クローズアップ現代

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2019年4月3日(水)
食費が激減!? “食品ロス”だけで暮らしてみた

食費が激減!? “食品ロス”だけで暮らしてみた

国が4月中に食品ロス削減推進法の成立を目指すなど、食費ロス削減への機運が高まるなか、抜本的な対策として注目される新潮流がある。それはビジネスの力で削減しようという取り組みだ。月1980円の定額料金で弁当などを毎日受け取れるアプリや、外食メニューなどを割り引いてもらえるアプリ、メーカーや卸から廃棄間近のカップ麺などを送ってもらえる通販サイトなど。NPOなどが中心だった従来の取り組みと違って、消費者は食費を節約できる、食品企業は販売益を得られる、行政は焼却処分予算を削減できるという“三方よし”のフードシェアビジネスが次々と立ち上がっている。この新サービスでどこまで食品ロスを減らし、食費を節約できるのか。ディレクターが当事者として実際に「食品ロスだけで生きる」生活を実践。体当たりドキュメントを通じて、食品ロス削減の可能性や大手外食・流通企業の姿勢、消費者の志向など課題を明らかにする。

出演者

  • 石井光太さん (作家)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大 教授)
  • 武田真一 (キャスター) 、 高山哲哉 (アナウンサー)

食費が激減!? “食品ロス”だけで暮らしてみた

ある50代主婦の冷蔵庫の中。

主婦
「うわっ!!」

存在を忘れていた、つくだ煮。手付かずのまま、期限切れの豚肉。

主婦
「もうダメじゃん!!」

花見の宴会でも、ついつい食べ残し。

花見客
「もったいないですね。」

「わかっちゃいるんだけれども。」

「やめられないですね。」

武田:本来、食べられるのに捨てられる食品「食品ロス」。日本では、年間646万トンも発生しています。「もったいない」を重んじるはずの日本が、実は廃棄する量で、アジアワースト1位、世界でも6位。処分に必要な税金はおよそ1兆円と言われ、国会が食品ロスを減らすための法案の成立を急ぐなど、危機感が高まっています。

だったら、その食品ロス、お得に食べてしまおう!

番組ディレクターが注目したのは、食品ロス削減対策として期待される最新アプリ。

それを試して、捨てられるものだけを食べて生活してみることにしました。

番組ディレクター
「うまい!!」

うまくいけば、ひと月の食費が1,980円で済む上に、社会貢献もできるというのです。

武田:これだけで本当に食べていけるのか、体当たり実験です。

食費が月1,980円!? “食品ロス”だけで暮らしてみた

入局9年目、占部ディレクター、30歳、独身。

占部ディレクター:カップ麺たちですね。基本的に私は外食オンリーでして、自炊は全くしません。

これまで、ひと月の食費は5万円。

占部ディレクター:冷蔵庫、開けますと…、あっ、変色した肉まんが出てきましたね。完全にアウトですね。

この日から放送日まで3週間、食品ロスだけ生活の始まりです。

占部ディレクター:今回のミッションは2つです。まず1つ目に関しては、どれだけ食品ロスを減らすことができるのか。2つ目は、食費をどれだけ節約することができるのか。この2つに今回挑戦したいと思います。

可能性を検証するのはこちら、去年(2018年)サービスが始まった「食品ロス削減アプリ」です。加盟する食品販売店が、廃棄する予定の商品を出品。ユーザーがそれを選んでマッチングが成功すると、色が薄くなります。

ポイントは定額制。月に1,980円払えば、毎日2回、食べ物をゲット。店側にも定額料金の一部が支払われ、双方にメリットがあるといいます。

占部ディレクター:じゃあ、登録。おっ、すごい!早速『本日の余剰食品 残り15個』って出てますね。お試しセット2個入りから、タルトタタン、食パン6枚1斤、リンゴジュース。

自宅から電車を使って30分。最初に訪れたのは、地域住民に愛される老舗のパン屋さん。

店員
「2つパンが入っています。」

占部ディレクター:夕方に食品ロスなら分かるが、この時間に出ているのはなぜ?

店員
「きのうのものになります。きょう中は全然食べられるので、それで提供しています。」

占部ディレクター:いただきます。

まずまずの滑り出し。ところが、その日の夕方。アプリを起動してみると…。

占部ディレクター:うわっ!え?うそ、全然ない。まじで?

出品商品の多くが品切れに。夕食の争奪戦は思ったより激しいようです。

占部ディレクター:今、この4択。チョコロールか、クロワッサンか、鬼打ち豆か、チョコまんじゅうか。

電車に乗り、40分かけてやって来たのは…。

占部ディレクター:こちらですね。老舗の地元のスーパーみたいな感じですね。

店員
「じゃあ、3袋で。」

節分の売れ残りの豆。腹もちが良さそうだと選びました。

占部ディレクター:ちなみにどれくらいお客さんが来られたんですか?

店員
「これですか?意外と来ましたよ。最初は全然ダメかなと思ったんですけど、でも、最初24個あったんだけど、6−7人くらい。」

占部ディレクター:ただいま。
本日、晩ごはん。こちら、節分の豆、福豆いただきました。

初日から、いきなりピンチに。2日目の朝は、豆の残り。昼は、アプリでめぼしいものが見つからず、食事を抜くことに。早くも追い詰められたディレクター。どうなるのか。

そのころ、高山リポーターは別のアプリの取材。関西で注目の食品ロス削減アプリです。

高山:食品ロスで食い倒れ!行ってきます!

アプリの加盟店の一つ、鍋が売りの居酒屋では、この日、余った締めの麺を使って、特製焼きそばを作り、アプリのユーザーに提供。

高山:これが“残りもの”だとは信じられませんね。

仕組みは、やはり定額制。月2,980円を払うと、加盟している飲食店で余った食材を使った特別メニューを食べられます。利用者は男性が多く、ちょっとしたぜいたくを楽しみながら、ロス削減に貢献できるといいます。

こちらは大阪名物の串カツ店。豊富なメニューが売りですが…。

高山:120種類、串だけであるじゃないですか。

店員
「やっぱり廃棄ロスっていうのは、どうしてもありますね。」

そんな時にアプリに出品。捨てる食品が減る上に、さらなるメリットも。

店員
「アプリを活用して集客につなげたい。」

これをきっかけに新たな客を呼び込めるというわけです。

一方、食品ロスだけ生活に挑む、占部ディレクター。2日目の夕方、ある光明を見い出しました。

占部ディレクター:イタリアンチーズハンバーグ弁当、来た!

この生活が始まって初めてのお弁当。

占部ディレクター:しかも場所は神泉。めちゃ近い、やったー!

夕方5時になる前に、廃棄を決める弁当店が多いことに気付いたのです。味をしめた占部ディレクター。手際よくお弁当をゲット。

しかし、4日目の午後。

占部ディレクター:え?うそ!全然ない。

休日の土曜日。アプリにはほとんど出品がなく、自宅近くのエリアは壊滅状態。何時間も探しましたが、おなかの膨れる食べ物の出品が近場には見つかりません。

占部ディレクター:結構キツいな。

頼みの綱だった弁当は、サラリーマン向けの店舗がほとんどで、休日はお休み。そのほかの出品も極端に少なかったのです。一体なぜ、これほど出品が少ないのか。アプリの加盟店を数えると、まだわずか140軒。しかも、ほとんどが個人店でした。

占部ディレクター:大手(企業)全然入ってない。

なぜ、大手チェーンは参加していないのか?

食費が激減!? “食品ロス”だけで暮らしてみた

ゲスト 石井光太さん(作家)
ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大 教授)

武田:占部ディレクター、大丈夫かな?と、ちょっと心配になりましたけれども。
水曜リポーターは高山アナウンサーです。なぜ大手は参加していないのでしょうか?

高山:ずばり大手の外食10社に聞いてきました。回答結果、実はどこも導入していません。理由も聞いてみました。すると、食品なので安全面に配慮しているのと、出来たてが食べられると期待したお客さんを裏切りたくないという、ブランドイメージという声が聞こえました。

いずれも少し消極的なんですが、その理由について、食品ロスに詳しい神戸大学の石川先生に聞いてきました。「現状では、食品ロスに向き合っても利益にはなかなかならない。新たに食品ロスに対する仕組みを作る必要があるので、及び腰。負荷がかかるので手を出さないんじゃないか」ということでした。

武田:大手が参加しないと、毎日、お腹いっぱいにはならないと。
それにしても、日本が食品ロス大国だということはショックなんですけれども、一体これはどこに原因があるのか、どうすればいいのか、石井さんの問題意識はどうですか?

石井さん:今、おっしゃったような企業の考え方というのは、別に日本だけが特異なわけじゃなくて、海外でもそうなんですよね。僕はずっと途上国の取材をしてきましたけれども、途上国の食品会社っていうのは、例えば魚1匹いるじゃないですか。この頭と尾っぽで切って、胴体の部分はお金持ちに売って、あるいは海外に輸出して、頭としっぽはスラムの人たちにあげるか、処分するか。スラムの人たちはそれを食べる。そこからさらに余ったものをストリートチルドレンたちが食べる。そこで余ったものを、さらに犬や猫が食べる。自然のサイクルがあるんですよね。じゃあ日本で、なぜそれをできないのかと言えば、いろんなコンプライアンスだとか、会社のルールだとか、そういったものにすごく縛られている。これはしょうがない。

武田:余りものはお客様に提供できないと。

石井さん:それがもし腐っていた時に健康を害したらどうするんだ、それはそれで悪いことじゃないと思うんです。ただ、やはりそういった会社、企業の問題として、ルールだとか、コンプライアンスが発達すればするほど、そういった食品ロスが生まれてしまう構造っていうのはある。ここがやっぱり考えなきゃいけないところかなと思っていますけれどもね。

武田:宮田さんは、どこにこの問題意識をお持ちですか?

宮田さん:今、石井さんがおっしゃっていたような、構造的な問題は大きいかなと思います。例えば、今は多くの企業さん、やはり利潤を上げなくてはいけない。そうすると、いわゆる欠品して売れないというリスクを「チャンスロス」と言うんですが、こうなってしまうよりは、もう少し多く作って余らせた方がもうかる。

武田:恵方巻きとか、クリスマスケーキみたいに?

宮田さん:やはりチャンスロスよりは、チャンスを狙っていこうと。企業側に、そこを削減するような動機がないと。例えば、フランスのような国では、食品廃棄禁止法というのがあって、つまり国側の仕組みなんですが、そこに対して、いわゆる企業側が取り組まなくてはいけないような仕組み作りもあるので、この構造的な問題を社会の中でどう捉えるか。これも必要になってくるかなと思います。

武田:食品ロス削減アプリの実験をしているディレクターですけれども、食品が確保できなくて、ちょっと大変そうでしたね。これは逆に言うと、いろんな方が利用していて、それなりに可能性があるということですか?

高山:いろんなタイプがありまして、先ほどまで定額制でしたけれども、実は定額制以外にも、割引制というものもあるんですね。例えば、ランチタイムに作り過ぎたものをディナーまでに売り切ろうということで、半額になる。これを合わせて使うことによって何とか飢えをしのぐことができて、5日目終了した時点で2,000円を超えてしまったんですけれども、3,000円を少し超えたぐらいで、今、番組ディレクター、頑張ってやっております。

ただ、どうしても食品ロスというと、企業のイメージがあると思うんですけれども、実はほぼ半分は家庭から出ていると。

これ、意外と知らない方も多いんですけれども、ここでもアプリが大活躍するんです。日記をつけるように「食品ロスダイアリー」というものがありまして、こちらを登録して、理由なども入力することによって、見える化と、それからどうすればよかったのかを考える。この2つを実行するだけで、何と年間に6万円も食費が浮いたというご家庭があるんですよね。

武田:実は、私もちょっと使ってみたんです。その結果どうだったかといいますと、1週間で350グラム。

高山:結構、管理されている方によると、優秀な数字だそうです。ロスが少ない。ただ、冷蔵庫にはこんなものが隠れていました。刺身のツマ、それから10年前のエジプトのお土産、お仕事ですかね?果物のデーツ。

武田:ツマはお刺身食べた後、翌日にサラダにして食べようと思って取っているんですけれども、この時は残念ながら大葉だけ食べて、あとはちょっと、あんまり良さそうじゃなかったので食べませんでした。

高山:そして、お土産のデーツ。

武田:これはロスじゃないんです。これは記念品なので、ずっと取っているんです。

高山:もはや食べられない?

武田:いやいや、記念品なので食べちゃダメです。

高山:でも、こうやって見える化と、それから考えることによって、家庭での食品ロスは減っていくであろうと期待されています。

武田:石井さんは、世界各地の貧困地帯を取材なさっていますけれども、そこから見えてきている食品ロスの現状、どういうふうに考えていますか?

石井さん:日本人というのは、実は結構痩せているんですよ。例えば、OECD=経済協力開発機構の加盟国の中で、日本人は一番痩せている。中国人、韓国人よりも痩せていて、アジアでいうと、カンボジア人と同じぐらいなんですね。日本の中で、スマートに生きていこうというのがあって、それでなぜ食品ロスが生まれるのかというと、家庭の食品ロスの4割が食べ残しなんですよね。じゃあ、なぜそれが出てしまうのかというと、例えば夜10時以降に旦那さんが帰ってきて、今日これ以上食ったらメタボになっちゃうなと思って、奥さんがせっかく作ったのに食べないとか、あるいは子どもが残したものを、お母さんが太るから食べない。それは家で余ってしまいますよね。昔であれば、それを犬にあげようと思うんだけれども、犬は人間が食べたものを食べると病気になってしまうからあげない。そうすると、それは全部ごみになってしまう。つまり、健康を守ろうとするがゆえに、命であるはずの食品を捨ててしまう。そういった構図というのもあるんじゃないのかなというふうに思っています。

武田:健康とのバーターになっていると?

宮田さん:おっしゃる通りですね。自分の家庭でコントロールできる時は、まさに石井さんがおっしゃっていたように、できるだけロスを減らす。一方で、この番組を見た方に、もう一つ、心に留めていただきたいのは、例えば、機内食だったりとか、広く外食で供給される場合って、個人に合わせていないですよね。その時に、自分が無理して食べて、胃袋を大きくして、それによってメタボの方向に入っていってしまう。今度、健康を害してしまうので。

武田:別の社会的な問題が生まれてしまう。

宮田さん:個人の胃袋だけで食品のロスを吸収するのは難しいということもあるので、皆さん、ご自身の体調とのバランスを考えて取り組んでいただければなと思います。

武田:さて、食費も食品ロスも減らせるか検証するディレクターの実験ですが、残り2週間どうなったんでしょうか。

食品ロスだけ生活6日目。平日夕方は得意の弁当作戦を展開。さらに。

占部ディレクター:こちらキャベツまでいただきました。

アプリに出品されていた余ったキャベツと食パンを使い、サンドイッチを初めて自作。職場に持参し、アプリの出品が少なくても、何とかカロリーを摂取しようとしていました。
ところが8日目。健康チェックを依頼している医師の診察を受けたところ…。

中野セントラルパーククリニック 医師 山本竜大さん
「ビタミン類というのが若干減っているのかなと…。」

栄養の偏りを指摘されました。食品の確保に四苦八苦する中、栄養バランスが後回しになっていたのです。そこで、やむにやまれず手を出したのが、食品ロスの通販サイト。ここにも廃棄間際の商品が数多く出品されていました。

賞味期限前の商品が、定価の平均4割引で購入できると、節約志向の主婦に利用されているそう。占部ディレクター、ビタミン不足を補おうと、野菜ジュース1箱24本と、腹の足しにそばを購入。合計2,076円の出費となりました。ところが、なかなか届きません。栄養の偏りに加え、体重は当初から3.4キロ減少。この実験を始めて最大のピンチに陥りました。
5日後、ようやく野菜ジュースをゲット。

占部ディレクター:うめー!

しかし。

占部ディレクター:賞味期限が10月1日なのに、こんなに安くなって売られている。なんでこれが食品ロスなのか。

その謎を解き明かすべく、高山リポーターが野菜ジュースの送り元へ。そこは郊外の倉庫。中には食品はほとんどなく、家具などの在庫品や中古品が積み上げられていました。

廃棄予定の食品は?と聞くと、案内されたのが別の倉庫。これもこれも食品ロスになるものばかり。およそ20万点。

詳しく見ていくと…。

高山:低糖質って、ダイエットが気になる女性に、ここ最近うけてる。こんなロスもあるんですね。

通販サイト運営会社 執行役員 藤井厚さん
「これは外装不良の商品ですね。段ボールが丸まって箱の形状が悪いので、納品先から受け入れ拒否をされて返品された商品です。商品の中身はべつに傷があるとか、汚れがあるわけでは(折れてるわけじゃないですね)ないですね。賞味期限は2020年9月25日なので1年半くらい。」

特に多かったのが、賞味期限がかなり先の商品。背景には、食品業界のある商慣行がありました。

藤井厚さん
「3分の1ルールから外れた商品で、納品が出来なかった商品。」

3分の1ルールとは、いつも新鮮なものを食べたいという消費者のニーズに応えようと、20年ほど前に大手スーパーが始めた仕組みです。製造から賞味期限までを3分割。例えば、4月に製造され、6月末が賞味期限の商品の場合、初めの3分の1を過ぎて5月になると、メーカーや卸はスーパーなどに納品できなくなります。納品期限に間に合っても、さらに3分の1が過ぎて6月に入ると、スーパーなどは消費者に販売できなくなってしまうというルールです。そのため多くの食品が新品のまま廃棄となっているのです。

食品ロスだけで3週間暮らす、占部ディレクター。放送日まで2日。“食費”と“食品ロス”はどれだけ減らせるか?

武田:ということで、占部ディレクター、結果をお願いします。大丈夫?

占部ディレクター:先ほど、母親から大丈夫?って言われましたので。
とりあえず、結果を発表させていただきますと、食品ロスを何グラム食べられたかというと、19キログラム食べました。家庭で1人あたり大体41グラム出すと言われているので、3週間で463日分食べました。あと、食費が5,976円。

武田:結構かかったね。

占部ディレクター:でも1万円以内に収まったので、そこはいいかなと思います。
一方で、もともと59.4キロだった体重が55.4キロと、めちゃくちゃ細くなったのと、交通費も3,577円かかったので、こっちの方が高くついてしまうなという感じですね。

武田:やってみて、どんなことを感じましたか?

占部ディレクター:取材中に、ある教授が「今、出ている食品ロス646万トンというのは、みんなが合理的な選択をした結果出たもので、もうしょうがない数字なんじゃないか」と言っていました。それは何なんだろうって、こういう生活を続けながら思ったのは、私、ずっと遅くまで仕事をしていると、家に帰って調理とかするのは、体力的にどうしてもできないとなった時に、やっぱり24時間開いているコンビニエンスストアであるとか、24時間開いている牛丼屋とかに行ってごはんを食べる。そんな私みたいな消費者のことを考えて、ものを作っていて、それがロスになっているということを思った時に、これは食品ロスをなくすとしたら、そういうライフスタイルであるとか、働き方であるとか、そうしたものからちゃんと考えることからやった方がいいんじゃないかなと強く思いました。

高山:ご紹介した、小売りも変わろうとしていまして、かなり見直し進んでいるんですけれども、3分の1から、実は2分の1というルールの導入が今、進んでいます。

これはどういうことか言うと、3分の1じゃなくて、ちょうど半分のところに納品の期限を持ってくることによって、商品の受け入れの期間が長くなるので、ロスが減る。

武田:納品期限を半分にしようということなんですね。

高山:しかし、神戸大学の石川さんによると、販売期限が3分の1のままなんですね。ここがもう少し賞味期限のところに近づかないと、ロスは完全には減っていかないだろうということで、これは我々、消費者の意識というのも合わせて変わる必要があるとおっしゃっていました。

食費が激減!? “食品ロス生活”から見えた課題

武田:高山さんも今回、クローズアップ現代初登場で取材に行って、どんなことを感じました?

高山:アプリなどを通じて、私は、食品ロスを減らせと言われても…というのがあると思うんですが、「“減らす”から“楽しむ”時代へ」。

今、世界的には人口がどんどん増えていますし、日本だけじゃなくて、農業をする方、生産者が逆に減っているんですよね。ですから、食べ物を奪い合うというのが加速する前に、ぜひ皆さん、楽しみながらロスと向き合ってもらえたらなと。

武田:そのうち楽しむどころじゃないという時代が来るということですね。

高山:そうなんですね。これは私の願いです。

武田:宮田さんは、ITとか新しい技術にお詳しいんですけれども、これはどういうようなことでロスを減らしていけばいいんでしょうか?

宮田さん:私は、「データを活用して、ロスを減らして、おいしさをもっと」ということで、例えば今、日本では気象予測のデータと連動しながら、食品を作り過ぎない、取り過ぎない、こういったことをコントロールしてロスを減らしていく。こういうような施策も進んでいます。

一方で、それを使うと、今度、例えば日照時間が短くて甘くない果物が出来てしまった。これじゃあ、例えばゼリーと混ぜて、甘さを補完してもっとおいしく提供しようと。安くたたき売られるんじゃなくて、食品の価値を上げるということにもつながるかもと思います。

武田:そして、石井さんは?

石井さん:僕は、社会の目線というか、「かっこいい」ということだと思うんです。

今、本当にいろんな企業がエコというものを「かっこいい」ということに見せていこうと。これは、やはり僕たちがロスをやめることをいいこと、「かっこいい」ことだ、そういうような雰囲気というのを、どんどん作っていかないといけないのかなと思っております。

武田:新しい、「かっこいい」という価値観を作るということですね。

石井さん:メディアとか教育とか、そういうところが作っていくということですね。