ラジオ文芸館、聞いてください...
2022年12月21日 (水)
みなさん、ごきげんよう。
アナウンサーの猪原智紀です。
R1・ラジオ第1で毎晩お送りしている「ラジオ深夜便」。
今回、その中で放送している『ラジオ文芸館』という朗読コーナーに初挑戦しました。
12月25日深夜、26日(月)の午前1時台の放送です。今年最後の文芸館です。
先日、佐久間アナウンサーのブログでも紹介してもらいましたが、その時収録した、声だけの“素”の朗読に音楽などを付けて、最終的な収録に臨みました。
朗読は、これまで色々な番組の中で、一部を担当することはあっても、一つの作品を通して読むのは初めてでした。普段主に担当しているニュースの読み方とは、全然違って、正直なところ、やりとげられるか不安でいっぱいでした。でも、そこは、経験豊富な先輩や同僚の助けを借りながら、収録に臨み、無事完成させることができました。
作品は、森絵都(もり・えと)さんの『太陽』です。
コロナ禍になって間もない街が舞台になっていて、突然の奥歯の痛みから、奇妙な歯科医院と出会い、自分にとって大切なものとは何なのか見つけていく、ちょっとサスペンス風の、ユーモラスな短編です。
児童文学が得意な森絵都さんらしい、等身大のポップで憎めないキャラクターの主人公の気持ちが、少しずつ動いていく様子が読みどころです。
家の近くにこんな歯医者さんがいたら、楽しいかもな、とも思います。
森絵都さんの『太陽』を選ぶにあたって、たくさんの作家の、たくさんのジャンルの短編を、何作も読みました。『太陽』を読み終えた時、これだ!ととても大事なものを見つけたような気持ちになりました。
しかも、森絵都さんとは、たまたま大学の同じ学部の同窓生だということもわかりました。通っていた時期も2、3年重なっていました。
同じ学舎で、お互いの将来に向けてそれぞれが勉学に励んでいた方の作品が、めぐりめぐって、朗読番組を作るというその折に現れた。ちょっと縁を感じてしまいました。
『カラフル』『DIVE‼』『風に舞いあがるビニールシート』『みかづき』など、直木賞受賞作、人気作、話題作がたくさんある中から、森絵都さんらしさが凝縮された作品を選びました。
(今回は自らディレクターとして制作したので、スタジオでは、収録直前まで、番組として作品の世界観をどう表現するか悩みました)
深夜だけど、結末が気になって、眠れない…なんてことになると申し訳ないのですが、あたたかくしてちょっと肩の力を抜いて、どんな顛末になるか、是非聞いてみてください。
みなさんにとって、『大切なもの』ってなんだろう?あ!こんなに近くにあったんだ!っていう発見につながると嬉しいです。
ラジオ深夜便『ラジオ文芸館』
森絵都作『太陽』は、
R1で12月26日(月)午前1時台の放送です。
(この時間はFMでも同時放送。放送後は1週間、らじる★らじる・聞き逃しサービスでもお楽しみいただけます)
みなさん、良いお年をお迎えください。