全国津々浦々、30万もあると言われる町内会が、今、存続の危機に瀕している。ある意識調査では、20年前には7割近くあった加入率は今や20%にまで低下。特に問題は過疎の地方ではなく都市部で深刻化している。高齢化や世帯の共働きが進んで担い手が減る一方、人員やコストのスリム化を進める行政からは次々と新たな業務の委託が相次ぐ。住民参加の祭りや行事を取り仕切るだけでなく、ゴミ集積所の管理や防犯対策、高齢者の見守りなど、幅広い役割を担わされているのだ。負担の重さに耐えかねた住民の脱退は止まらず、「サービスただ乗り」をめぐって住民同士の係争が全国で頻発する。もともとは戦時中の「隣組」が発祥、戦後はあくまで「地域の自主的活動」としつつ、行政の末端機構に組み込まれてきた実態が、時代に合わなくなっているのだ。そうした中、本当に必要な役割だけに絞り込んだ「ミニマム化」や外部資金を調達する「法人化」など、町内会のあり方を根本的に見直す動きも始まっている。社会が変化する中、地域のつながりをどのように守っていくのか、最新の動きを通じて考える。
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