藍島に行ってみた!冬が旬の“さわら漁”
- 2023年01月26日
北九州市の沖合の豊かな漁場に囲まれている藍島(あいのしま)は、冬場にさわら漁がシーズンを迎えます。漁師たちは独自の技術でさわらの鮮度を保ちブランド化に取り組んでいます。藍島で生まれたブランド魚「藍の鰆(あいのさわら)」の魅力をお伝えします。

藍島周辺の響灘は餌が豊富で日本有数の漁場です。さわら漁は20年ほど前からこの地域で盛んに行われてきました。この日の漁場は、港から北西におよそ3キロの海域です。

漁師歴18年の島田慎太郎さん(38)は、さわら漁のプロフェッショナル集団「藍の匠衆(あいのたくみしゅう)」の衆長を務め、若手を引っ張っています。

さわらは魚に春と書くでしょ。1月、2月にかけてが一番おいしいんです。
一本釣りで大物のさわらを狙います。1匹も釣れない日もあるといいますが…。


「藍の鰆」の条件の1つとなっている3キロを超える大型のさわらが釣れました。

すかさず取りかかったのが漁師らが数年かけて習得した独自技術。「船上放血神経締め」です。独自の技法で詳しくは見せられませんが…。釣ったら船の上ですぐに血抜きなどを施し、さわら独特の臭みを取り除きます。魚のうまみ成分が増し、鮮度も長く保てるようになるといいます。

こうすることで価値が上がり、「藍の鰆」は通常のさわらの市場価格の5倍から6倍に相当する1キロ3000円の高値で飲食店と取り引きできるようになったということです。

「藍の鰆」を調理してもらいました。さばくのは、藍の匠衆の一員、両羽勝さん(50)です。重さ3キロを超え、なおかつ体脂肪率10%以上という条件を満たすものだけが名乗ることができる「藍の鰆」。その味わいを楽しめる料理を紹介してくれました。


まずは「刺身」。漁師のみなさんによると醤油につけて食べるだけでなく、オリーブオイルをかけて食べるのもおすすめだということです。


次に、一押しだという「さわらのたたき」。わらでいぶすと、脂がいい音を立て始めました。

さらに、酒、砂糖、醤油に、ぬかみそを加えて炊く北九州の郷土料理「ぬかだき」も作ってもらいました。

「藍の鰆」を藍島と北九州のみなさんの自慢になるような魚にしていきたい。いずれは藍島のさわらは日本一だと言われるように展開していきたいです。
1匹1万円前後の「藍の鰆」は一般には流通しておらず、食材にこだわる寿司屋や和食店といった店でしか味わえないそうです。生で、煮物で、焼き物で。店で提供される料理に合わせ、独自技術を駆使してさわらの処理法を少しずつ変えながら出荷する、まさにこだわり抜いたオーダーメイド漁業。地方の離島というと、高齢化や過疎化が進んでいますが、さわら漁師のみなさんはとてもパワフルで、藍島を元気にしようとする強い思いを感じました。若手漁師も集まってくることが期待されます。
(藍島取材班 馬見塚琴音)