中通り
東電社員、福島米を売る
福島市の東、標高300mの米どころ、大波地区。
2011年秋。大波はその米によって、絶望の淵に追い込まれる。
放射性物質の食品暫定基準値を越える、いわゆる“汚染米”が検出されてしまった。
連日詰めかける報道陣、そしてインターネットの心ない書き込み。
被害者のはずの大波の人たちは、辛く苦しい思いを強いられた。
その大波に、2015年ひとりの東京電力社員が引っ越してきた。
当時、福島で除染関係の仕事のあたっていた永井康統(やすのり)さん。
『大波の人たちの何か力になりたい』その想いに駆られての転居だった。
「何にもできないかもしれないけど、何か出来ることがあるんじゃないか」
家族を神奈川県に残して、ひとり永井さんの闘いが始まった。
2017年、永井さんは57歳で東京電力を早期退職。NPO法人0073(おおなみ)を立ち上げる。
未だ風評被害の残る大波の米。
全国に販売していくことこそ、残りの人生をかけて自分がすべきことだと、決心したのだ。
農家の負担になってはいけないと、精米、袋詰め、発送は永井さんが一人で行う。
300キロの米をコイン精米所で1時間かけて精米。30キロの米袋が、ズシリと腰にくる。
それでも、やりがいのある仕事に汗を流すことは楽しいと笑う。
永井さんの販路は、口コミやつながり。
実家のある神奈川では、飲み仲間の協力を得て、弁当屋などが大口注文をしてくれている。
更に、試食用に2合の小袋を作っては、不慣れな飛び込み営業。
そうやって地道に、米を売り歩く。1年目、2トンの新米が売れた。
「作ってるオレは、旨いとか分かんねぇけど、初めて食う人は旨いって言ってくれるんだよな」
うれしそうに話す、大波の農家の男性。
一度は米作りに絶望した地域は、再び誇りを感じるようになった。
新たにコンバインを購入する人も現れるほどだ。
きょうも重い米袋を運ぶ永井さんに、なぜ家族や仕事を振り切ってまで、大波に移り住み、米を売るのか聞いた。
「懺悔かな。でも自分のためにやっているんだよな」
実りの秋、永井さんの家に大波の人たちがたくさん集まっていた。
正式に町会の会員として認められ、今や “地元の人” になった永井さん。
元東電社員の家には、今日も地域の人たちが酒を呑みにやって来る。
聖石温泉
村越雄城さん
鮫川村
中川西寿彦さん
伊達市五十沢地区
曳地一夫さん
古殿町
小澤啓子さん
双葉町
コーラス双葉
大熊町
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中島村
芳賀幸子さん
三春町
千葉初吉さん
鏡石町
飛澤良太さん
会津坂下町
会津農林高校
平田村
高野哲也さん
本宮市
伊藤彦太郎さん
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吉田喜一さん
福島市田沢
丹治邦夫さん
東京 調布市
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いわき市
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会津美里町
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福島市 大波地区
永井さん
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塩川町の五十嵐さん
喜多方市 慶徳町
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よしたかさん