クローズアップ現代 メニューへ移動 メインコンテンツへ移動
2019年2月14日(木)

“バイトテロ”の深層 ~なぜ無くならない?不適切動画~

“バイトテロ”の深層 ~なぜ無くならない?不適切動画~

先週、飲食店などのアルバイトが悪ふざけを撮影した動画がSNSで拡散され、企業が甚大な被害を受ける事態が頻発した。従業員への法的措置が検討されるなど厳罰化の機運も生まれている。こうした事態を受け、アルバイトにどこまで責任を求めるべきか、ネット上で議論が巻き起こっている。再発防止のため厳罰を支持する立場と、低賃金で働くアルバイトに過度な責任を求めるべきではないという立場で賛否が分かれている。番組では、労働者と経営者の双方の立場から論客を招き、“バイトテロ”問題の深層を議論する。

出演者

  • 桑江令さん (ウェブリスクコンサルタント)
  • 藤田孝典さん (NPO代表理事)
  • NHK記者
  • 武田真一 (キャスター) 、 田中泉 (キャスター)

激論!不適切動画“バイトテロ”をどう見る

武田:軽率な行動を厳しく非難する声が高まる一方、ネット上では、アルバイトに頼っている企業の在り方を巡る論争も起きています。その論争を、今日(14日)はこのスタジオで、見える化していきたいと思います。
企業側の代表、ネットリスクの専門家として飲食業界など、100社以上のコンサルティングをしてきた、桑江令さん。そして対するは、NPO代表で労働問題に取り組んでいる、藤田孝典さん。今回の騒動について、企業側の責任に言及して大きな議論を巻き起こしました。

まず、議論していただきたい最初のお題は「“バイトテロ”どう見る?」ということなんですが、桑江さん、企業側の視点から、どういう問題だと捉えていらっしゃるんでしょうか?

桑江さん:“テロ”と名付けてはいますけれども、その行為に何か主張があるというわけではなくて、仲間内で楽しむため、悪ふざけをするためにしている行為。その行為によって、企業としてはイメージもダウンしておりますし、かなり大きな損害を与えられてしまっていると。それをアルバイトだからといって責任を負わないというのは、企業としてはなかなかやるせない部分かなと思っております。

武田:企業としては「やるせない」ということですけれども、藤田さんは、どんな問題だと捉えていらっしゃるんでしょうか?

藤田さん:私は、企業の側の責任が大きいんじゃないかというふうに思っています。アルバイトは補助的な労働ですので、大きな責任を負わせるのは難しいですし、非正規雇用が8割、9割という業界ですから、やはり教育も十分徹底していなかったんじゃないかというところから、企業の管理・監督責任を問いたいと思いますし、厳罰化はやはりおかしいんじゃないかなという視点で見ていますね。

武田:飲食業界もコンビニもそうですけれども、いわゆる売り場の最前線に立っている基幹的な業務をアルバイトが担っている、この状況を桑江さんはどう捉えていらっしゃいますか?

桑江さん:もちろん、その事象事態は是正できるのであれば、正社員を入れるといった形でできると思いますが、実際に、今の実情というところで、人手不足でしたり、もろもろの問題も踏まえて、ある意味しかたない部分、かつ、これまでも実はそれほど大きく変わっているものではないと思っていますので、そこは、ある意味しかたないのかなというのは感じていますね。

武田:藤田さん、だからといって、こういう投稿をしていいという話じゃないですよね?

藤田さん:もちろん、このような動画は出さないでいただきたいなというふうに思いますし、軽率な行動は控えていただきたいと思いますけれども、やはり正社員をちゃんと雇えないのかというと、管理・監督者を雇えるだけの十分な利益は上げていますので、もうかっていない企業が怒っているというわけじゃなくて、ある程度、利潤の上がっている企業ですから、管理・監督者を置いていただきたいというのは、私の思いですね。

武田:今日はお2人の議論、さらに深めていきたいと思います。

田中:今回、私たちはこの問題への意見を募集しました。すると、アルバイト側と、管理をする側の双方から280通以上も頂きました。まず、アルバイトなどからは「不適切な行動をネットにアップするのはいかがなことかと思うが、やっていられない気持ちになるのはよく分かってしまいます」という声。さらに「正直、最低賃金で働いていて、倫理観も何もない」という声。一方の管理をする側からは「愚行以外の何物でもなく、しつけ以外に改善策はない」とか「低賃金だろうと雇い主は対価を払っている。ちゃんとした罰を与えないといけない」という厳しい見方もあるんです。

武田:「給料が安い」ということはあるにせよ、でも、やはり職責というものはちゃんとあるんじゃないかという声があるんですけれど、どう受け止められますか?

藤田さん:もちろん、与えられた業務をしっかり遂行するべきだとは思いますね。ただ、遂行できない理由があって、やはり経験不足であったりとか、待遇が業務に追いついていない、賃金が低いという状況だとか、企業に不満を持っているということだとか、そういった背景に注目していく必要があるんじゃないかなとは思いますね。

武田:桑江さん、「やるせない」という状況は「やる気も出ない」とか「分かるよ」というような声もあるんですけれども?

桑江さん:やはりアルバイトとして対価をもらっている。どう働くかという話になるんですが、いってしまえば、通常の働き方の中で何らかの過失があった。そこに対しての責任という部分では、確かにアルバイトに負わせるのはどうかという話があると思いますが、今回、過失というよりも、言ってしまえば、悪ふざけというところになっていきますので、そこまで企業が責任を負うべきなのか、かつ、それがアルバイトだから許されるのかというのは、やはり違うのではないかなと思いますね。

武田:藤田さん、いかがでしょうか?

藤田さん:まず企業がアルバイトにどんな教育をしていたのかというのは、なかなか語られないんですよね。だから、恐らく悪ふざけの範囲でやっていたというのは間違いないと思いますけれども、やっぱり個人に責任を負わせるというのは。特に若者たちって、私も大学で教えていますけれども、いろいろといたずらしてしまうというのは、ある程度しょうがないということもあって、なので、そこの部分はちゃんと管理する、人の配置がやっぱり重要だと思いますね。

武田:高校生が問題になっているわけですよね。そういった人たちが、投稿するということの影響を想像できないんじゃないかという気もするんですけれども、桑江さん、いかがですか?

桑江さん:実際に、5、6年前のツイッターでの事件は、それまではそういった事件がなかったので、そういった影響を与えることは分からなかったということは確かにあります。今回、そこから数年たってということもありますし、ツイッターからインスタグラムに変わったということもありますので、そういったイメージが足りなかったといってしまえばもちろんなんですが、ただ、そもそもアップをする行為と、やってしまった行為というところはまた違いますので、そもそもやってはいけない行為だよねと、それをアップした、しないというのが問題にはなっていますが、そもそもの行為というのは、結局、許されるものではないのではないかと思いますけれどね。

武田:企業の側からは「賠償を請求する」という声もありますよね。これについてはどうですか?

桑江さん:今回、ある意味初めてというか、大企業がしっかりとそういった対策をするということを発表したのは画期的な話で、実際にそういった企業側の発表としては「再発を防ぎたい」という社会的な部分の意義を認めていたんですが、そこの部分はいろんな意味合いがありますけれども、大きな一歩ではないかなと思います。

武田:「大きな一歩」とは、どういう意味で?

桑江さん:これまでは結局、企業側が泣き寝入りをしていたという部分もあります。これは「アルバイトだから」という部分も含めて「企業の責任です」ということでやってきたものを、今回改めて考えた時に「じゃあ、アルバイトの責任ってどうなの?」ということを世に問うような形になっておりますので、そういった部分では、非常に大きな一歩ではないかと。

武田:確かにこのような行為をしたアルバイトが悪いかもしれませんが、アルバイトがこういった大きな額の賠償を負うことについては、藤田さんはどう思いますか?

藤田さん:その行為自体については悪いと思いますね。ただ、それは企業の中で働いている組織の一員ですから、組織に対してやっぱり責任があるだろうというのが、私の大きな主張ですね。だから、これまで企業が責任を負ってきていますので、今回、一歩というよりは、従来どおりちゃんと企業の組織的な問題として受け取ってほしいし、個人には責任を負わせてほしくない。特に若者ですので、将来ある若者に対して厳罰に処すということは絶対反対ですね。

田中:今回番組には、コンビニや外食の厳しい現場の状況を訴える声も、企業側、そして労働側の双方からたくさん寄せられました。まず、店長や経営者などからは「とにかく人手不足。店舗がアルバイトスタッフのみになることがあってもしかたがない」という声。さらに「責任者である経営者や社員さんの休日や休憩が取れないんです。監督責任を追及されるのは気の毒だとも思います」。一方、労働者側は「社員の不足によるアルバイトの管理不足。動画の本人を叩いても、本質が改善されない限り、何度も出てくると断言します」。さらに「店内に社員がいない状況。責任を負わない、負い方も知らないバイトにお店を任せるのはやめるべき」。また、こんな声もあるんです。「非正規社員ばかりだからダメという議論がそもそもおかしい。子育てしながら、学業しながらでも責任感を持って働いている人はたくさんいます」。また、店舗での人材教育を疑う声もありました。「従業員教育といっても、マニュアルやルールで縛りつけようとするだけなんじゃないか」。

武田:両サイド、さまざまな意見がありますけれども、まず桑江さん。人手も不足しているし、管理も行き届かない、そういった現状があるんじゃないかという声がありましたが、いかがですか?

桑江さん:まさにそこは企業側もふだん悩んでいる部分で、今回のような事件の前に、やはり人手不足という問題は、ずっとここしばらく言われているのもありますので、そこにさらに追い打ちをかける形で今回、というところなので、非常に企業としては悩ましい問題だなという気がしますね。

武田:人手不足がこういったことの背景になっているということはないですかね?

桑江さん:あるとは思います。

武田:管理者がいないとか。

桑江さん:投稿にもありましたが、人がいないので店長がでばってしまうということは実際起こっておりますので、その中で、じゃあ、社員をずっとつけるのかというのは、なかなか現実的じゃないというのは事実あるのかなと。

武田:「藤田さんもお店を経営してみればいい」というような声が視聴者から届いているんですけれども、企業側も苦しいんじゃないかと。

藤田さん:本当におっしゃるとおり苦しいと思いますね。中小零細企業、個人飲食店は本当に厳しいと思いますね。だから、これは単価を引き上げるとか、顧客に対しても理解を求めていきながら、サービスの向上をしていく必要はあると思いますね。ただ、大手は非正規雇用の比率が高すぎますし、8割、9割っていうのは、もう少し正社員の比率を高められるし、店長のみの時間とか、やはりアルバイトだけの時間ということを抜きに、ちゃんと管理・監督者を置くような努力は怠らないでほしいなというふうには思いますけれどね。

武田:正社員が増えれば、こういった現場の士気やモラルは上がるものですか?

藤田さん:管理・監督者で、ちゃんと怖い上司がいるとか、ちゃんと管理をしてくれている人がいれば、それは今よりは減ると思いますね。今は明らかに非正規雇用に丸投げですから。本来、正社員を補助する形の労働力に丸投げしているという状況がありますので、ここはちょっとやり過ぎじゃないかというのは感じるところですね。

桑江さん:とはいえ、監視という話になってくるので、海外だと、カメラを使って監視をして防いでいるという事例もあるんですが、日本でもそれはできるんですね。ただ、それをやるべきなのかというのは、別の問題も絡んできますので、シンプルに監視すればいい、管理すればいいというところも、また違うモラルの話をしっかりしないといけないのかなと思います。

なぜ炎上相次ぐ? “バイトテロ”の深層

武田:次のテーマは「なぜ炎上が相次ぐ?」。アルバイトが不適切な動画や写真を投稿するような事例はこれまでもあったわけですよね。ただ、今回のケースを分析していくと、当時とは大きな違いがあることが分かってきました。

管野彰彦記者(ネットワーク報道部):今回と同じようなケースというのは、6年前の2013年にも相次いで起きているんです。大きな変化は、投稿先のSNSが、ツイッターから、今若者に人気のインスタグラムに変わったことなんです。特に、24時間で投稿した動画が自動的に消える「ストーリーズ」という機能が使われていました。これは仲間内で気軽に使われていることが多いんですけれども、結果的にこの動画が、第三者によって外部にさらされ、写真に比べて、よりインパクトの強い動画で、瞬く間に拡散していきました。

田中:今回、NHKでは動画が拡散した経緯も分析したんですよね。

管野記者:かつて、ツイッターによって広がっていた投稿というのは、もとの動画が削除されると、拡散された動画も見られなくなっていました。

ところが今回は、最初の動画が削除されても、拡散された動画がそのままネット上に残り続けるという事態が起きたんです。その理由は、インスタグラムに投稿された動画を、第三者がコピーして保存していたからなんです。

こうした第三者というのが複数いまして、それぞれが自らのアカウントで投稿していました。さらに多くの人によって、それがユーチューブやツイッターで拡散されていったんです。

田中:こちらもご覧ください。今回、一連のケースの多くに、ネットでの炎上を扱う専用のアカウントが関わって、コピー動画を投稿していたことが分かったんです。

管野記者:こうしたアカウントの中には、この動画を投稿するために新たに作られたアカウントもありました。炎上目的で投稿する人たちがいたということですね。今回の件に、そうした人が複数関わっていたことが分かったんです。

田中:今、若者たちは、一日中、生活のあらゆる場面を撮影して、それをシェア、共有することが当たり前のことになっています。こうした状況で注意すべきポイントを、人気ユーチューバーとして日々ネット動画を投稿している、この人に聞きました。

人気ユーチューバー “バイトテロ”の深層を語る

ユーチューバー スーツくん
「過激なもの(動画)を作って見えると、面白い、再生されると思って、再生数ほしさのあまり、社会では嫌がられることをする人が最近は増えたのではないか。評判やみんなからの『いいね』をほしい人が『面白い点』を理解していなくて、みんなの迷惑になることが『面白い』と捉えられるような価値観にのっとって動画を出す。(私は)撮る前に、もし相手が見てすごく怒って、いろんなところに報告するかもしれないと思ったら、私はなるべくそういうことは撮影しないようにしている。」

ネットのリスクに注意! “バイトテロ”の深層

武田:企業のアンケート取材でも、勤務中のスマホ所持の禁止ですとか、SNS使用の注意喚起ビデオを現場に配信するという対策を取っているという声はあったんですね。
桑江さん、ネットのリスクを、どういうふうに企業は管理していけばいいんでしょうか?

桑江さん:以前の問題、事件があった以降、多くの相談を受けて、対策をどうすればいいのかということはありましたけれども、今あったように、マニュアルを作ったり、もしくは教育をしたりというようなことは、実際に企業でもうやってはきているんですよね。ただ結局、また今回同じようなことが起こったということは、もちろんその対策が十分だったのかというところはあると思いますので、そこはしっかりと企業としても見なければいけない部分なのかなという気はしていますね。

武田:藤田さん、このSNSのリスクの管理をちゃんとしておくということは、働く人にとっても、実は自分の身を守るためには必要なことですよね。

藤田さん:だから、企業がちゃんと対策ができていたのかということを、やっぱり問わないといけなくて、企業はマニュアル、あるいは従業員にどういうリスクがあるのか、この動画を流すことによって、企業なり本人の人生もどうなるのかということをちゃんと伝える場所は、機会なり含めて、ちゃんとする必要はあると思いますね。特に教育体制が全くないという声が非常に相談の中でも多くて、「アルバイトだけで回してます」という時とか、特にマニュアルなんか説明されたことありませんっていうアルバイトもたくさんやっぱりいますので、そこは徹底する必要あると思いますね。

武田:桑江さん、海外では、スマホそのものを持ち込みできないようになっている所も多いそうですね。

桑江さん:日本でも一部ありますけれども、やはり信用しないではないですが、リスクは確実に防ぐということで、そういった対応をするケースはあります。

武田:制服にもポケットがない?

桑江さん:作らないということもあります。

武田:そこまでやらなければいけないんですかね?

藤田さん:そういうことがあるという前提で、やっぱり対策しないといけないし、そういう企業側がちゃんとやっているんだという前提であれば、従業員の側も、それほど責任は問われないと思うんですよね。だから、まずは従業員に責任を問うのではなくて、企業がやるべきことを徹底してほしいなと思いますね。

武田:そして、複数の企業が今回検討している法的措置についても調べました。

田中:まずは多額の賠償を求められる可能性はあるのか、またどんな罪に問われるのかについてです。

管野記者:複数の弁護士(倉重公太朗さん、清水陽平さん、早川明伸さん、三平聡史さん)に取材をしたところ、「責任を問われる可能性がある」と指摘しています。まず民事では、過去の事例でいうと、飲食店が倒産して、従業員に損害賠償を求め、和解金を支払ったというケースが実際にあります。今回も企業側が訴えて、損害との因果関係が認められれば、賠償が命じられることになります。どの程度の金額になるのかは、食材を廃棄しただけなのか、あるいは騒動によって売り上げが落ちたのかなど、さまざまなケースが考えられますので、一概には言えませんが、一般的には、数百万円単位の金額になるのではないかという意見が多かったです。一方、刑事事件としては、威力業務妨害や偽計業務妨害などの罪に問われる可能性があるということです。

田中:大本となった従業員とは別に、動画を拡散させた第三者はどうなるんでしょうか?

管野記者:その人物が従業員と一緒になって投稿していたということになれば、責任を問われる可能性がありますが、全くの第三者がたまたま見つけて、コピーして投稿した場合というのは、責任を問うのは難しいという見方が多かったです。ただし、第三者であっても、例えば企業ぐるみでやっていたなどと偽りのコメントと共に、拡散させていた場合は責任を問われる可能性もあるようです。ただ、今回のようなケースの裁判例というのはほとんど今まではないので、実際どの程度の責任が認められるのかは分からないというのが実情です。

“バイトテロ”の深層 再発を防ぐ道のりは?

武田:議論、最後のテーマは、今後、労働環境もデジタル環境も激変する中で、こうした過ちを繰り返さないためには何をすべきなのか、「再発を防ぐ道のり」を考えていきたいと思います。今回取材した企業も、それは考えているところがあるんですよね。

田中:私たちのアンケートに答えてくれた第一興商は「アルバイトを重要なビジネスパートナーとして、給与・研修面で適正な処遇の実現を目指す」。また、すかいらーくは「アルバイトの方々への教育が最も重要であると認識しており、企業の責任であると考えています」と答えています。

さらに、こういう被害が起こっていない企業でも新たな動きが始まっています。明日(15日)スターバックスコーヒージャパンでは、商品の値上げを行います。この狙いは、アルバイトの時給アップや、教育の充実だとしているんです。こうした目的での値上げが、消費者にどう受け止められるのかも注目点の一つです。

武田:桑江さんは、二度と繰り返さないために企業がやるべきこと、どんなことがあると思いますか?

桑江さん:企業の責任はどこまでという話もテーマでありましたが、とはいえ、もう実際に起こってしまっている、実際に起こっているという事実はありますので、やはり企業としては何らかの手を打たなければいけない。そこに関しては、待遇アップということも一つの手としては思いますが、やはりアルバイトと会社との関係をどう作っていくのかというところは、一つ手としてはあるのかなとは思っています。

武田:いい関係を作るポイントは何でしょうね?

桑江さん:やはりコミュニケーションもそうですが、アルバイトと正社員が断絶するというか、そういった部分の環境はよくないとは確かに思いますし、会社のことを好きになってもらうということは、アルバイトさんに好きになってもらうというような仕掛けというか、きっかけを作っていくというのは重要になるのかなという気はしますね。

武田:この会社で働きたい、そういう思いを高めることがリスク管理に重要だと。

桑江さん:ファンにするということですね。

武田:藤田さんはいかがでしょうか?

藤田さん:まず、ファンにするためにも、待遇に見合わない過度な働き方をしているという以上は、やっぱりファンにはなりませんので、ただ、各社努力はしていただきながら、賃上げなり、処遇改善ということは引き続きやりながら、責任感があるような処遇を、ぜひ引き続き努力いただきたいなと思いますね。

武田:そのために値上げとか、消費者が理解しなければいけないこともありそうですよね。

藤田さん:もちろん消費者、お客さんに値上げの理解をしてもらうというのは大前提ですので、まずはちゃんと安いものはいいものはないと理解いただきたいですね。