2021年3月25日

体験★新型高速船に乗ってみた


【藤澤義貴】
午前9時。私は博多港国際ターミナルにいた。
念願の船出を迎えた高速船を取材するためだ。

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港に停泊していたのは、
全長83メートル余りの高速船「クイーンビートル」。
およそ55億円をかけて建造された新型高速船だ。

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好調だったインバウンド需要を取り込み、
博多とプサン(釜山)を結ぶ日韓の懸け橋となることが
期待されていた。

しかし、
新型コロナウイルスの影響が直撃した。
去年10月に博多港に到着したものの、
政府の要請でプサン航路が停止。
そのため、深紅に染まる船体は
博多港に係留され続けた。

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船を運行するJR九州高速船にとって、
日韓を結ぶ船が完全に停止するのは、
30年前の創業開始以来、初めての出来事だった。


プサン航路の停止から1年。
いまだ国際航路が再開する見込みが立たないことから、
当面、国内遊覧コースとして船を活用することが
国から特別に許可された。

そして迎えた2021年3月20日。
クイーンビートルにとって、
初めて乗客を乗せた“営業運航”を迎えることになった。

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この日のコースは、博多港を出発して
玄界灘に浮かぶ世界遺産・大島と沖ノ島を巡る3時間半あまりの旅だ。
九州や広島などから集まった230人以上の乗客が、
次々に船に乗り込んでいく。

この日は、
あいにく雨が降ったりやんだりする天気だったが、
真新しい船体や待ち受ける航海を前にした乗客の表情は、
私の目には、希望や期待で明るく映った。

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運航室では、
船長が出発ぎりぎりまで
航路や船体の整備状況を確認していた。

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午前9時50分。
予定よりも5分遅れて博多港を出発。
ゆっくりと離れていく港の景色がとてもきれいに見えた。

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クイーンビートルは、
先代のビートルに比べ定員が2.6倍。
さらに、通路の幅を1メートル近くとるなど、
ゆったりとした空間を意識して作り上げた。
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新型高速船では、
航行中シートベルトを締めることなく、
自由に買い物や食事ができる。

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乗客たちは、
パーティションで区切られたテーブルを囲んで、
思い思いに食事を楽しんでいた。

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船内には売店もある。
本来は免税店だが、
国際航路が再開されるまでの間、
コースターやバッジなどのオリジナルを販売。

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店の奥には、酒棚も。
スタッフによると、国際航路再開の折には
ワインなどのさまざまなお酒が並ぶという。

午前10時40分。
世界遺産の一つ大島に接近。
雨で視界が悪かったが、
徐々に島影が見えてきた。

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乗客たちも
展望デッキに出たり、
窓枠の近くに歩み寄ったりして、
スマホのシャッターを切る。

「思ったよりも近くに寄れた」と、
次なる神秘の島「沖ノ島」への期待も高まる。

さらに船を進めること40分。
いよいよ「神宿る島」とされる沖ノ島の沖合に到着。
思わず、「これが沖ノ島か!」と声が漏れた。

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古代からの遺跡がそのまま残り、
信仰の対象もなってきた沖ノ島。
ふだんは、上陸はおろか、
島に近づくこともめったに許されていない。

2キロ沖合からでも
明治に作られた灯台や島の岩肌をはっきりと見ることができた。

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船内には
手を合わせて祈りをささげる姿も。
乗客の女性は、
「一生島を訪れることはないと思っていたので感激した」と興奮していた。

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正午を過ぎ、
2つの世界遺産を堪能したところで、
お腹もすいてきた。

この売店で販売していた
ルーロー飯(甘辛豚肉丼)に舌鼓。
八角に似た独特の香辛料の風味が食欲を誘った。

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博多港に帰ったのは、午後1時半。
クイーンビートルにとって、
初めての3時間余りの船旅を終えた。

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サクラの季節に
新たな船出をしたクイーンビートル。
国際航路が開かれるまでの間、
糸島や博多湾を巡る周遊ツアーとして活用される。

ぜひ、普段見たことのない景色を
私たちに見せてほしい。


記事を書いていると、
また、船旅に出てみたくなった。
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投稿者:藤澤義貴 | 投稿時間:10時32分 | カテゴリ:キャスター日記 | 固定リンク

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