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災害時、外国人への声かけを

地震の後にどうしていいか分からない…不安を解消できるのは、あなたの声です
  • 2024年04月12日

2016年に発生した熊本地震。揺れに見舞われた人の中には、「日本語が分からない」「大きな地震を初めて体験した」という外国人もいました。
福岡をはじめ九州沖縄には、観光客はもちろん、留学や仕事、結婚などで大勢の外国人が暮らしています。災害が起きて不安なとき、あなたが声をかけることで、安心できる人がきっといます。(NHK福岡放送局・廣瀬雄大)

“ひなんじょって何?”

熊本大学で特任助教を務める、アンドリュー・ミッチェルさんです。
留学2年目の大学2年生の時に、震度7の揺れに見舞われました。

アンドリュー・ミッチェル 熊本大学 特任助教

揺れの後どこに行けばいいか全然分からず、不安でした。
地震の前は「避難所」という制度や、その言葉について全然知らなかったんです。
本震の後、隣に住んでいた日本人学生から『“避難所”に行きましょう』と言われても、何?という感じ。『一緒に大学に行きましょう』と言われても理由が分からなかったけど、ついていって“安全な場所に来た”ということがようやく理解できました。

地震のあと、多くの留学生が同じような不安を感じ、戸惑っていたことが分かったアンドリューさん。有志の留学生とともに、地震体験を伝える「KEEP(キープ)」というグループを作り、代表になりました。

KEEP のメンバー(2017年)

体験談をまとめた冊子を作って、ウェブ上で公開。
現在も、アンドリューさんは、全国各地で講演活動を行っています。

作成した冊子 現在はKEEPのサイトで公開中

多くの留学生が、避難所について知りませんでした。地震のとき、周りの日本人が声をかけてくれたら、すぐに安心できる可能性が高いです。

あなたの声が あんしんにつながる

災害時、身近に暮らす外国人に一声かけることができないか…。
今回、福岡県国際交流センターに協力を依頼しました。

福岡県国際交流センターのみなさん

ふだん、留学生など外国人の支援や、国際交流事業に取り組む県国際交流センター。
大規模災害時は、県と協力して「福岡県災害時多言語支援センター」を設置し、外国人に必要な情報を速やかに提供することになっています。

出入国在留管理庁によると、九州・沖縄の在留外国人は、2023年6月時点で20万人以上。
話す人が多い英語と、在留者数上位4か国の言語で「避難所に行きましょう!」のフレーズを教えてもらいました。

ソフィア グイルトさん
グェン ヴァン クォック チュオンさん
趙 玉さん
金  旼俓(キム ミンキョン)さん
ラミシャネ ケサブ クマルさん
わたしも挑戦してみました

ちなみに、それぞれの言語の字幕は、みなさんが手書きで書いてくれたものです。
私もカタカナの通りに読みあげてみましたが「しっかり通じますよ」と太鼓判をいただきました。

災害の時は不安なので、自分の国の言葉で話しかけられたらホッとできると思います

言葉が分からなくても

とはいえ、“発音が合っているか分からないし、覚えられない…”と不安になる方もいますよね?
「言語が分からない場合も、コミュニケーションできます」と教えてくれたのは、熊本地震で被災した経験を持つ、アンドリューさん。

アンドリューさん

それが「やさしい日本語」。日本語に慣れていない人にも分かりやすいように、文を短くしたり、簡単な言葉に言い換えたりするものです。

「避難所に行きましょう」⇒「あんぜんな ところに 行(い)きましょう」
「高台に避難しましょう」⇒「たかいところに 逃(に)げましょう」

といった具合です。
あいまいな表現は避け、文字で示す場合には、漢字に読みがなをふることも大切です。
そのほか「ジェスチャー」や「スマートフォンの翻訳アプリ」も有効な手段だとしながら、アンドリューさんが印象的な話をしてくれました。

 

熊本地震で被災した人のなかに、日本語がほぼ分からない、パプアニューギニアからの留学生もいました。それでも、周りの日本人がジェスチャーを交えて簡単な日本語で話しかけ、一緒に近くの公園まで避難。無事に過ごすことができたそうです。
モチベーション(伝えたいという動機)があれば、コミュニケーションできます。

準備はできる

各地で講演をする中で、アンドリューさんがいつも伝えていることがあるといいます。
We can't predict, we can't prevent, but we can prepare.
直訳すれば、
“予測することも予防することもできないが、準備はできる”

現在も、多くの留学生が必要な備えをしていないと感じる、というアンドリューさん。災害や避難所について知っておくことや、災害に備えて水などを準備することを、留学生に啓発しています。
 

必要な準備は、十人十色ですね。単身か、家族がいるか、どんなところに住んでいるか、自分の状態にあわせてそれを守ることを考えてください。私は準備しなかったから、熊本地震のとき問題がありました。私たちの間違いから、学んでください。

災害が起きれば、国籍に関係なく誰もが被災者。やはり日頃からの備えが大切ですよね。
そして、災害時に声をかけあい、助けあうことについても、日頃から準備しておきたいと改めて感じました。

そこで、防災や減災、暮らしのなかでの安心につながる「声かけ」を1分でご紹介する「あなたの声で あんしん1min.(ミニット)」というミニ番組の制作を始めました。家族で、友人同士で、ご近所同士で・・・あなたが声をかけることで、被害を防いだり軽減したりすることにつながれば。
あんしん1min.の動画は下のページでご覧いただけます


 

  • 廣瀬雄大

    福岡放送局アナウンサー

    廣瀬雄大

    2009年入局。
    高松・甲府・北九州を経て、現局。
    「ザ・ライフ」キャスターを担当。
    防災やジェンダーなど幅広く取材。

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