Road to Tokyo from Fukushima vol.5 "Impossible"を"I'm possible"に @山田賢治

きょうは、東京2020パラリンピック開幕1000日前です。

あすから、カウントダウンは3ケタ。

当日に向かって、選手は力をつけ、そして、私たちも気運を高めていきたいものです。

先週、福島市の中学校で、視覚障害者がプレーするブラインドサッカーの日本代表、加藤健人選手が講演しました。

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 今は、埼玉のチームでプレーしている加藤選手。

福島市出身の32歳です。

小学3年でサッカーを始め、中学校ではサッカー部のキャプテンを務めました。

高校3年のときに病気で視力に低下し、

現在は、”真っ暗の中でうっすらと光を感じている程度”と話します。

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講演は、生徒のみなさんに考えさせる内容でした。

まず、「常に自分に置き換えて考えてほしい」というメッセージ。

加藤選手から、生徒への「視覚障害者ってどんなイメージ?」という質問に対し、

「人混みで歩くのは難しい」「日常生活で介助がないといろんなことができない」という声。

“目が見えない=~できない”、という先入観があるようでした。

 

加藤選手自身も、見えなくなる前は「障害者=何もできない人」という先入観があったそうです。

“体育を見学している自分のことを、周りは、偏見の目で見ているのではないか”。

自身の心に、勝手に、壁を作っていたと振り返ります。

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 しかし、加藤選手は今、「目が見えなくても一人暮らしができたし、

杖を使って街中を一人で歩いているし、結婚もしたし、、、」と“想定外”の日常生活を送っています。

 

そこで、加藤選手から、生徒たちに質問。

加藤選手「”普通”って何ですか?」

子どもたち「不自由なく生活している人!」

加藤選手「ということは、僕は“普通”ですか?」

子どもたち「・・・」

 

ドキッとしたと思います。考えたと思います。

この迷いは、障害のとらえ方を変える、大事なプロセスです。

加藤選手が、続けて話しました。

「僕は、ただ見えないだけです。みんなにできないこと、できることがある。

好きなこともあれば、嫌いなこともある。得意なことも、苦手なことも。」

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そのあと、加藤選手は、まるで“見えている”かのようなドリブルを披露しました。

生徒たちもチャレンジしますが、なかなかうまくいきません。

加藤選手は、手をたたく音やまわりからの声を聞いて、自分の位置を把握。

華麗なボールさばきに、子どもたちは、“見る”って何か、“障害”って何か、考えさせられたのではないでしょうか。

 

最後に、加藤選手が子どもたちに語りかけたのは、挑戦することの大事さです。

「始めなければ、始まりません。やってみてから考える。

苦手だからできない、でなく、挑戦してみたらできるかも知れません。」

 

多くの学びを得た中学生たち。

加藤健人選手の人間性も知ることができ、2020年に向けて、大きな応援団になるはずです。

選手と直接触れることの大事さ。

コツコツと全国で積み上げていくことで、大きなムーブメントになることを確信しています。



山田 賢治

投稿時間:22:24