2月17日、旧ユーゴのセルビアから一方的な分離独立を宣言したコソボ。南部の町オラホバツには、多数派のアルバニア系と少数派のセルビア系が隣接して生活している。9年前まで憎しみ合い戦闘を繰り返してきた両民族は、この数年共同で農協を立ち上げるなど多民族共生に向けた取り組みを進めてきた。しかし”独立宣言”によってその共存関係に暗雲が立ち込めている。一方で”コソボ独立”は、EUとロシアのせめぎ合いも浮き彫りにしている。地域の安定を優先したいEUは、アルバニア系住民の”暴発”を恐れて独立を容認、反対するセルビアに”EU加盟”をちらつかせ譲歩を引き出そうとする。片やEUの東方拡大を警戒するロシアは、コソボ独立に反対するセルビアとガスパイプライン中継基地の建設で合意するなど、結びつきを強める。”欧州の火薬庫”と呼ばれたバルカン半島でよみがえる現代の”東西冷戦”の兆しを追う。
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