ページの本文へ

NHK福島WEB特集

  1. NHK福島
  2. 福島WEB特集
  3. 【解説】東日本大震災・原発事故「ADR」

【解説】東日本大震災・原発事故「ADR」

ゼロからわかる福島のいま 第16回
  • 2023年02月28日

裁判によらず公正中立な第三者が当事者間に入り、話し合いを通じて解決を図る手続き、ADR(裁判外紛争解決手続)は、原発事故で被害を受けた多くの人に利用されてきました。

ADRとは

ADRの特徴は、裁判よりも費用や時間がかからない点です。原発事故で被害を受け、慰謝料に納得できない人と東京電力との和解を仲介するため、国の「原子力損害賠償紛争解決センター」が設置され、平成23年9月以降、無料で申し立てを受け付けています。

申し立て件数は

センターによりますと、申し立て件数は、ことし1月31日現在の累計で2万8756件で、およそ97パーセントにあたる2万7895件で手続きが終了しました。このうち、▼およそ80%に当たる2万2200件で和解が成立した一方、▼申し立て人による「取り下げ」がおよそ11%に当たる3208件、▼センターが和解案を提示したものの、申し立て人や東京電力が納得せず和解に至らなかったいわゆる「打ち切り」が、およそ9%に当たる2485件となっています。また、申立件数全体のおよそ3パーセントに当たる861件は手続きが進行中です。

ADRは、集団申し立てなどが行われた平成26年の5217件をピークに減少傾向となっていますが、いまも一定の利用があり、去年の速報値は1162件で、おととしより18件増えました。原子力損害賠償紛争解決センターは、「制度を理解できずに申し立てに踏み出せない人も少なくない」として、県内各地で説明会を開き、その場で申し立て書の作成をサポートする支援も行っています。
 

  • 本田歩

    NHK福島放送局

    本田歩

    2021年入局。福島市政とスポーツ取材を担当。地元はいわき市で、温泉めぐりが好きです。

ページトップに戻る