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【詳報】いよいよ七隈線延伸!知っておきたい料金変更

  • 2023年02月07日

    福岡市地下鉄の七隈線は博多駅まで延伸する3月27日が迫っています。
    延伸によるアクセス改善。天神での乗り継ぎ制度の廃止など変更点を詳しくまとめました。

    3月27日の開業迫る

    開業後の路線図

    上の路線図の通り、延伸によって七隈線の各駅から博多駅までは直通でつながります。
    これまで天神南駅から地下街をおよそ600メートル歩いて、空港線の天神駅で乗り換える必要がありましたが、その負担はなくなります。

    福岡市交通局は、延伸で七隈線の各駅から博多駅までの所要時間は14分短縮され、アクセスが大きく改善されるとしています。

    福岡市交通局 マーケティング推進室 稲田剛 室長
    「博多駅に行きやすくなるだけでなく、例えば六本松や七隈、福岡大学など七隈線の沿線地域の利便性が上がるので、福岡市としても西南部地域のさらなる発展という意味も含めて、よりよいものになると考えている」

    延伸に期待する声

    天神南駅では、博多駅に行く機会が増えるだろうという声が多く聞かれました。

    福岡大学の学生
    「地下街を歩いて乗り換えるのが面倒でした。
    アルバイトが天神でしかできなかったけれど延伸したら博多でもやってみたいなと思います」

    福岡市は、バスやマイカーから地下鉄に切り替える人などが増えて、延伸する天神南駅から博多駅までの区間を利用する人は1日でおよそ8万人になると見込んでいます。

    空港線との乗り換えイメージ(画像提供:福岡市交通局)

    上の図は七隈線の博多駅の断面図です。
    地下5階にホームが設けられ、空港線の博多駅とは改札なしで乗り換えができます。

    JR線との乗り換えイメージ(画像提供:福岡市交通局)

     また、地下の商業フロアや地上にも直結しています。

    博多駅周辺では延伸開業への期待が高まっています。

    駅の商業施設に入る、とんかつ専門の飲食店では、去年1年間の売り上げが2019年の8割程度とまだコロナ前の状況には戻っていません。延伸が待ち遠しいと言います。

    博多駅の商業施設の飲食店

    とんかつ濵かつ博多デイトス店 黒木竜也ブロック長
    「非常にわくわくしています。いままで博多駅に来ずに天神界隈で過ごされていた方が
    博多駅に来ていただけると非常に期待しています」

    地下鉄の料金の変更に注意!

    一方、延伸では、多くの区間で料金が変更されます。

    地下鉄の料金の説明図

    料金が最も下がる区間が七隈線の「薬院駅」・「渡辺通駅」から「博多駅」に行く場合。
    これまでは天神駅で乗り換えて博多駅に行くと大人の料金は260円でした。
    延伸後は博多駅まで直通になり乗車距離が短くなるので料金は50円安い210円になります。

    ところが!料金が上がる区間もあります。

    地下鉄の料金の説明図

    例えば、空港線の室見駅から薬院駅に行く場合。
    現在は空港線の天神駅で降り、七隈線の天神南駅で乗り換えて薬院駅に行くと260円なんですが、
    今後は、同じルートで行くと470円になります。

    なんで??と思いますよね。
    その理由は「天神駅」と「天神南駅」の間で特例として設けられていた「改札外の乗り継ぎ制度」が廃止されるためです。
    延伸後は天神駅と天神南駅に今ある乗り換え用の改札はなくなり、天神南駅で初乗り料金がかかるんです。

    新たに乗り換えが可能になる博多駅経由で薬院駅に行くと、乗車距離に基づいて、料金は340円です。

    なぜ制度が廃止されたのか。福岡市交通局は、「二重料金の混乱」と「公平性」を理由に挙げています。

    天神での乗り継ぎ制度を維持した場合の説明図

    例えば姪浜駅から薬院駅に行く場合を上の図にまとめました。
    仮に天神での乗り継ぎ制度を続けたとすると、乗車距離が異なるため、天神南駅乗り換えは300円、博多駅乗り換えは340円になり、料金が異なってしまいます。

    この場合、観光客など福岡市地下鉄に不慣れな乗客は、天神南駅乗り換えの安い料金で行こうとしたのに、改札外の乗り換えが理解できず、博多駅経由で薬院まで行ってしまい、追加の料金を求められて混乱し、トラブルになるなどのケースが想定されるとしています。

    ならば天神での乗り継ぎ制度は維持したうえで、最短経路の料金に統一すればいいのではないか?
    この場合、問題になるのが「公平性」だとしています。

    最短経路に料金を統一した場合の説明図

    天神南駅乗り換えの最短経路に料金を統一すると、姪浜駅から博多駅を経由して薬院駅に行く人は、
    本来の340円より40円安い300円になります。
    一方で、空港線の姪浜駅から福岡空港駅まで乗り換え無しで移動した人は、同じ料金区分なのに340円。そのため、不公平になってしまうということです。

    福岡市交通局によりますと、東京メトロや大阪メトロなどは、改札を通らない乗り換えが可能な路線が複数あり、乗車経路の特定がそもそもできないため、目的地まで複数のルートがある場合、最短経路の料金に設定しています。
    一方で、福岡市地下鉄の場合は、天神経由か博多経由かの特定が可能なため、原則通り、乗車距離に応じた料金の設定にすることを決めたと説明しています。

    「二重料金の混乱」を避け「公平性」を徹底するという市の説明。天神での乗り継ぎ制度の廃止を、利用者にきちんと周知することが必要になりそうです。 

    市は負担軽減策を導入

    市は、制度変更による混乱を避けるため、一定期間、乗客の負担軽減策を設けることにしています。

    定期券は、延伸前と同じ天神経由の経路でも料金は変わらない「天神経由特別定期券」を「はやかけん」で発売。
    通勤定期は令和5年3月27日~令和6年3月31日。
    通学定期は令和5年3月27日~令和8年3月31日の期間、お客様サービスセンターで購入できます。

    また、定期券以外の利用については、令和6年3月31日まで「はやかけん」で乗車した場合、博多駅に乗り換え駅が変更したことに伴い増加する乗車料金の1/2のポイントが付与されます。

    587億円という巨額の費用が投じられた七隈線の延伸。
    期待が高まる中、料金が変わることによる混乱が起きないように丁寧な説明が求められます。

     

    (※2月7日に公開した記事で、天神経由特別定期券の通勤定期と通学定期の発売期間に誤りがありました。正しくはこの記事のとおりです)


     

      • NHK福岡

        平山明秀

        大阪市出身 
        2021年から福岡市政担当

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