9月末、「大地の子」や「白い巨塔」など国家や社会をうつ長編小説を世に問うてきた山崎豊子が88歳で亡くなった。全身を襲う原因不明の疼痛に悩まされながら、亡くなる直前まで書くことをやめようとしなかったという山崎。今回、病魔と闘いながら書き続けた自宅に初めてカメラを入れることを許された。寝室から運び入れたベッド、その脇には資料を読み込んだ愛用の眼鏡と、衰えた指先の力を補うために使っていた筆ペンが置かれている。そして、山のような資料、小説の設計図、数百時間に及ぶ録音テープ・・・。病床の彼女を最期まで突き動かしたものとはいったい何だったのか。自宅に残された膨大な山崎の痕跡と関係者の証言を通して、国民的作家の真髄を描き出す。
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