クローズアップ現代

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No.38972016年11月24日(木)放送
恋人いらないってホント?出現!“いきなり結婚族”

恋人いらないってホント?出現!“いきなり結婚族”

恋人いらないってホント? 出現!“いきなり結婚族”

今、ある女性のブログが話題になっています。
その訳はなんと、結婚相手をネットで募集。
しかも年齢、年収、見た目などの条件は問わないというのです。

ブログを書いた、タマエさん。
恋愛期間をはしょって結婚したい。
まさに、“いきなり結婚族”です。

タマエさんは、シェアハウス暮らし。
女性2人、男性7人と同居しています。
家に帰れば、必ず誰かがいるので、寂しさを感じることはないそうです。
IT企業の広報の仕事もプライベートも充実しているから恋愛したい気持ちはゼロ。
ただし、子どもは欲しいので結婚したいんだとか。

タマエさん
「子どもを産むには、結婚しておいたほうが得なことが多い。
子どもについて何か自分がジャッジ(決定)しなければいけない時に、意思決定者が私ともう一人ぐらいいたほうが安心かなって。」

「共同経営者に近いイメージ?」

タマエさん
「そんな感じ。」

割り切っているというか…。
ちなみに同居男性はもう兄弟みたいな感覚なので、夫は別途募集なんだそうです。

タマエさん
「結婚してから一緒に住めるパートナーは、必ずしも好きになってドキドキする人じゃなくて、(シェアハウスで)共同生活を一緒に過ごしていけそうだと思える人のほうが大事。」

結婚相手を募集してから3週間。
すでに25人から応募がありました。
応募してくれた男性たちからも条件が分かりやすくていいと好評です。
って、そういうもの?

タマエさん
「説明会という名の飲み会をやりたい。
旦那になるかどうかのインターン期間と思って住んでもらえれば楽しい。」

いきなり結婚族が広がりつつあることを示す、こんなデータも。
大手結婚相談所3社では、20代の利用者が増加中。
中には、大学生のうちに登録する人もいて、どんどん若くなっているんだとか。

結婚までの道のりを、さらに加速させるサービスも登場しています。
スマホ向けの無料婚活アプリです。
最初に年齢、年収、相手への希望など、5分程度入力するだけで、条件に合った人を表示。
この手軽さが受けています。

アプリで結婚相手を探している、26歳のチサトさん(仮名)です。

チサトさん(26歳)
「仕事もあったので、ここ(朝10時)まで残業してました。」


介護の仕事をしているチサトさんの年収は200万円余り。
結婚を急ぐのは、家計の負担をシェアすることで、生活を安定させたいからだといいます。

チサトさん(26歳)
「気持ちとしては“すぐに同せい”でもいい。
いろいろ考えながら、やりくりしながら生活しているから、もうお金には敏感ですかね。」

国の調査によれば、経済的に余裕を持てることを結婚の利点に挙げる人の割合は、特に女性で増加傾向にあります。

チサトさん(26歳)
「2人いるんですけど、(結婚に)本気の人なのかなって。」

アプリで条件が合ったのは、40代の男性2人。
そのうちの1人とは、レストランで食事をする約束を取り付けました。

チサトさん(26歳)
「経営者らしいです。
なにか変わるかなって思ってる。
その可能性をかけてやっています。」

いきなり結婚。
ヒット中の物語にも取り上げられています。
就職活動に失敗し、自分の存在意義を見失っていた女性と、家事をしてくれる人を探していた男性。
お互いの利害が一致した2人は、いきなり結婚することに。

原作者の海野つなみさん。
顔を出すのは恥ずかしいと、自画像でのご出演。
毎週寄せられる膨大な共感の声。
いきなり結婚が、これほどまでに現実に受け入れられていることに驚いています。

“見ると、毎週早く結婚したくなる。”

“安定した生活を送りたい。”

漫画家 海野つなみさん
「なんでみんな結婚したがるのかと考えたときに、安心したいのかなと思って。
婚活疲れた、就職活動疲れた、仕事疲れた、逃げたい。
『契約結婚でいい』そういう感じは(読者の)感想を見て思います。」

恋人いらないってホント? 激変する男女の関係

ゲスト 春香クリスティーンさん(タレント)
ゲスト 山田昌弘さん(中央大学教授 社会学者)

春香さんは、「いきなり結婚」をどう思う?

春香さん:私の場合、いきなり結婚まではなかなか想像つきにくいですけど、でも気持ちですごく分かるなっていう部分は、ところどころありますね。
(例えば?)
例えば、無駄が嫌なんですよね。
結婚までのプロセスの間に無駄がいっぱいあるなというか。
時間的にも、大人とかでも、何年もつきあって結局駄目だったっていう話を聞くと、やっぱり時間の無駄って嫌だなとか。
あと、お金もかかりますし、恋愛って、と思うとお金の無駄も嫌だなと思いますし、私の場合、感情の無駄というか感情の起伏、いちいち喜んだり、落ち込んだりする、そういう問題が省けるという意味では利点もあるのかなと思いますね。
そういう意味では、子どもとか、経済的な部分とか目標がはっきりしているところで、とっつきやすいのかなという気もします。

「いきなり結婚」という前に、ある程度、時間をかけて相手とぶつかり合って知っておくというのは大事だと思うが、でもそれもいらないと思うくらい、せっぱ詰まっているということ?

山田さん:そうですね。
経済的な余裕の無さというのが最近、広がってきているみたいで、結婚というのは、好きな人と出会って、心が高まって結婚する。
でもその後に、2人で生活を始めなきゃいけないんですよね。
両方がなかなか両立しなくなると、前半をすっ飛ばして、とにかくいい結婚生活をしたいっていうところに重点が、優先順位が置かれるようになるんです。
そうすると、恋愛はコストになってしまうわけです。
まさに春香さんがおっしゃるように、コストになって、コスパを考えざるを得なくなってくる。
そうすると、長引く恋愛をするのはコスト、じゃあコストを一番縮めるのは「いきなり結婚」ですよね。
(コストパフォーマンスの感覚が恋愛にも入ってきている?)
そうですね。

「婚活」という言葉を山田さんが生み出されたのが、2007年 その時からの変化で、こういうことが起こるのは想像していた?

山田さん:今から10年前は、出会いがないから結婚できないっていう人が多かったんです。
だから自分で積極的に出会いを見つけないと、その後、恋愛して結婚できないよっていう形で「婚活」という言葉を作ったんです。
そうしたら、そうはならずに逆に恋愛の方をすっ飛ばして、「いきなり結婚」っていう人が増えてきちゃったのは、私も想像できませんでしたね。

この「いきなり結婚」というのは、まだ全体の一部ではありますが、確かに今、恋愛に消極的な若者が増え続けているんです。

国の研究所の調査では、独身で恋人がいない人は、この10年で2割近く増え、男性ではおよそ70%という結果になっています。

さらに、独身で性経験のない人というのも、男女ともに4割を超えたことが分かっています。
恋人がいらない理由としていちばん多かったのは、恋愛が面倒だからという考え方なんです。
一体何が起きているんでしょうか。

恋愛が面倒ってホント? 「恋人いらない」若者たち

恋愛が面倒って本当なのか、いまひとつ、ふに落ちない。
彼女いない歴イコール年齢の番組ディレクターが、取材を担当することになりました。

ディレクター 土生田晃(32歳)
「僕の場合は彼女がすごく欲しいですし、できたことないけど、片思いしかしたことないけど、面倒って思ったことなくて、それ本当かな?って。」

まずは、ホームページやツイッターを通じてアンケートをすることに。
10代から30代の男女、およそ800人が意見を寄せてくれました。

その中で撮影に応じてくれた若者がいます。
東京の大学3年生、ケンイチさん(仮名)。
クラスやサークルに女友達はたくさんいるのに、彼女いない歴22年で、性経験もなし。
データ上は、国の調査にばっちり当てはまっている感じでしょうか。

大学3年生 ヒデキさん(仮名)
「おかえり。」

大学3年生 ケンイチさん
「ただいま。」

同じような男子は周りにも多いんだとか。

毎週のようにアパートに泊めてもらう、こちらの同級生も恋人との性経験なし。
布団も洗面用具も置かせてくれている親友です。

大学3年生 ヒデキさん
「ここにあだ名つけて置いてあるんですけど。」

ディレクター 土生田晃(32歳)
「これ友達(ケンイチさん)の?」

大学3年生 ヒデキさん
「そうですね。」

大学3年生 ケンイチさん
「恋人がいなくてもいいぜって、肯定してくれる仲間たちがいることによって安心感を得て、そこで別に冒険をして何か好きな子にアタックしてまでも恋人をつかむという努力が面倒くさいですよね。」

出た!
面倒くさいという言葉。
これって本当なのでしょうか。

ディレクター 土生田晃(32歳)
「それ言い訳だよって言う人いない?」

大学3年生 ケンイチさん
「すごくいますよ。
『いやいやいや、(彼女)できないだけでしょ』みたいな話はすごいして、『うわっ、バレたか』みたいな返しはしてますけど。」

ディレクター 土生田晃(32歳)
「バレたか、みたいな返しはするけど、納得いってない?」

大学3年生 ケンイチさん
「そりゃ(彼女は)欲しいですよ。
欲しいのが前提にありますけど。」

本当は彼女が欲しい。
なのになぜ、恋愛が面倒なのか。

大学3年生 ケンイチさん
「こんな感じですね。
(LINEの友だちは)332人です。
一般的な大学生より、やや少ないぐらいかもしれないです。」

ケンイチさん、ふだんから身の回りの出来事をSNSで数百人の友達と共有しています。
そこでのある苦い経験が恋愛を面倒と思うきっかけになったそうです。

以前、ケンイチさんはある女性に対し、LINE上で1対1のやり取りをしながら思いを告白。
残念ながら恋はかないませんでした。

問題は、その後。
なぜか、やり取りが写された画像が友人たちに漏れ、失恋話があっという間に広まってしまったのです。

大学3年生 ケンイチさん
「恐怖心が芽生えてしまいましたけど。
そもそも、僕のこの個人的なやりとりをみんなに見られたのも嫌ですし、結構、ぼく相手のこと信用してたけど、そういうことになっちゃう。」

SNSで行動が筒抜けになることが恋愛を難しくしているという声は、アンケートに答えてくれたほかの人からも寄せられました。

電話:会社員(34歳)
「Facebook(フェイスブック)に関しては、(写真が友達から)上がってきてしまうんで、自分の行動が他の人にバレて、『あれ、最近彼氏できたんじゃないの?』みたいに勘ぐられるのも面倒くさい。」

電話:大学生(21歳)
「LINE(ライン)だけじゃなくTwitter(ツイッター)とかも人間関係が壊れないよう最大限注意している。」

専門家は、互いの行動を把握し合う、このSNS監視社会が若者たちをがんじがらめにしているといいます。

和光大学 心理教育学科 髙坂康雅准教授
「恋人とのツーショット写真を上げるなんていうのは、恋愛している若者たちからすると、普通の行為なんですけど、それが、おめでとう、いいね、幸せそうだねっていうポジティブな評価だけではなくて、いわゆる“リア充自慢”のような嫌みに取られてしまうこともある。」

このSNS社会。
出会いは楽になったかに見えて、意外にやりづらいことも増えたんですかね。

大学3年生 ケンイチさん
「彼女を作って見返してやろうじゃなくて、別にこの(恋人いない)キャラでいいやみたいなのは、僕はありますね。
やっぱり劣等感の裏返しなのかもしれないです。」

でも、SNSだけで恋愛が面倒になったわけではありませんよね。

今度は、恋が最大の関心事という28歳の女性ディレクターが取材することに。

応じてくれたのは、都内の大学に通うナオコさん(仮名)と、その友達。
全員彼氏はいないそうです。

ディレクター 鈴木裕貴(28歳)
「今の時代に恋愛しにくい原因って、どういうものだと思いますか?」

大学3年生 ナオコさん
「逃げ腰の男性がいるから、こっちもこっちで動かないし、責任を負いたくないみたいな。」

ナオコさんの友達
「人のせいにはしたくないんですけど、(男性から)来られないから(女性も)行かない。」

なんでこんなに消極的なのでしょうか。
女子会に参加していたナオコさん。
彼女も振られて傷ついたことがきっかけだったといいます。

大学3年生 ナオコさん
「つきあったことのない人を喪女っていうじゃないですか。」

失恋後、自分のことをもてない女=「喪女(もじょ)」と自虐的に呼んできたナオコさん。
傷ついた心を癒やしてくれたのは、今どきの疑似恋愛の世界だったといいます。

ディレクター 鈴木裕貴(28歳)
「知らない漫画も多いんだけど、共感するところとかって、どういうところが?」

大学3年生 ナオコさん
「この漫画、買った理由は(主人公の容姿が)中の下だから。
中の下がイケメンに好かれることって絶対ないじゃないですか、ほとんど日常で。
だから中の下でも好かれる要素があるというのを体験したくて買ったんですけど。」

最近は、もてない女子がすてきな男子と結ばれる、喪女系の漫画がブームなんだとか。
現実の男性と違って、絶対に裏切らない登場人物。
つかの間の逃避を重ねているうちに、現実に戻るのがおっくうになってきたといいます。

国の調査でも、交際経験がない20代女性の3人に1人がアイドルや漫画の登場人物などに恋をしたことがあると答えていました。

大学3年生 ナオコさん
「漫画は好きだけど、実際の恋愛って、もっと汚いじゃないですか。
なんかその、性行為とかうんぬんにおいても裏切りもあるし、私このレベルだから、多分一生、今後つきあえないのかなって思ったりしますね。」

恋人いらないってホント? 激変する男女の関係

春香さんは、VTRをどう見た?

春香さん:かなり共感できるところが多かったですね、今のVTRは。
私も20歳過ぎまで恋人が出来たことなかったんです。
やはり私の場合も劣等感の塊で、結構ひねくれている部分もあったんですけれども、やっぱりリア充をSNSとかでアピールするものに対しての、こういうふうにはなりたくないというか、あとは、こういうふうに自分のリア充だったりとか、自分の生活を拡散されてしまう可能性がある人とつきあうのもなんか怖いなとか、嫌だな、リスクがあるなっていうふうに感じてしまう部分もありました。
そういう意味では、リスクがなく、絶対に失敗がないという意味では、その漫画も紹介されましたけれども、私の場合、レンタル彼氏っていうサービスをやってみようと思った。
(番組の企画とかじゃなく?)
じゃなくて、プライベートで。
そのデートを知っている人とするとなると、そこにいろんな感情が出てきて、プラスだったり、落ち込むこともあるかもしれない。
でも、レンタル彼氏ってサービスは、向こうはプロとして、2時間だけのデートで美術館を案内してくれるというので、マイナスな気持ちになることはないだろうなっていうので、なんか知りたいっていうのでやったことはありました。

バーチャルな恋愛じゃなく、本当の恋愛をなぜ若い人たちが面倒くさいと思うのか。この赤が、恋愛を後押しする要因で、青がブレーキ要因として示しています。
時代を追うごとに、最初は赤が多いんです。

山田さん:やっぱり25年ぐらい前の時代っていうのは、バブル経済。
経済的に若者に余裕があったというのがありますし、とにかく恋愛に対して、憧れがありました。
今まで親の世代があまりやっていなかったんだけれども、自分たちがやろうっていう憧れで動いていた時代がありましたね。
(90年代後半ごろから、ストーカー、DV、セクハラというのは恋愛にマイナスに働く?)
恋愛が憧れから、さっき言ったコストとか、リスクになる時代になってきました。
だから、ストーカーに遭うかもしれない、DVに遭うかもしれないといったように、学校教育でも危ない危ないっていう、恋愛に対するネガティブ情報にあふれています。
親も、そこにセックスレス、離婚とあるように、恋愛結婚したはずの親があまりラブラブじゃないぞ。
だったら、恋愛を省いちゃってもいいんじゃないのっていうような。

春香さん:マイナス要因が多いんですよね。

山田さん:だんだん強調されてきたっていう歴史があると思いますね、この間に。

恋愛が求められていないことを象徴する現象がテレビの世界でも起きているんです。
こちらは、人気を呼んだプライムタイムの現代ドラマをまとめました。
90年代、赤で示した恋愛ものが主流だったんですけれども、時代を追うごとに、家政婦とか、医師が活躍する仕事ものが中心になってきているんです。
この変化が今の社会を映し出しているんだと専門家は話しています。

中央大学 文学部 宇佐美毅教授
「将来どうなるかわからない。
終身雇用というものが得られるか。
ということを考えたら、むしろ生活とか、これから先に対する不安とかの方が先に立ちますよね。
その中で、現在のドラマ『ドクターX』などでは、恋愛の要素はプライオリティーが非常に低くなって、それよりもこう働く人の気持ち、特にこう女性の働き方ですね、焦点が当てられると。
今はこう、ドラマに求められているものは、恋愛よりもむしろ働く人たちの気持ちを引きつけることだと、そういうふうに考えている。」

春香さん:恋愛ドラマでうまくいっているばかりだと、あまり感情移入できないんですよね。
(どういう方が感情移入できる?)
それよりも、やっぱり仕事系だったりとか、恋愛できない系だったりとか、なんなら不倫系のドラマを、あらあらと思いながら見てる方が。
(よりリアルな感覚?)
ということでしょうね。

視聴者の方より:「息子たちが貯金も時間もあるのに、恋愛を面倒がるんです。」
これから若者の恋愛離れはどうなっていく?

山田さん:このままいくと、恋愛しないままバーチャルな世界に行く人もいれば、普通に恋愛して結婚する人もいれば、いきなり結婚する人もいるっていうふうに多様化してくると思います。
でも今、若い人たちが経済的に余裕がなくなっている、そのために失敗する余裕がなくなっているというところがすごく大きいと思います。
(そこの根本を、私たち上の世代もしっかりと見つめないといけない?)
時間的、経済的余裕を若い人たちにもっと持ってもらいたいですね。

今回のグラレコ

番組の内容を、「スケッチ・ノーティング」という会議などの内容をリアルタイムで可視化する手法を活かしてグラフィックにしたものです。

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