日本人の2人に1人がかかり、3人に1人が命を落とすと言われる「がん」。このがん治療が、大きな転換点を迎えている。画期的な治療薬、「免疫チェックポイント阻害剤」が登場したのだ。いわゆる免疫療法の一種だが、従来のものとは逆の発想から生まれた。これまでの免疫療法は免疫細胞の攻撃力を高める、いわばアクセルをかける働きが中心だったが、この阻害剤では免疫細胞にかけられた「ブレーキを外す」。他に治療法のなかった患者にも治療効果をあげることに成功した。地道な研究を新薬開発に結びつけたのは1人の日本人研究者だ。効果の持続が長く、幅広い種類のがんに適用できるということで、今や異例のスピードで薬事承認され、世界中で様々ながんへの臨床試験が始まっている。日本で生まれた新薬開発の道のりを紹介しつつ、今後の期待や残された課題に迫る。
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