先月、「全国犯罪被害者の会(あすの会)」の設立以来11年にわたり代表を務めてきた元日弁連副会長の岡村勲さん(81歳)が退任した。14年前、事件で妻の命を突然奪われた岡村さん。遺族として初めて法廷の柵の外側から見た裁判で、被害者や遺族が無視されていると痛感した。そして、「明日の犯罪被害者のために司法を変えなければならない」と、被害者の権利獲得に奔走してきた。その訴えは社会を、そして司法関係者の意識を大きく変え、被害者が裁判で被告に直接質問できる制度の実現など、欧米より20年遅れと言われた日本の司法を変貌させた。しかし、今なお、経済的補償や精神的被害の回復など、残された課題も多い。犯罪被害者を社会はどう支えていくべきか。国による5年ぶりの見直しと、岡村さんの闘いの軌跡を通して考える。
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