河川カメラで命を守れ @川崎寛司

アナウンサーの川崎寛司です。

先月28日、九州北部では、大雨の特別警報が出るなど、記録的な大雨の影響で、大雨や洪水、土砂災害の被害が出ました。

そこで、県内では、大雨や洪水の際に、どんな情報が発信され、住民の皆さんはどう活用していけばいいのか、

福島市の福島河川国道事務所の防災センターから、生中継でお伝えしました。

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県内には、阿武隈川などを監視する河川カメラが100基設置され、

この事務所にある30台のモニターで常に見られるようになっています。

さらに、水位計は県内に500基あり、緊急時には、水位の情報が10分ごとに送られてくる仕組みになっています。

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私たちは、こうした河川カメラや水位情報を、スマートフォンで、リアルタイムで見ることができます。

「川の水位情報」と検索してみてください(NHKニュース防災アプリでも見ることができます)。

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すると、こういう画面が出てきます。

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水色のマークは、すべて水位計です。

九州北部の大雨を例に見てみると、水位計が赤や黄色に変わっています。

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アップにすると、黒や赤の水位計が見えてきました。下の写真の川は、氾濫した牛津川です。

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赤は、気象庁が出す警戒レベル5段階のうち「レベル4」に相当する水位。つまり「全員避難」を意味します。

関係する地域の皆さんは、速やかに避難先に避難する必要があります。

 

黒は、すでに川が氾濫している状況。

避難すると危険なので、2階に避難するなど、命を守るための最善の行動をとる必要があります。「レベル5」に相当する水位です。

で、水位計をタップすると、

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このように、グラフとなって、危険な状況だというのが一目で理解できます。

さらに。緑色のカメラのマークをタップすると、

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川の様子をリアルタイムで見ることができます。

牛津川の映像で、私が指している堤防の左側は、川ではありません。

住宅などがあるところに、右側の牛津川の水が氾濫して、水に浸かっている状況です。

事務所では、こうした情報を川の流域の自治体に送って、自治体が避難指示や避難勧告の目安にするのです。

 

こうした取り組みを行う背景には、福島県の過去の歴史があります。

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上の写真は、昭和61年8月5日、阿武隈川の洪水被害の様子です。

地元では「8.5(はちてん)水害」と呼ばれ、流域で、死傷者20人、床上・床下浸水は計2万戸に上りました。

阿武隈川流域では、数年か10数年おきに、浸水被害が起きています。

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こうした歴史と教訓を生かして、ふだんから阿武隈川に親しんでもらい、関心を持ってもらって、緊急時に備えようと、

事務所では、阿武隈川カードを作りました。

表には、フォトコンテストでの優秀作品に選ばれた、美しい阿武隈川の景色。

裏に記載されたQRコードを読み込むと、「川の水位情報」やハザードマップが表示されます。

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福島河川国道事務所の古賀博久調査第一課長は

「自分や家族の命を守るためには、平時の備えが必要。

阿武隈川カードも使って、自分の住まいや職場の近くの水位計やカメラが、どこにあるのかを確認してほしい。

大雨時は、その情報にアクセスして、早めの避難に役立ててほしい」と話していました。

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さて、この番組では紹介できなかったのが、古賀課長が持っているカメラ。

今年度から、福島河川国道事務所や県が、県内の河川沿いの約90か所で設置を始める予定のもの。

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従来のカメラに比べて、値段は約4分の1。ズームや首振りの機能はなく、固定した映像のみを撮影するカメラ。

こちらの事務所などでは、従来よりも機能は劣るものの、

とにかく数多くの河川カメラを設置して、緊急時に役立ててもらおうという狙いです。

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ありとあらゆる場所の切迫した映像を、住民の皆さんに伝えるということで、監視を強化することにしています。

 

福島河川国道事務所の皆さん、中継へのご協力、ありがとうございました。

皆さんと協力して、県民の皆さんの命を守れる情報が発信できるよう、今後も努めます。

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川崎 寛司

投稿時間:11:48