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【福島・いわき】栗原はるみさん “常磐もの”を訪ねて

おいしくて、たのしくて 栗原はるみの福島さんぽ
  • 2023年05月25日

今年度から始まった新コーナー「おいしくて、たのしくて 栗原はるみの福島さんぽ」。料理家の栗原はるみさんが旅人となって、福島の食材や地元の人たちと触れ合い、オリジナルレシピを紹介してくれます。

実は栗原さんは、2年前から各地の特産品と触れ合い、その食材を生かしたオリジナルレシピを考案。SNSでその魅力を全国に発信してきました。

この被災を経験する前の福島って、おいしいものがいっぱいあるじゃない、いい場所ですよね、とっても。こういうことになってしまって、大変だし、悲しいし、だけど少しやれることがあるとしたら、お料理かなと思って。

↑栗原さんの「福島への思い」を↑
↑もっと知りたい方はこちらから↑

こうした取り組みを続けてきた栗原さん。料理だけでなく、もっと福島の人たちと交流を持ちたいと考えるようになったといいます。そこで、県内各地を散歩するように巡る旅を始めることになりました。


栗原さん、まずは食材探しへ!

栗原さんが最初に訪れたのは、春先のいわき市です。栗原さんの気の向くままの旅がこれから始まります。

いわきの食材を見てみたかったという栗原さん。「いわきの台所」とも呼ばれるスーパーを訪ねました。

並んでいたのは旬の長ネギや新ショウガなど

そして、いわきが誇る『常磐もの』も!

アンコウの迫力にびっくり!
カナガシラは骨が硬くて調理に手間がかかるが味は絶品なんだとか

他にも、干物コーナーではメヒカリとヤナギガレイの干物を紹介してもらいました。浜の町「いわき」を感じさせる伝統的な加工品です。

メヒカリとヤナギガレイの干物
鮮魚店 社長

福島の沖っていうのは、潮目、黒潮と親潮がぶつかるところだから、プランクトンが豊富ですから、ここの前浜の魚っていうのは脂があっておいしいですよね。

知らないお魚がすごくあって、焼いても煮ても生でも良いですね。おいしいものいっぱいだね。しかも安い。

鮮魚店 社長

震災後それがとれなくなって食べられなくなった時期があったわけです。その時に他で水揚げされた魚を食べてみると、あれ、今までの魚と違うよねって、我々が本当に普通に食べていたものが、本当はおいしかったんだなと思いながら、そんな事を感じましたね。いまになって、前浜に魚が上がって食べられるっていうのはやっぱり、幸せですよね。

地元の鮮魚店のみなさんと

地元漁師のおかあさんと出会う

そんないわきですが、12年前、地震による津波で港は大きな被害を受けました。

さらに原発事故の影響で、自粛を余儀なくされてきた沿岸の漁業

栗原さんは本格的な操業に向けて動き出している漁港を見てみたいと訪ねました。

私は下田が実家なのよ。漁港の風景は久しぶりだね。家のそばがこんな感じなの。この香りとか匂いとか、懐かしいね。

出会ったのは親子3世代で底引き漁業を行う久保木さん家族

実は、久保木さんの船は津波で流されてしまいましたが、奇跡的に無事戻ってきたんだとか。

久保木正一さんと妻・幸子さん
正一さん

何て言っていいか分からなかったね、うれしくて。
いままでやってきた(漁業の)航跡が、これがなくなるのが一番怖かった。船がなくなると一からやり直しだから。それだけ大切なんですね。

幸子さん

私らも船が着いたときには、涙が出て止まらなかったです。

そして、栗原さんは浜のお母さんたちが働く仕事場にも案内してもらいました。

瞬時に魚の仕分けを行う女性たち

手で大きさがわかっちゃうんだって、すごいな。
女の人が漁港を支えているんですね。いくつになっても働くっていうことが元気のもとなんだと思う。

「福島の人と触れあいたい」福島を訪ねる理由は・・

4年前、栗原さんは最愛の夫を亡くします。福島に来ることは、深い悲しみから立ち直るための旅でもあるというのです。

私もいま想像以上に苦しんでいるので、元気ほしいし。悲しみはもちろん違いますけど、一緒に励まし合って、仲よくできたらいいなって。地元の方たちとお友達になりたいですね。


地元の方々と一緒に料理を楽しむ!

今回の旅のなかで、栗原さんたっての希望がありました。それは、地元の人たちと一緒に料理をすることです。

料理をする場所は築200年の古民家。震災による津波で被害を受けたものの、地元の方々の力で復活を果たした場所でもあります。

つるしびな

毎年1月から2月には地元の方々が手作りした「つるしびな」を展示。
地域の憩いの場としても使われています。

「つるしびな」を作っている皆さんと

それでは、いよいよ調理開始です!

地元漁協の女性部の皆さんに郷土料理を見せてもらいます。取れたての新鮮なアンコウを使ったドブ汁です。水は一切使わず、素材の水分だけで煮込むのが特徴です。

豪快だね、これはおいしいに決まっているね。うわーすごい。生って、すごくフレッシュ。

栗原さん、お手伝いを買って出ますが・・・

幸子さん

力が必要なんです。

本当だ、お母さん力持ち。私もけっこう力ある方なんですけど、お母さんには負けちゃうかな。

さらに栗原さんを驚かせたのが味付けです。

久保木さんと一緒に料理を楽しむ栗原さん

本当だ、シンプル。ダシがきいている。
東京ではこんなに新鮮なものが手に入らないので、ミソだけで味付けって、なかなか私たちはできなくって、ここにお酒入れたりとか、ちょっと隠し味にお砂糖とかみりんとか入れて、たぶん似ているけど、違うものですよね。
こんなにおいしいものを食べられて今日はうれしいなぁ。


お返しに、栗原さんとっておきのレシピを披露してもらいます。
栗原さんが食材に選んだのは、いわきを代表する食材メヒカリを使った「めひかりの香味じょうゆカリカリ揚げ」です。

普段から作ってほしいという思いで、おなじみのから揚げを少しアレンジすることにしました。

↑詳しいレシピはこちらから↑

しょうゆとショウガ、ニンニクなどで下味をつけたあと、揚げる前に片栗粉をもう一度まぶすことがカリカリに揚げるポイント。


いよいよ、お待ちかねの試食タイム

まずは、久保木さんたちに作ってもらった料理を頂きます。

久保木さん特製「アンコウのどぶ汁」

ミソのあんばいがすばらしい。たぶんアンコウの肝が調味料になっているんだよね。

続いては、栗原さんの料理です。今回は、特製のタルタルソースをかけてサンドイッチのようにする食べ方を紹介してくれました。


材料は地元の食材で調達!

タルタルソースに使ったタマネギは産直市場で
食パンは地元のパン屋で

私はね、元気づけるんではなくて、私がこちらに伺って元気をもらっているの。おいしいものをご紹介したり、皆さんと仲よくなるのが私の夢って言うと大げさになっちゃうけど、いま私の一番やりたいこと。皆さんよろしくお願いします。


栗原さんは、今回のレシピをイベントでも使ってほしいということで、今後は、漁協の女性部の皆さんのイベントなどでも振る舞っていく予定とのことです。
次回の「おいしくて、たのしくて栗原はるみの福島さんぽ」は6月放送予定です。どうぞお楽しみに。

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