浜通り
焼き鳥屋の絶品ラーメン
【食で興す ふるさと】
福島で、不屈のラーメンを作るのは、専門店だけじゃない。
いわきの繁華街のど真ん中に、連日連夜、客でいっぱいの焼き鳥屋がある。宴もたけなわになった頃、お客さんが次々と注文するのが、なんとラーメン。週に1度、火曜日限定の鶏ラーメン。今や売り切れ続出の、知る人ぞ知る店の看板メニューだ。
このラーメンを作るのは、震災と原発事故を乗り越え、一流の焼き鳥屋をめざす若き職人。
高野智博 (たかの・ともひろ) さん、37歳。
仕事は、ニワトリを自分の手で育てることから始まる。
高野さんのこだわりは徹底している。飼育は「平飼い(ひらがい)」。餌も自ら研究を重ねた、独自のものを与えている。
「発酵系のものを与えると、すごく鶏の体にもいいので、納豆とヨーグルトを与えています。美味しい鶏肉を作って、地元いわきに誇れるような素材を作りたいので」
高野さんは、富岡町の出身。高校を卒業したあと、地元の焼き鳥屋で10年働いていた。ところが7年前、津波で両親を亡くし、原発事故でふるさとも失った。
人生の再起をかけた挑戦、それが母親のふるさと・いわきで、地元の人に長く愛される自分の店を構えることだった。「『復興』の色眼鏡で見られるのが嫌だったんです。実力だけで、本当に評価される物を作らないと、
これから先いわきで長く愛されるような店を作ることはできないと思っているので」
そんな高野さんの情熱に惚れ込み、常連客になったのが有賀行秀(あるが・ゆきひで)さん。
いわきで空調設備の会社を営む社長だ。今や店の看板メニューとなっている鶏ラーメン。
もともとは、高野さんの料理人としての腕を上げようと、指南役を買って出た有賀さんが週に1度出す宿題だった。
「どこにも負けない店であってほしいなと。やっぱり客が育てていかないと、そういうお店ができないなって思ってますね」
実は有賀さんの正体は、磐城平(いわきたいら)藩の家老の末裔
江戸時代からいわきで暮らしてきた一人として、先祖代々受け継がれてきた伝統を大切にしている。そんな有賀さんには今、若い高野さんに是非ともわかってほしいことがあるという。
「震災の後に、いろんな人がいわきに来て、地元のいろんな昔からのことが何となく消えかかっている。だからこそ、高野さんの店に、情報の発信源として頑張ってほしいなと思って…」
いわきで代々愛されてきた店や伝統の味、昔ながらの食文化……。震災後、町が大きく変わる中で、そうした大切なものが失われている。
それを若い世代と共に守りたいというのが有賀さんの想いだ。
高野さんを一人前に育てるため、公私にわたるサポートを有賀さんは惜しまない。
季節の変わり目ごとに、有賀さんの自宅で開かれる交流会。集まるのは、地元の酒蔵や醤油蔵のオーナーや、こだわりの食材を生産する農家たち。
いわきに根づいた人たちが集うこの場に、有賀さんは高野さんを呼び、料理を作らせる。日々磨きをかけている料理人の腕を披露させると同時に、地域の顔つなぎもしているのだ。
地元で長く愛される店になりたいと願う若き焼き鳥職人と、いわきをこよなく愛する大旦那。“ホンモノの食”で、ふるさとを盛り立てていきたい! 志を同じくする二人の切磋琢磨はつづく。
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