クローズアップ現代

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2018年11月15日(木)
ゆるキャラブームに異変!人気投票に”組織票”が…

ゆるキャラブームに異変!人気投票に”組織票”が…

今週日曜にご当地キャラクターの日本一を決める「ゆるキャラグランプリ」。上位の自治体で複数のIDを作成して職員に投票を働きかける“組織票”が発覚し物議を醸している。多額の予算を広告代理店に払って選挙戦を展開した自治体もあり、「税金のムダ遣い」「本来の理念に反する」の批判の声も。一方、「ひこにゃん」や「くまモン」など、莫大な経済効果で注目されてきた「ゆるキャラブーム」は曲がり角を迎えている。グランプリの参加数はピーク時のほぼ半分の909体まで減少。投票数も3分の1に。地域振興の切り札とされたゆるキャラを巡る騒動。その背景にある、自治体の疲弊する姿とあるべき振興策を考える。

出演者

  • 西秀一郎さん (「ゆるキャラグランプリ」実行委員会会長)
  • 藻谷浩介さん (日本総合研究所 主席研究員)
  • パトリック・ハーランさん (タレント)
  • 武田真一・田中泉 (キャスター)

ゆるキャラブームに異変 人気投票に“組織票”が

ゆるキャラグランプリの投票で“組織票”を投じていた?今、話題の暫定1位と2位のゆるキャラは一体どうなるのか?それぞれの関係者が生出演!
現在、暫定1位三重県四日市市の「こにゅうどうくん」。

実は市が、キャラクターを1位にするため、投票に必要なIDを2万作成。職員に配布し、投票するよう積極的に働きかけていたことが明らかになりました。

庁内放送(市長)
「これが本当に本当に最後の投票になります。すべての思いを込めて、最後の投票をお願いします。」

四日市市 市民
「気持ちはわからないでもないですけど、1位にして知名度をあげたいというのは。そこまでしなくてもよかったと思います。」

四日市市 市民
「そういう形で1位になっても、うれしくはないです。」

四日市市観光交流課 課長 小松威仁さん
「(市民の方々には)こにゅうどうくんを応援いただく、すごく大好きといっていただいている状況。今回の報道等で、ご迷惑をかけた部分では申し訳なく思っている。」

実は、こうした組織的な投票は、他の自治体でも広がっていたことが分かってきました。

「目指せ、日本一!」

生出演していただいている、暫定2位「ジャー坊」をPRする、福岡県大牟田市。

通信業者に依頼して、およそ1万のIDを作成していました。
さらに、こちら暫定3位「イヌナキン」の大阪府泉佐野市では、市の職員が5,000以上のIDを作った上で、職場や市内の企業に投票を呼びかけていました。

ひとたびヒットすれば、大きな効果が期待できる、ゆるキャラ。これまで多くの自治体では、第2の「くまモン」や「ひこにゃん」を目指そうと、知名度アップに励んできました。栃木の「さのまる」、高知の「しんじょう君」、千葉の「うなりくん」。いずれも日本一に輝いた、ご当地キャラクターたちです。3日後の日曜日に、今年(2018年)のグランプリが決まります。今回の問題について、当事者の皆さんは今、何を感じているのでしょうか。

ゆるキャラ競争に“組織票” 当事者に聞く

武田:ということで、早速、四日市市の森市長に電話で話を聞きたいと思います。
今回の対応、物議を醸していますけれども、まず、どういうふうにご説明されますか?

森智広四日市市長:まず、私としましては、この“組織票”に大変、違和感を覚えております。何を持って“組織票”かという定義が明確でない中で、こういう報道がされているということに、非常に悲しさを覚えております。四日市は、こにゅうどうくんと21年間共に歩んでまいりました。そして、昨年(2017年)のゆるキャラグランプリでは、第4位。そして今年は最後の挑戦ということで、優勝目指して、町一丸となって頑張っていこうという体制を整えてきました。市民と行政が一体となって、応援体制を築いてきたわけであります。私は、市の公式キャラクターを、市役所が積極的に応援するのは当たり前であると考えておりますし、また、市役所内におきましても、一切職員に強要はしておりません。機械での投票でもなく、お金を払ってお願いしているわけでもなく、強要しているものではありません。この一票一票が、こにゅうどうくんに集まった100万票を超える得票は、こにゅうどうくん、そして四日市に対する思いの詰まったものと考えております。

武田:また後ほど、じっくりとお話を伺っていきたいと思います。そして、大牟田市の担当者の湯村さんとも電話がつながっています。
湯村さん、なぜIDを大量に配布するというようなことになってしまったのでしょうか?

湯村宏祐さん(大牟田市企画総務部 副参与):“組織票”というふうに取られると非常に悲しいものがありますね。大牟田市は人口11万の都市です。高齢化が35.9%と、非常に高い高齢化の町でございまして、その中で昨年、私ども、ゆるキャラグランプリに参加させていただきました。そのときに高齢者の方から、「投票したいんだ」「したいんだけれど、できない」。というのは、やはり私どもの都市環境の中で、自宅にインターネット環境がないとか、ガラケーしかないとか、いろんな切実な思いを私ども受けまして、そういった形で今回、IDを作らせていただいたということでございます。

ゆるキャラ競争に異変 なぜ市職員が“組織票”?

ゲスト 西秀一郎さん(「ゆるキャラグランプリ」実行委員会会長)
ゲスト 藻谷浩介さん(日本総合研究所 主席研究員)
ゲスト パトリック・ハーランさん(タレント)

田中:ゆるキャラ日本一を巡る騒動、こちらの3つの角度から見ていきます。

まずは、「なぜ?市の職員をあげ“組織票”」。今年で8回目を迎えた、ゆるキャラグランプリ。今度の日曜日にグランプリは決定します。事前投票による暫定順位はこちらです。

1位から3位は、いずれも票数が100万を超え、4位以下と大きな差があります。これら3つの自治体の票には、市の職員によるいわば“組織票”が含まれていることが分かりました。ゆるキャラグランプリの事前投票は、メールアドレスを登録し、専用のIDを取得し、1日1回投票期間内は何度も投票できるようになっています。今回、四日市市は、市役所の担当者がフリーメールアドレスを使って、およそ2万のIDを取得し、各部署に配布。目標を設定して、職員が勤務時間に業務として投票することを認め、市長自ら呼びかけていました。また、大牟田市は、市長や市議会議員らを中心に実行委員会を結成。同じように、およそ1万のIDを作成し、高齢者に投票を呼びかけたり、近隣の市や町に出向いて投票への協力を依頼したりしてきました。こうした活動に対して市民からは、「職員が業務中にやるべきことではないです」とか「税金の無駄遣い」などの声が上がっています。

武田:ゆるキャラグランプリを運営する西さんにもお越しいただいています。
各自治体が“組織票”という言葉には違和感があるということでしたけれども、大量の投票をするという事態になっています。これをどういうふうに受け止めていますか?

西さん:僕も“組織票”っていうことに関して言うと、別にそれを否定したことはないですし、否定するつもりもありません。一番僕らが担保しなければいけないのは、やっぱり公平性だと思います。その中で、ホームページにも書かせていただいているんですけれども、「しまねっこ」にご協力いただいたり、「ふっかちゃん」にご協力いただいたり、書かせていただいていること、「1人1日1回投票ができる」と。あと例えば、エントリーをしていただいて、それから承認をするときのメールにも、代理投票はしない、させないということは誓ってくださいということを、守ってくださいということをお願いしております。ただ、とはいえ、それはあくまでも参加いただいている方々に対するわれわれのお願いであって、それを取り締まったりとか、罰則したりとか、罰則規定があるわけではございません。私も民間人ですし。そういった意味では、今、登場いただいた四日市市に関しても、大牟田市に関しても、もう本当に、エントリーしているということとか、ゆるキャラを応援している気持ちにはうそはないと思うし、すごく純粋に地域おこしをやっていただいているんだというふうに私も理解しております。

武田:福井県のブランド大使も務めているパックンはどうですか?

パトリックさん:地元愛を形にして、みんなでわれわれの町をおこそう、みんなに知ってもらおうという、この動きは心から応援したいんですが、まずアメリカ人として、このゆるキャラブーム、すごく不思議に思いますし、ふだんからすごいきちんと真面目にやっている日本人が、何でこんなゆるいものが好きなんだという不思議なところもあります。でも、何でもランキング好きな日本の方、百名何とかとか、ベスト何とかとか、三大何とかとかよく言うから、ランキング好き、ゆる好き、ちょうど接点がある。このゆるキャラグランプリ、これは人気投票であって、その人気をはかるための善意でやっている制度であって、それを悪用っていうか、その制度の落とし穴を利用して、人気と違う結果を生み出そうとするのは、ちょっとずるいなと思います。スポーツ大会の前に、宣誓って言って、スポーツマンシップにのっとってとか言ったりしますよね。このやり方、ちょっとスポーツマンシップに欠けているんじゃないかな?これで有名になったら自治体も損するんじゃないかなと思います。

武田:という意見なんですが、四日市市長の森市長、目標を立てるとか、IDを配布するとか、ちょっと過熱し過ぎかなという気もするんですが、なぜそこまで1位にこだわるんですか?

森市長:今回、今年度、四日市市はシティープロモーション部を創設しました。四日市、シティープロモーションに力を入れていこうという姿勢です。そして、このシティープロモーションは、シティープロモーション部だけに頼るんじゃなくて、職員一人一人が当事者意識を持って頑張っていこうという方向性でした。そして四日市市は、今回の取り組みにおきまして、市役所の組織改革も行いたいと思ったわけです。ですから、それぞれの職員に、自らの思いで、こにゅうどうくんを応援してよという呼びかけをしたわけであります。自らの業務に専念しているだけではなくて、これからは部署を超えて、自らの業務じゃなくても、四日市のためになるのであれば、どんどん協力していこうよという方針を打ち出しました。でも、基本的に投票時間も、昼食時間に限って指定しておりましたし、また、業務時間といえども、例えば本業に支障が出ない範囲で、皆さん協力してくださいよというお話をしております。ゆるキャラグランプリは、ゆるキャラを応援したい人が、思う存分、応援できるルールというふうに私は理解しておりますので、この一票一票は、市民、職員の思いの詰まった得票であると、改めて感じております。

パトリックさん:今の話を伺いますと、本当に、公務員が自ら進んでやっているというふうに聞こえますけれど、やっぱり上から指示があることは“組織票”になりうるというか、そういうふうに思われがちなのはご存じだと思うんですね。これは人気をはかるためのグランプリとは趣旨が違うということは、恐らく分かりますよね?

森市長:四日市市役所も4,000人を超える職員がいます。この4,000人の組織を一つの方向性に持っていこう、そして市役所の組織力を向上させていこうと思うことってなかなか難しいんですね。ただ今回、ゆるキャラグランプリという部分をお借りして、四日市の市役所の気持ちを一つにしたいという強い思いがありました。ですから、強制はしないものの、一緒に頑張っていこうよ、一緒に四日市、こにゅうどうくんを盛り上げていこうよという強いメッセージは、職員には私自ら伝えました。

武田:大牟田市の湯村さん、大牟田市の事情としては「1位を目指さなければいけない」、これはどういうことなんでしょうか?

湯村さん:私どもは必ず1位を目指しているというわけではございませんで、私どもの今回の運動の言葉でございますけれども、「心をひとつに!1日1万人運動」。これは昨年、私どもの町は100周年を迎えました。その中で今後、100年につながる何かができないかと、非常に模索をしておったところでございます。そうした中で、今回のジャー坊、これは、レベルファイブの日野社長と、デザイナーの長野さんが大牟田市出身の方でございまして、そこから無償で、今回、ジャー坊を提供していただきました。そして、このジャー坊を活用して、何とか大牟田を元気にしたい、イメージを変えたいというのが、私どもの思いでございます。

武田:「イメージを変えたい」とは、どういうことなんでしょうか?

湯村さん:私ども、いろんな形でアンケートを取りますと、大牟田市のイメージの色は?ってなると、灰色とか、結構暗い色でございます。ただ、大牟田って非常に住みやすい町です。そういったことを何とか分かっていただきたいということで、このジャー坊を活用させていただいたという感じで考えております。

田中:自治体がゆるキャラグランプリを目指す理由としては、大きな経済効果もあります。例えば、くまモンの場合、グランプリ優勝から2年間で、グッズの売り上げや、その生産のために新たに生まれた雇用、そして観光業への効果など、合わせて1,244億円の経済波及効果があったとしています。

武田:全国の自治体をくまなく回り、地域再生のアドバイスを続けておられる、藻谷さん。
今の自治体の事情、どういうふうにお聞きになりました?

藻谷さん:すごく今の日本の象徴的なことですね。四日市と大牟田でしょ、これは日本を支えている産業である工業のものすごく重要な工業都市ですね、さらに歴史も古いです。四日市であれば、東海道五十三次ですよ。そして、その時代の宿場町が発展して、県庁もなければ、お城もないのに、いまだに三重県最大の産業都市だし、日本有数の産業都市ですよ。昔、公害とかいうイメージがあった。今、非常に緑の豊かな住みやすい、とても文化的な町。大牟田も灰色とおっしゃっていたけれど、冗談じゃない。大牟田がなかったら日本の近代化はないです。世界遺産ですよ、明治の近代化の世界遺産に指定されています。それだけ大牟田の存在は重要で、炭坑節ですとか、ちょっとカジュアルだけれども、いろんな文化があって、さまざまなものを生んできた町。ただ、どちらも地元に対するイメージで、住んでいる人のイメージが悪いんですね。これは非常に変な話でね、本来の地元の価値を、地元の人がたぶん分かっていない。でも、それがゆるキャラでイメージがよくなるのかっていうと、ちょっとずれている気がするんですよね。そういう方向じゃなくて、もっと本来の、ストレートに地元のよさを訴える方法ってないんですかね。

ゆるキャラブームに転機 経済効果に疑問?

(※ゆるキャラさみっと2013 in 羽生の様子。なお、この写真は今年のゆるキャラグランプリの“組織票”の問題とは直接関係ありません。)

田中:続いて、「転機むかえる『ゆるキャラブーム』」。こちらは、ゆるキャラグランプリの参加キャラクターの数と、そして投票数の推移になります。

初めて開催されたのは、2011年。東日本大震災を経て、地域を盛り上げようと始まりました。人気キャラクターの登場により、2015年には、投票数が前年に比べて一気に2倍に。ピークを迎えました。広告代理店などもブームを後押ししました。自治体からゆるキャラを使ったPRを受注していた関係者は、「当時は自治体が『作れ、作れ』の入れ食い状態。クオリティや経済効果も十分に問われない空気だった」。また、「ゆるキャラの仕事そのものは金額は大きくないが、関連するイベントやホームページの運営など、自治体関連ビジネスを手がける糸口として大きなチャンスになった」と証言しています。しかし、参加キャラクター数、そして投票数ともに、その後、減少しました。去年の投票数は、ピーク時の3分の1にまで減っています。

武田:西さん、これはやっぱり、最近ちょっと曲がり角に来ているというふうに見ていいんでしょうか?

西さん:曲がり角というか、2011年は、画期的な特効薬だったと思います。

武田:震災がありましたしね。

西さん:それから徐々に経済もよくなってきて、もう一つはやっぱり、ゆるキャラ以外のファクターも地域おこしにどんどん表れて、ゆるキャラは一つの地域おこしのレシピにしかすぎないという状況だと思います、今は。

田中:今もありましたけれど、ゆるキャラを使った地域振興について、その評価にも変化が出てきています。例えば2015年に「出世大名家康くん」が1位となった浜松市ですが、家康くんをPRするため、広告代理店に依頼し、音楽に合わせて踊る動画やオンラインゲームを制作しました。さらに積極的にイベントに露出させるなど、多額の予算を使ってきました。しかし、担当者によりますと、家康くんの知名度が上がって(地域活性化の先導役となるなど成果が上がった一方で)、観光地やグルメなど、地域の魅力を伝えるという効果には課題も感じているというんです。

浜松市 産業部 観光・シティプロモーション課長 鈴木久仁厚さん
「家康くんを通じて浜松の地域資源を宣伝しているんですけど、伝えきれてないところがありますので、家康くんと地域の資源をどうつなげて、どう発信するか考えていきたい。」

武田:ゆるキャラが人気になることは、必ずしも地域の振興に直結するわけじゃないという実感なんですね。

藻谷さん:ゆるキャラ自体をみんなが楽しんで、いろんなところでマスコットにするのはいいことだし、イベントも盛り上がります。でも、地域振興っていうこと、例えば経済効果と、さっき、くまモンが出ましたが、であるとするならば、ゆるキャラと経済効果は、実はあんまりつながりがありません。経済による地域振興って、このように5段階になっておりまして、この一番上の「地域内経済循環拡大」っていうところまでいかないと、なかなか人口が増えたりしない。

地域内経済循環拡大って、地域の中でお金がぐるぐる回るっていうことなんですけれど、そのためには住民の所得が上がっていないと無理。所得が上がるには、地域のいろんな産品の地域産のものの売り上げが増えていないといけない。その下に客が増えたほうがいいとか、知名度が上がったほうがいいかなっていうのがあるんですが、知名度が上がったからといって売り上げが上がるわけではないんです。関ヶ原が典型で、ものすごく有名だけれども、グッズが売れているわけでもない。むしろ、知名度というほうに着目せずに、直接、地域のものを地域の人が使う地産地消とか、そういうことを進めたほうが効果は大きいですね。

武田:四日市の森市長、四日市はすごくいい所じゃないかと、ゆるキャラに頼らなくてもいいんじゃないかというご意見なんですが、いかがですか?

森市長:私どもは、このゆるキャラグランプリの目的、大きく2つあると考えております。先ほど皆さまがご議論された、シティープロモーションですね。町の知名度の向上、イメージのアップはもちろんなんです。それから地方創生が叫ばれる中、市民が町を想う心をいかに強くしていけるかというところを非常に重要視をしております。つまりは町の一体感の醸成です。そういった意味では、今回のゆるキャラグランプリの当選で、市内で多くの、例えば、こにゅうどうくんを応援する自発的なグループが立ち上がったりとか、声かけとか、非常に多くありました。私もたくさんの方から、こにゅうどうくん頑張ってねと言われました。そういった意味では、今、行政と市民が一体となった状況ができたということであると感じております。そういう意味では、今回の町の一体感の醸成という観点から捉えれば、四日市市は非常に成功したと考えておりますので、ゆるキャラグランプリ実行委員の皆様方には、本当にお礼を申し上げたいと考えております。

武田:ただ西さん、「2020年を最後に、ゆるキャラグランプリの開催をやめる」という発言なさっていますけれど、本当ですか?オリンピックの年ですけれども。

西さん:オリンピックの年、今回のオリンピックが「復興五輪」ということがテーマに掲げられておりますから、2011年の震災の年に始まったゆるキャラグランプリも、一つの到達点なのかなというふうに考えています。

武田:パックン、ちょっともったいない感じですよね。

パトリックさん:というか、ゆるいキャラクターは、ゆるキャラは、すごく愛されているから、例えばグランプリがなくなっても消えないと思うんですよ。その活躍する場をほかに作ればいい。ゆるいオリンピックを作って競い合わせる「ゆりんぴっく」を、ぜひ2020年から開催したいですね。

ゆるキャラ競争は終わり? 地域振興どうする

田中:それでは、3つ目のテーマです。「グランプリは終わり?地域振興どうする?」。

武田:皆さん、ひと言ずつ伺いたいんですけれども、西さん、ゆるキャラ創設の趣旨でもある、地方を元気にする。これは、本来どうあるべきなんでしょうか?

西さん:いくつもあるんですけれど、簡単に言うと、やっぱりゆるキャラグランプリで1位を取ること、ゆるキャラグランプリで地域の知名度が上げることよりも、もっと尊いことがあるんじゃないかなっていうことをやりながら感じています。

武田:例えばどんなことですか?

西さん:例えば、ある小学生の先生が、ここに出ている伊勢原市なんですけれど、伊勢原市の先生がゆるキャラを作ろうって子どもたちに尋ねたら、子どもたちが一生懸命自分たちの町を歩いて、自分たちのストロングポイントを探したと。それがすごく重要じゃないかなっていうふうに。

武田:ゆるキャラを通して、地域のよさを見つけるということなんですね。

パトリックさん:まさにそうだと思いますよ。ゆるキャラっていうのは、そもそも地元の魅力に気付いて作るものであって、皆に気付かせるために活躍させるものであって、でも、主人公はその地元の魅力であってゆるキャラじゃないんですね。わが福井県にも「ジュラチック」っていう、立派にゆるいキャラクターがいますけれど、これも恐竜がメインであって、ゆるキャラはあくまでも立て役ですよね、脇役なんですよ。

武田:四日市市の森市長、地域の魅力をまず見つけるべきだというご意見、どう思われますか?

森市長:もう今、もはや四日市では、こにゅうどうくんが地域の魅力になっています。これからも、こにゅうどうくんと共に、元気都市・四日市を目指して頑張っていきたいと思っております。

武田:ただ、ハイテク都市だし、自然も豊かだし、もっと町のよさ、中身に自信を持ってもいいんじゃないかという声もあるんですけれど。

森市長:四日市、多様な資源を持っている町なんです。もちろん、たくさんの産業もあります。ただ、さまざまな観点から全国に発信していく、そういったツールが欲しいというのが本音のところです。このシティープロモーションを、こにゅうどうくんが一手に担ってもらっているので、こにゅうどうくんにはまだまだ走ってもらいたいなというふうに思っております。

武田:大牟田市の湯村さん、地域の魅力はもっとたくさんあるんじゃないかという声、いかがでしょうか?

湯村さん:大牟田市は本当にいい町です。ただ、このジャー坊を使って、やっぱり大牟田市の魅力を発信をしていきたいというのは変わりません。どうにかして、この大牟田のイメージというのを、もっとよくしていきたいという気持ちはございます。

武田:藻谷さん、最後にひと言お願いします。

藻谷さん:これね、お気持ちは分かるんだけれども、やっぱり外に発信して、外の人にゆるキャラで1位に、ブームになるということが、本当の地域の魅力作りだとは僕は思いません。そうではなくて、こにゅうどうであれば、もとになっている屋台祭りの大入道というすばらしい文化がある。そのことをちゃんと市民の人が語るほうが強い。家康くんであれば、浜松で家康が有名になったという歴史を市民の人が皆知っていて、日本を救ったのは浜松だよって皆言っていることが重要。大牟田であれば、まさに大牟田で日本の歴史が発達して、世界遺産に認められるぐらいのことがあって、みんな悪いように言うけれど、全然そんなことはないと。今も立派な町として、大変な工業都市ですよということが重要だと、僕は思います。ゆるキャラをきっかけにするのはいいけれど、1位になる必要はないんですね。

武田:なるほど。地域の魅力をもう一回見直すきっかけとして、ゆるーく楽しみましょうということですよね。