ラジオドラマ制作の舞台裏~収録編~
ラジオドラマの収録現場の様子を大公開!
こんにちは!FMシアター『はるかぜ、氷をとく』演出の小林です。
今回から2回連続で「ラジオドラマ制作の舞台裏」と題して、いかにしてラジオドラマが出来上がるのか、その舞台裏をみなさんにお届けしようと思います。
と、言ったはいいものの、実は私もドラマをつくるのは今回が初めてです。
はっきり言って、「いかにしてラジオドラマが出来上がるのか」、私もよくわかっていません。
まぁでもよくこういうドラマの広報ブログでは舞台裏のオフショットとかやってるし、そういうのはやっておかないと、という事情もあるので、わかる範囲で解説したいと思います!
ご存知の通り今回はラジオドラマということで、映像の撮影ありません。
なのでロケやセットでの収録などは当然なく、全てスタジオ内での録音作業になります。
アニメのアテレコの様子とかテレビでご覧になったことがある方もいるかもしれませんが、あれなんかと近いかもしれません。スタジオはこんな感じ。

なんだかこの写真だと伝わらない気がしたので、見取り図を書いてみました。

書いたけど、よくわからないですね。
要はこのペンタゴンみたいな形をしたのがスタジオで、
その手前に「副調整室」と呼ばれる部屋があって、スタッフはみんなそこにいます。
副調整室はこんな感じ。
めちゃめちゃテレビ局っぽくてかっこいいですよね。

でも、どの機械が何のためのものなのか、音声さんたちがどんな調整をしているのか、私には皆目見当がつきません。それどころかこの部屋のことを「フクチョー」「フクチョ―」と略してテレビ局の人っぽさを出してはいましたが、副調整室が何に対しての「副」なのかも、私は理解していません。
「副」があるってことは、「主調整室」っていうのもあるのかな?
聞いたことはないけど、あるのかもしれません。
この程度の知識でもラジオドラマを作れてしまうのだから、持つべきものは頼りになるスタッフさんたちですね。皆さん本当にありがとうございます。
このフクチョ―の前はガラス張りになっていて、ペンタゴンの中が見えて、役者さんとアイコンタクトがとれるようになっています。
そのため、演出ディレクターは写真の通り、立ちっぱなしです。
ちなみにディレクターは前の週にフットサルで足を痛めていたという噂があり、この日朝から夕方までぶっ続けの収録立ちっぱなしはかなり辛かったという噂もあります。
コロナ対策として、マイクは1人1本。(コロナ前は1本のマイクで何人かの役者さんの声を拾っていたそうです。)
マイクと演者さんとの距離を微調整したりして、視点人物との微妙な距離感を表現します。

マイクは非常に高性能で些細なノイズも拾ってしまうため、台本をめくる音や衣擦れの音がセリフに重なってしまわないように、細心の注意を払いながら収録を行います。
また今回物語の鍵となる「電話」。あまり内容のことはここに書けないんですが、実は今回の作品、セリフの9割くらいが電話越しです。
電話越しの声になる人は、あの見にくい見取り図の一番上、「別室ブース」に入ります。
左の写真奥に見えるのが別室ブース。フクチョ―にはブースの中が見えるモニターがこんな感じ(右)で設置されています。


このように収録することで、電話越しっぽいエフェクトを片方の声にだけかけられるようになります。
さらに、会話相手の顔は見えず、イヤホンから聞こえる相手の声を頼りに演技をしていただくことで、本当に電話をしているような感覚になり、お芝居の間などがリアルになると考えて、このような録り方をしました。
そしてここで、今回の収録を陰ながら支えてくださった方をご紹介します。
今回、演者のみなさんに福島ことばの指導をしてくださった、福島県田村市ご出身の佐藤みゆきさんです! (写真右)

今回の作品、酒井さん演じる麻子、新山さん演じる祐実、中村さん演じるこなみの3人は、全て福島ことばでのお芝居。
ただ一方でリハーサル1日、本番収録1日というラジオドラマの制作スケジュールでは、方言の稽古をする時間があまりとれません。
そこで事前に全ての方言セリフを佐藤さんに音源化していただいて演者さんたちに配布し、個人練習をしてきていただくという形をとりました。
収録当日も膨大な方言セリフの微妙なイントネーションなどを全てチェックするという、かなりハードな作業をたった1人でやっていただきました。
ご自身も俳優としてご活躍されている、佐藤さん。
収録当日は方言の指導だけでなく、演技初挑戦の中村天海さんにリラックス方法や演技のポイントなどもレクチャーしていただくなど、本当に現場を助けていただきました。
私自身、常に現場でニコニコとされていて、かつ丁寧なお仕事をしてくださった佐藤さんには本当に助けられました。
この場をお借りして、心より感謝申し上げます!ありがとうございました。佐藤さんがついてくださっていて、本当に心強かったです。
福島ことばでのお芝居についてはまた別途、ブログでも取り上げます!
そんなこんなで私自身初めての経験で、何だかバタバタしているうちに収録が終わってしまったような感じがしていますが、1つ言えるのはとても楽しかった!ということです。
演者さんたちをはじめ、ことば指導の佐藤さん、音声さんも含めたスタッフ全員が本当にこの作品を「良いものにしよう」とベストを尽くしている感じがひしひしと伝わってきて、それがとても良い現場の空気をつくっていったのではないかと思っています。
あの現場で収録したものを、さらにベストの状態にまで引き上げて皆さんのもとにお届けできるよう、最後の仕上げ作業も頑張ります!!

次はその仕上げ作業の様子をお伝えします。ラジオドラマならではの奥深い音の世界のお話、楽しみにしていてください!