医療の進歩により、がん患者の生存率は飛躍的に向上し、2015年には日本のがん生存者は500万人を超えると言われる。しかし、治療後の社会復帰は、思うように進んでいない。復帰を阻む理由の一つが、がんの進行や治療に伴う「後遺症」。手足の機能障害などに苦しみ、働き続けることを断念する患者も少なくない。そうした中、注目されているのが「がんのリハビリテーション」だ。治療の前後からリハビリを行うことで後遺症や合併症を未然に防ぐ効果が実証されている。たとえば、乳がんなどの手術に伴う後遺症「リンパ浮腫」。腕などがむくみ日常生活に支障が出るケースが少なくないが、適切なリハビリを行うことで症状を改善できる。患者の社会復帰を後押しすると期待される「がんリハビリ」の最前線を取材し、これからの医療のあり方と課題を探る。
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