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2019年3月12日(火)

“転勤”が廃止される!? 働き方の新潮流

“転勤”が廃止される!? 働き方の新潮流

ある大手損保がこの春から、“転勤”を原則廃止する。今後2年半かけて、全社員が自分の働きたいエリアでずっと働き続けられるようにし、社員の望まない転勤を一切なくすという。不正防止や多店舗展開などのために金融業界は転勤が不可欠とされてきただけに、各界を驚かせている。背景にあるのは、転勤がある企業には学生が集まりにくく、社員の離職も進むという危機的状況。最新の調査では、育児や介護を抱える現役世代の8割が転勤を家族への負担が重いと考え、新卒者の7割が全国転勤を行わない地域限定社員を希望している。そうしたなか、転勤廃止以外にも、複数の企業が連携する新たな取り組みが始まっている。夫の転勤が原因で離職する女性が多いことから、配偶者の転勤先の地域にある他社に、役職も収入も落とさないまま“移籍”できる制度。元の会社に復職も可能だ。人手不足が深刻化するいま、働き手や家族は何を選択し、企業はどう対応しようとしているのか。3月、内示のドラマが展開される現場を見つめながら、これからの働き方を考える。

出演者

  • 青野慶久さん (サイボウズ 社長)
  • 武田真一 (キャスター) 、 鎌倉千秋 (キャスター)

“転勤”がなくなる!? 働き方の新潮流

今月(3月)始まった学生向けの就職説明会。最近は、働く地域を限定した企業が人気で、転勤がないことが学生に選ばれるポイントの1つだといいます。実際、転勤のあり・なしが、どれほど企業選びで重視されるのか。会場にいた就活生100人に尋ねました。

転勤なしを希望した就活生
「安定していたいです、そこの場所に。あんまりぽんぽんいく(転勤する)よりも、1か所でずっと長く働きたい。」

転勤ありを希望した就活生
「めっちゃ昇進したいです。(転勤)ある会社のほうが出世するというか。昔から親にも『男は職』と言われていて、自分の考えでもあるので。」

調査の結果、実に6割の学生が転勤のない会社への就職を希望していました。

そうした中、来月(4月)から、全国転勤を原則廃止する企業があります。AIG損害保険です。全国200の拠点に7,000人の社員が働く大手企業。「本人が望まない転勤」を、全てなくすと宣言しました。制度の基本的な考え方です。まず、全国を11のエリアに分け、社員に希望勤務地を選択してもらいます。

あるエリアを選択し勤務地に配属されると、その後は、職場が変わるとしても、原則90分で通える範囲に限られます。そのため、引っ越しを伴う転勤がなくなるというのです。社員の反応は—。

社員
「あんまりいろんなところに動くと、単身(赴任)になってしまったりとか、家族を連れて行ったりするのも大変ですし、非常にありがたい制度だと思っています。」

背景にあるのは、働き方の変化です。これまで転勤は、人材の育成やマンネリ防止などのために必要だと考えられてきました。それが今、子育てや介護など、さまざまな事情を抱えながら働く社員が急増。転勤による離職が相次ぎ、企業は危機感を募らせているのです。

AIG損害保険 執行役員 福冨一成さん
「他の会社とは違う制度というか仕組みというのを持っていないと、いい人をひきつけられないというのはあると思います。会社が全国転勤を前提として考えるということを、いよいよ見直さなければいけないということで、人事の中では覚悟ができた。」

3月1日。転勤制度改革後、初めての内示が行われます。この日、会社が内示を出すという人に密着しました。12年前に中途入社し、これまで、松山、佐賀で勤務してきた古瀬陽一さん。

希望する勤務地は、妻のふるさと、鹿児島です。その先も転勤せずに、鹿児島で家族と共に暮らしたいと希望しています。

古瀬陽一さん
「上の子ですね。6歳です。『おはよう、だいすきだよ』って。やっぱり朝こういったメッセージを見ると、頑張ろうって気になります。」

取材班
「家族ってどんな存在ですか?」

古瀬陽一さん
「生きていく目的。家族のために本当に頑張るっていう存在ですね。」

突然、担当部門の上司に声をかけられました。

上司
「今日はですね、人事異動の話をさせていただきます。2019年4月から古瀬さんは、鹿児島のサービスセンター長ということに。」

古瀬陽一さん
「ちょっとガッツポーズしていいですか?」

実は、鹿児島にマイホームを建設中。望まない転勤をなくす新たな制度のおかげで、新居で家族と暮らすことが決まりました。

古瀬陽一さん
「やっぱりこれだけの組織なので、人数がすごく多いから、そもそも、みんながみんな(希望が)かなうのか。もちろん、自分が行けるのかどうか正直分からなかったので、ついちょっと(感情を)爆発させてしまいました。」

奥さんに、すぐ報告です。

古瀬陽一さん
「鹿児島に異動だって。」

古瀬さんの妻
「おめでとうございます。」

古瀬陽一さん
「これで4月から、また一緒に住めるということで。」

一方、初めての内示を経て、この制度の課題も見えてきました。

マネージャー
「これは予想されたことですけれども、東京と大阪に希望されている方がかなり多いという状況になっています。」

東京と大阪に6割の希望が集中。このため、地方のポストが埋まらない事態が発生したのです。

マネージャー
「課長は全員埋まったんですけど、やっぱりセンター長できる方っていうのが、今、空いていますと。」

センター長は、顧客対応を取り仕切る重要なポスト。その人材をどう確保するのか…。

執行役員
「ロール(役割)を担える人を決めて、それで教育とかをしないと。」

さらに、勤務地の希望がかなう社員の側にも、厳しい意識改革が求められるという声があがりました。

部長
「居住地という面では、確かに優しいのかもしれないけれども、実際にそこで、一体何をやっていくのか、自分のキャリアをどう描いていくのか、自分自身が責任を持ってやらなきゃいけない制度なので。自分の将来というものをきちんと描いていかないと、この制度というのは、うまくまわっていかないのかなという気はします。」

ゲスト 青野慶久さん(サイボウズ 社長)

武田:転勤がなくなって好きな所に住める、これはハッピーだと思いますけれども、一方で、自分のキャリアに対する責任も問われる。
同じように社員が希望しない転勤をやめたという青野さん。働く人にとっては厳しい面もあるんですね。

青野さん:厳しいと思いますね。ある意味、自分がどこで働きたいのか、どんな仕事をしたいのか、明確にそれを持っていないと、話もできないわけですよね。自立が求められる厳しい制度だと思います。

武田:一方、会社は転勤を原則廃止にしているわけですけれども、それでどうやって組織を回していくんでしょうか?

鎌倉:AIG損保は、あくまで社員の希望をベースに調整していきたいとしているんです。こちらは、去年(2018年)12月に会社が社員に対して行った調査なんですが、「転勤なし」を希望した人は8割だったんですが、実は2割の人は逆に「転勤あり」と答えていたんです。

会社としては、ポストが埋まらない地域については、こういった「転勤あり」と答えた社員を活用したり、将来的には、地域採用社員を増やしたり、人材育成をして、2年半かけて全員の希望をかなえるとしているんです。
現在、こういった転勤制度の改革は、ほかの企業でもさまざまな形で進んでいまして、例えば飲料メーカーのキリンは、転勤を最大5年間猶予できるという仕組みを導入しています。また、サントリーは、5年から10年先の転勤希望について、上司と部下が毎年話し合うという制度がもうすでに始まっているそうです。

武田:いろんなところでこういった制度が始まっているんですね。
青野さんの会社は日本各地、世界にも拠点がありますけれども、どうやって社員と会社のニーズのミスマッチを解消しているんでしょうか?

青野さん:私たちの場合は、基本的には上司と本人が相談して、合意の下で決めるというのが基本方針になっています。なので、例えば仙台に新しい営業所を作りましょうとなった時に、まず営業部長は「○○君、行ってくれないかね」と言って、「嫌だ」って言われるわけですね。そうすると、また次の人にあたると。こんな感じで決めていきます。

武田:それで、いつか見つかるものですか?

青野さん:もし見つからなかったら、頑張ってそこで採用すると。それでもやっぱり見つからなかったら、とりあえず、その営業所はあきらめると。

武田:でも、仙台に仕事があるから営業所を作るんですよね?

青野さん:そこで働きたい人がまだいないのであれば、しょうがないなということで。

武田:それはそれでいいんですか?

鎌倉:営業計画ありきじゃないんですか?人のほうが優先されると。

青野さん:もちろん、そこで無理して生かすという手もあると思うんですけれども、そうすると本人も疲弊してしまいますし、また、辞めてしまうリスクも出てくるわけですから、どちらかというと、ちゃんと社員の幸せを重視して、気持ちよく、長く働いてもらえるほうを優先すると。

武田:青野さんの会社では、これまでいろんな失敗もあったと聞いたんですけれども、例えばどんなことがあったんでしょうか?

青野さん:以前は大阪に本社があったことがありまして、それを東京に移すというので、40人ぐらい大移動しまして、全員異動だってやったんですけれども。

武田:同意なしの異動ですか?

青野さん:同意なしでやったんですけれども、そのあと数年かけて、どんどん辞めていきましたね。

武田:そういう経験もあって、今の取り組みにつながっているということなんですね。

鎌倉:かつて、会社に命じられた転勤は絶対でしたよね。拒否することはほとんどできなかったわけなんです。それを象徴するのが、1980年代に出た最高裁の判決です。家族の状況から転勤を拒否した社員が懲戒解雇されて、それを不当だと訴えたものの、敗訴したんです。

しかし、育児や介護をしながら働くことが当たり前になる中で、最近の法令では、「家庭の状況に配慮しなければならない」というふうにされているんです。さらに、改正男女雇用機会均等法の中では、「転勤ができることを、採用や昇進の要件としてはならない」というふうに定めているんです。

ただ実際には、これは歯止めになっていないのではないかという指摘もあるんです。専門家は、従来型の転勤の意義そのものについて、疑問を投げかけています。

リクルートワークス研究所 所長 大久保幸夫さん
「以前は転勤を人材育成の非常に重要な機会と捉える傾向があって、転勤を昇進の条件にするみたいな、暗黙のルールがあった。普通の人事異動(引っ越しのない異動)よりも効果が低い、教育効果。」

実際に「仕事上の能力を深められたか」と尋ねますと、転勤よりも引っ越しをしない異動のほうが「深められた」と答える人が多いという調査もあるんです。

リクルートワークス研究所 所長 大久保幸夫さん
「どう考えても、今の転勤は合理的だというふうにはならない。」

武田:人材育成の意義とか、あるいは地元と癒着してはいけないとか、いろんな意義が強調されてきましたよね。本当にそういう意義はないんですか?

青野さん:意義はあると思うんですけれども、例えば育成でしたら、ほかにもいろんなやり方があると思うんですよね。もう1つは、ちょっとやり方が一方的すぎますよね。「お前にはこうやって育ってほしいんだ。だからこういう転勤を考えたんだけれど、どうかね」と聞けばいいんですけれど、それも「決めたからこう」って、一方的なのがやっぱりよくないと思います。

武田:そうしますと、転勤の制度を変えるということは、企業の在り方そのものも変えていかないといけないということになりますよね。

青野さん:日本では「メンバーシップ型雇用」という雇用形態になっていまして、一度会社に入ってしまえば、どこで働くとか、どんな仕事をするとか、それも上司が全部権限を握ってしまっている状態ですね。これが、メンバーシップ型。でも、これは一般的ではなくて、ほとんどの国では「ジョブ型雇用」といって、採用される時点で、どこで働くのか、どんな仕事をするのか、いわゆる「ジョブディスクリプション(職務内容)」というのを決めた形で雇用されます。なので、転勤と言われた瞬間に「じゃあ、もう一回サラリー(給与)から見直しましょうね」という交渉が入るわけです。それがある意味、日本の場合だと、権限を全部握られてしまっていると。やっぱり、ここを変えていかないといけないと思いますね。

武田:ただ、ジョブ型ということは、その仕事がなくなったら、その人はその会社にいられないということにもなるんじゃないですか?

青野さん:ある意味、解雇はこちらのほうがやりやすいという指摘もありまして、恐らく、このあたりをうまくミックスして、もしくは個人が選択できるような雇用に変わっていくんじゃないかなと思います。

鎌倉:望まない転勤をなくす動きを見てまいりましたけれども、実際には年間60万人の社員と、その家族が転勤していくわけです。続いては、そういった家族が抱えるリスクについてクローズアップします。

夫の転勤で妻が離職 どう防ぐ

転勤族の夫を持つ、こちらの女性。これまで、夫の転勤で3回の引っ越しを経験してきました。

女性は勤めていた会社を退職。今も、フルタイムの職に就くことはできないといいます。最新の統計でも、「夫が転勤したら今の職場をやめる」と答えた人、およそ7割。転勤による離職リスク、深刻なんです。
転勤で住み慣れた場所を離れることは、子どもにも影響を及ぼしていました。ストレスから、長男の視力が突然悪化したのです。

新藤里恵さん
「引っ越すことの負担がどれだけなのか、怖いです。」

転勤で配偶者が離職 どう防ぐ

武田:私も、これまで4回転勤してきたんですけれども、そのたびに、本当に妻には大きな負担をかけてきたなというふうに思っているんですね。
入局したのは1990年、ふるさと、熊本に配属されたんですが、私の妻も、熊本の地元の企業に勤めていました。結婚して松山に転勤する時に、妻は会社を辞めて、私と一緒についてきてくれました。私の転勤で妻が仕事を辞めざるを得ないということになったことには、本当に今となっては申し訳なかったなというふうに思います。

鎌倉:青野さんは、転勤族の家族も負担を背負わなければいけない今のこのシステムをどう見られますか?

青野さん:今のお話でしたら、奥様のキャリアが転勤で中断されたというのもありますし、また、その奥様が働いておられた会社からすると、ある意味、武田さんの転勤によって辞めざるを得なくなった、引き抜きをされたような感じですよね。NHKに業務妨害をされたと、こういう見方もできるわけですね。

武田:結婚式のスピーチでそういうふうに言われましたね。

青野さん:なので今、強制的な転勤というのは、お互い、業務妨害をし合っているような状況だとも言えますね。

武田:社会全体で損失になっているというのもあるわけですね。

鎌倉:こういった状況を重く見て、配偶者の転勤に伴う離職を防ぐ取り組みを始めた企業もあるんです。

夫の転勤で妻が離職 防ぐための秘策

兵庫県にある証券会社の支店で営業の仕事をしている、原田千明さんです。

原田さんの前職は、山口県にある銀行の営業員。転勤族の夫の赴任地である兵庫県に引っ越すにあたり、1年前、ある制度を使って、今の会社に移ってきました。

原田千明さん
「前の職場では“主務”という役職だったんですけれども、こちらに来て“アシスタントマネージャー”。」

実は、役職も給与も、前の会社とほぼ同じ。築いてきたキャリアをリセットすることなく、別の会社に移ることができる、新たな転籍制度を利用しました。

原田千明さん
「単純にうれしいことではありました。(役職を)スライドで来ている以上、貢献しなければと。」

この制度は、各地に支店を持つアイザワ証券が、他の地域に支店のある銀行や信用組合3社と提携して運用しています。

原田さんは、夫の赴任地である兵庫県に銀行の支店がなかったため、提携している証券会社の支店へ転籍したのです。今後、夫の転勤先によっては、再び元の企業に戻ることもできます。
銀行の時と違い、株の売買を取り扱うようになった原田さん。市場が閉まる直前…。

原田千明さん
「300株1,200円の買いに訂正します。違う?株数が1,000?危ない…。」

まだ苦戦する時もありますが、上司と一緒に指さし確認。サポート体制も整っています。

原田さんの夫
「ただいま。」

原田千明さん
「おかえり。」

原田千明さん
「働きたい人間にとって、働き続けられる機会が設けてもらえる。選択肢が増えること自体はすごくありがたいです。」

制度に参加している銀行の頭取は、これによって、転勤による離職の不安が減ったと感じています。

提携企業 西京銀行 頭取 平岡英雄さん
「いちばんキーになるのは、前職で築いたキャリアであるとか待遇面、いろいろなものを、そのまま生かして、そのまま横滑りできるかどうか、それが受け入れられるかどうかが大前提だと思います。」

この制度の導入で、社員の中に、自分のキャリアを切り開こうという意識が芽生え始めています。岡山に本社のある信用組合で窓口業務を担当する、廣橋仁美さんです。

廣橋仁美さん
「旦那です。」

夫は転勤族。そろそろ、次の転勤の内示が出るころです。廣橋さんは、夫の赴任先で、この制度を利用したいと考えています。そこで、ファイナンシャルプランナーの資格の勉強を始めました。提携先のどの企業に転籍しても役に立つと考えたからです。

廣橋仁美さん
「同じような金融機関でも、やっていることが違ったりするので、自分のためにも勉強になりますし、これを知っていたらお客さんにも提案できる方法が変わってくると思うので。」

この制度を発案した証券会社の専務、角道裕司さんです。

新たな時代に立ち向かうための人材づくりにもつながると考えています。

藍澤証券 専務取締役 角道裕司さん
「今やっている業務がそのまま10年続くのか分からない不透明な時代ですので、そこにどう対応できるか、そういう人材をどれだけ抱えているのかが勝負になる。(転勤について)新しいやり方が今、試されているところだと思います。」

転勤で配偶者が離職 防ぐための秘策

鎌倉:同じような取り組みは、こちらの業界でも始まっています。去年6月から「民鉄キャリアトレイン」という制度が始まりました。関東や東海、近畿、九州の私鉄11社が連携して、配偶者の転勤に合わせて転籍することができるんです。これ、元に戻ることもできるんです。

“転勤”がなくなる!? 働き方の新潮流

武田:インタビューで、「今の仕事が10年続くか分からないから、新しい人生を考えていかなければいけない」ということでした。転勤の在り方って、これから本当に変わっていけるんでしょうか?

青野さん:転勤自体はなくなるとは思っていません。「転勤するのも問題ない」という人も2割いらっしゃるわけですから、転勤を喜んで行く人もいるわけですね。転勤したくない人にまでやらせているのがよくない。だから、そこを一人一人見ないといけない。そうしないと、採用するのも難しくなるし、定着もしてもらえなくなって、どんどん不人気な企業になります。逆に一人一人の意見を聞きながら、転勤したい人は転勤させてあげる、転勤したくない人はさせないってすれば、全員楽しい会社が作れるということだと思います。

武田:全員楽しい会社じゃないと、次の時代に対応できるようなアイデアはやっぱり出ないものですか?

青野さん:一人一人の個性を生かすという発想でいけば、まさにダイバーシティーをイノベーションに変えるための議論も生まれる。これを一方的に「上司の言うことを聞け!」みたいな会社だと、なかなか新しいアイデアが出てきませんね。

武田:私たちの時代というのは、会社も目的みたいなものがずっと変わらなかったから、そこに人を順番に回していけば、何とかなったんですけれども、これからは何が必要になるか分からない時代だからこそ。

鎌倉:社員一人一人が、キャリアプランを自分で設計していかなければいけないのかなとも思いますね。

青野さん:逆に、本当に厳しい時代に入っていると思います。自分はどう生きたいのか、どう働きたいのか、それを一人一人問われるような時代に向かっていると思います。

武田:そのために会社も、そういった人たちの声をどうやって生かして、新しい仕事ができるかということを考えていかなければいけない。経営者としても大変ですよね?

青野さん:大変です。一人一人、全員と向き合うという覚悟がやっぱり求められていますね。

武田:そこまでやらないと、新しい時代には対応できない?

青野さん:はい、そう思います。

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