遺体を医学部の解剖実習などのために提供する「献体」。解剖への抵抗感などから少なかった登録希望者がいま増え続けている。背景の一つが、人口減少が進むなかで深刻になっている墓の問題だ。大学の中には、献体した人の遺骨を納める納骨堂を用意しているところもある。このため墓の管理で家族に迷惑をかけたくないという人たちが献体を選ぶケースも出ている。医学への貢献という目的だけでない献体の増加に、関係者のとまどいも広がっている。一方、献体で死後のあり方を決めたことで人生が前向きに変わったという人もいる。献体希望者を追い、日本人の死生観や地域社会、家族意識の変化を見つめる。
みんなのコメント