ページの本文へ

NHK福島WEB特集

  1. NHK福島
  2. 福島WEB特集
  3. 福島 三島町で会津桐に魅せられて

福島 三島町で会津桐に魅せられて

能面師と木工職人の思い ココに福ありfMAP
  • 2024年01月23日

福島県三島町で育まれる木に魅了されて、ものづくりに取り組む人がいます。ベテランの能面師と若手木工職人の思いを取材しました。(キャスター・渡邉由紀子)

三島町産の上質な桐

福島県西部に位置する奥会津・三島町。ここは会津桐の有数の産地として知られる「桐の里」。

町の至るところに桐の木が

奥会津の雪深い気候と豊かな土壌によって育まれる桐の木は、高品質な材木として地域の暮らしを豊かにしてきました。三島町では桐の栽培・育成を積極的に進めていて、30年もの年月をかけて大きく育てています。さらに道の駅や観光施設では、桐の製品を楽しむことができ、多くの人に親しまれています。

三島町の桐の良さに魅了され続ける人がいます。三島町在住の能面師・淺見晃司(あさみ こうじ)さんです。

淺見さんが手がけるのは、能楽に使用する能面のほか伝統芸能の仮面。そのほとんどを三島町でとれた木材を中心に制作してきました。これらの作品は、各地で上演される舞台などで広く使われています。

淺見さんが手がけた能面

淺見さんは、この町に構えた工房で30年間、能面の制作や修復請け負ってきました。

能面の修復作業に取り組む淺見さん

(淺見晃司さん)
独特の柔らかい感じでなんとなく能面の仕上がりも柔らかいんですよ。桐の仮面っていうのは角が立たないっていうかね。

桐の木をこぶしで叩くと「コンコンコン」と乾いたいい音が。三島の桐の特徴は、乾燥しやすく木目が細かいこと。能面の制作に向いているのだといいます。

(淺見晃司さん)
軽いし薄くしても木の強度がありますよね。細かいところまで細工ができるので、仕事がとてもしやすいんです。

三島町の桐に魅了される能面師

能面づくりの修業を経て拠点場所を探すうちに、三島町の桐と出会い埼玉から移住した淺見さん。町の人の温かさに触れながら、ここで仕事に打ち込んできました。

(淺見晃司さん)
最初の私のデビューはこの地区の公民館からスタートして、その時に地域の方たちが何枚か作品をお買い上げしていただいたんです。それは本当にいまだにものすごく恩義に感じています。

いまでは伝統的な仮面だけでなく、動物をモチーフにした創作面まで幅広く手がけています。淺見さんは、三島町の桐の良さを後世に残したいと考えます。

「たぬき」をモチーフにした仮面

(淺見晃司さん)
三島の桐がいいっていうのは、先人がそれだけ苦労して育てたんです。残されたわれわれは何かの形で残してあげたいわけです。いい木をいい作品にしてあげるってことは、とてもよいことなんじゃないかな。

新進気鋭の木工職人も活躍

そんな淺見さんが注目する若手の木工職人も育ってきています。志田明恵(しだ あきえ)さんです。桐を使った小物や引き出し、積み木などの製品を作っています。

かんながけをする志田さん

(志田明恵さん)
桐の軽さときれいな木目、光沢が出る滑らかな木肌を見て、すごく感動したのを覚えています。

木工に関わる仕事がしたい、と5年前に東京から三島町へ移住した志田さん。地域おこし協力隊として地元の企業で桐の扱い方を学び、2022年に独立しました。

桐だけでなく、今では奥会津のブナやケヤキを使ったピアス、名刺入れやフォトフレームなども手がけています。

(志田明恵さん)
窓を開けるとたくさんの木が植わっていて、そういう身近な材料をその地域で加工できるものを作れるっていうのは私にとってもすごく魅力的です。私が作った小物を通して、例えばほかの地域の人に奥会津という地域や近辺の材料の魅力を知っていただけたらいいなと思っています。

志田さんの作業場を訪れた淺見さん。ふだんから木材の加工について情報交換などをしています。志田さんは自作の桐の引き出しを淺見さんに見せました。

 

(淺見晃司さん)
この割合、目との間隔がいいですよね。手置きのものってすごくかわいらしくて、それこそバランスが大事。

淺見さんの存在を通して志田さんは数多くのことを学び、自分の作品に生かしています。

(志田明恵さん)
昔から三島町でものづくりをされていた淺見さんは、私にとってお手本になる方。材料の使い方は私とは全く違うんですけれど、それを見ることってすごくおもしろいです。

昔から親しまれ、大切に守られてきた三島町の桐。淺見さんたちは、地域の宝を輝かせるためにこれからも学び続けます。

(淺見晃司さん)
幅広い感性で捉えていくこと、いかにその木を100%生かせるかということを考えたら、いろんなことを和洋勉強していくことは大事だと思います。私も志田さんもそういう感じで材料を大事にしながら、それを生かせるような作品を作っていけたらいいんじゃないかな。

あとがき
淺見さんと志田さんはともに、ものづくりや日常生活のなかでも木材をむだにすることなく、最後の一片まで活用できればと話していました。三島町で育まれた温かみのある桐を本当に大切に思っているのだと実感しました。(キャスター・渡邉由紀子)

  • 渡邉由紀子

    NHK福島放送局

    渡邉由紀子

    福島県郡山市出身。
    「ココに福ありfMAP」などのリポートを担当。木に囲まれた環境で育ちました。

ページトップに戻る