な教育法

シリコンバレーと並んでIT企業が集積する、アメリカ・シアトル。マイクロソフトやアマゾンなど、巨大IT企業で働く人たちが多く暮らしています。そうした人たちが子どもを通わせている人気の私立学校です。

その理由は、意外にも、デジタル機器の使用が一切禁止されていることです。

FOXニュース
「巨大IT企業のエリートな親たちが、実は自分の子どもを、コンピューターが1台もない学校に、こぞって通わせているって知っていますか。」

(授業の様子)

「さあ、用意はいい?」

「いんはちが、はち(1×8=8)。にはち、じゅうろく(2×8=16)。」

この学校が重要視しているのは、協調性と創造性。音楽に合わせて、クラス全員で息を合わせアート作品を作る、この授業。協調性を身につけさせる狙いです。

図画工作の授業では、自然の素材を使って、五感を刺激しながら作品作りに挑戦します。

そうすることで、子どもたちはさまざまな工夫をし、創造性が高まると考えているのです。

教諭
「たまにはけがをすることもあるわ。でも痛みを知るから学びになるのです。」

教務主任 シンディー・ジョーダンさん
「世界や人間を理解する前の子どもが、タブレットやスマートフォンを使うと、自分で考えられなくなります。人間同士の関係が作れなくなってしまいます。できる限り多くの生身の経験をさせることの方が大事なのです。」

2年前、公立学校から転校してきた、リアン・デ・ラノイ君です。母親はマイクロソフトで働いています。

この家では、平日はデジタル機器に触れることは禁止。週末も15分だけです。

リアン・デ・ラノイ君
「これが僕の一番のお気に入りなんだ。これは『エジプト学』の本だよ。」

「かっこいいね。」

料理などの家事を手伝うことも増えたといいます。父親もITプログラマーのこの家族。AIがもたらす変化の激しさを実感しているからこそ、転校させてよかったといいます。

母 マリンダ・デ・ラノイさん
「AIが人間の仕事を奪っていく今、息子が大人になった時、どんな仕事があるのかさえ全く分かりません。未知の将来に対する子育てを考えると、自分で問題を解決する力や適応力・柔軟性を最大限に伸ばしていくしかないのです。」

シリコンバレーで広まる “AIネイティブ”の育て方

一方、全く違うアプローチで子どもの教育に臨む人もいます。アメリカを拠点にして、日本企業などにAIを使ったビジネスを提案している、石角友愛さんです。

シリコンバレーと日本を往復しながら子育てをする石角さんの家を訪ねました。

栗原:リビングの中心にAIスピーカーがあるというのはすごいですね。

石角さんが実践しているのは、AIに使われるのではなく、AIを使いこなす教育。今、シリコンバレーで広まっているといいます。長女がAIスピーカーに物語の読み聞かせをリクエストしています。

長女
「アレクサ、お話を聞かせて。」

AIスピーカー
「ジャンルは何がいいですか?任せてもらえますか。動物のお話など、ありますよ。」

長女
「お任せするわ。」

AIスピーカー
「では友情のお話をします。」

長女
「アレクサ、違うわ。」

AIスピーカー
「スポーツの話をしますね。」

長女
「アレクサ、違うわ。」

AIスピーカーは次々に物語を提案してくるものの、長女はどれもお気に召さない様子。すると、石角さんがすかさずアドバイス。

石角友愛さん
「聞きたい名前(ジャンル)を言えばいいじゃん。」

指示を具体的にしなければ、AIは思い通りに動かせないと指摘しました。

長女
「アレクサ、学校の物語が聞きたいの。」

AIスピーカー
「オッケー!最高の学園物語をはじめます。『スーパークールな学園の話だよ』。」

石角友愛さん
「AIを身近に感じて欲しいですね、子どもに。アレクサはAIだと認識しなくて、当たり前に自分の横にこういうものがあって、自分なりの使い方を見つける。そういうところが大事かなと思います。」

AIが社会を大きく変えようとする今。未知の時代に備えるには、どんな力を磨いていけばいいのでしょうか。

身につけたい能力とは?活路は?

武田:幼い頃から伸ばすべき力を、田坂さんは「人間力」、松尾さんは「デジタル」というふうに挙げていただきました。

「人間力」って当たり前じゃないかという気もするんですが、今の時代の「人間力」って、どういうことでしょう?

田坂さん:AIにできないことは何かと言えば、例えば相手の気持ちを感じ取る力「共感力」は、AIにはできないですね。それから、自分の気持ちを相手に伝える。このあたりが「人間力」の一番重要な部分だと思うんです。こういう能力って、子どもの頃からしっかりと身につけさせてあげないと、ある程度、年を取ってしまうと、なかなか固まってしまってできない。子どもの頃って、結構、人間って扱いにくいから、けんかをしたり、仲直りしたり、共感したり、協調したり、そして時にリーダーシップを発揮したりしながら身につけていく。私は、「人間力」の教育って、AI時代だからこそ、ますます重要になると思います。

武田:私も小さい頃、スマホもタブレットもありませんでしたし、本を読んだり、ブロックで遊んだりして育ったんですが、今、AIにおびえている私がいるんですよ。これはどういうことなんでしょう?

松尾さん:ブロックで遊ぶことはすごく大事だとは思うんですけれども、やっぱり「デジタル」。なぜかというと、先ほどありましたように、シリコンバレーのITが一番分かった人が、実はこの「人間力」の教育をしている。これはどういうことかと。それは、今の時代、IT、AIのスキルは大前提なんですね。これで何ができるのか、何ができないのかを分かった上で、人間の力を伸ばしていかないといけない。その意味でも、やっぱり「デジタル」だと思うんですね。

武田:「人間力」には多少自信はあるんですけれども、AIはもっと勉強したほうがいいと?

松尾さん:武田さんも「デジタル」を学んでいただければ。

栗原:今回取材して、AIに触れると、逆に人がやるべきことが明確になるということを感じたんですね。

例えば、先ほどの石角さんの娘さんが絵を描いている時に、AIに「どの色で塗ったらいいか」と尋ねたんですが、AIは答えられなかったんですね。その時に、石角さんはすかさず、「それは自分で決めることよ」と諭したんですね。つまり、「どの色を塗るか」は人間が判断すること。そういうことは人がやるべきことだということを学んでいくことになるんですね。

武田:AI時代の教育、日本の現状を、松尾さんはどうご覧になっていますか?

松尾さん:僕は非常に危機感を抱いています。「人間力」、それから「デジタル」AIを学ぶ部分、ここがしっかり両方できていないんですよね。両輪なので、両方ともしっかりやっていくということがすごく大事だと思います。

武田:ただ、AIを使いこなせる人や、AIにはできない仕事ができる人はいいと思うんですけれども、そこからこぼれ落ちてしまうような人たちはどうしたらいいのか、そういう不安を持つ人たちに、田坂さんはどんなメッセージ送られますか?

田坂さん:確かに、誰にとっても楽ではない時代なんですけれども、むしろ、これからのAI時代って、ある意味でのチャンスだと思うんですよね。つまり、今まで非常に定型的な、機械でもやれるような業務をやることで仕事だと思っていらっしゃる。あまり働きがいがなかったかもしれない。人間だけができる、より高度な能力が求められるということは、大変といえば大変ですけれど、逆に言えば自分の中にある可能性を開花する最高のチャンスがやって来ているわけです。その意味では、AI時代を決して後ろ向きに捉えないでいただきたい。情報革命は、人間を不要にする革命ではない。人間の可能性を、さらに高めていく革命なんだということを理解していただきたいと思いますね。

武田:松尾さんは?

松尾さん:僕は「人間ってすごい」ということだと思います。AIの研究をすればするほど、人間の力、能力というのはすごい。AIで、いくら技術が進化しても、人間の適応力、新しいことを学んでいく力、これは僕はすごいというふうに信じています。

武田:今まで私たち、もしかしたら一番、非人間的な仕事をたくさんさせられていたのかもしれませんね。頑張りたいと思います。