東日本大震災は多くの人から職を奪った。従来から失業率の高止まりに悩んでいた日本は、かつてない危機に立っている。そこで今、長期的な雇用回復、復興への道の一つとして期待されているのが「職業訓練」だ。欧州では職業訓練に力を入れることで好調な経済を維持している国が少なくない。例えばデンマーク。国・企業・労組が一体となって失業者を訓練(education)し、環境分野などの成長産業に移動(mobility)させる“モビケーション”という戦略が、産業の新陳代謝を活発にしている。これに対して日本では、職業訓練と生活費の支給がセットで受けられるという新たな制度に受講者が集まっているが、肝心の雇用の回復にはなかなかつながっていない。職業訓練という「生活安定への処方箋」が、日本でも有効な切り札にできるのか、そのために何が必要なのかをさぐる。
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