自分を信じて打つ~福井ブローウィンズ・田渡修人選手~
- 2024年02月20日
バスケットボールB3リーグで首位を独走する福井ブローウィンズ。1年でのB2昇格を目指すチームは、すでにプレーオフ進出を決めたうえ、26連勝とリーグ最多連勝記録を更新中です(2月18日時点)。
好調のチームを支えるのは、田渡修人(たわたり・しゅうと)選手(34)です。リーグナンバーワンのベテランシューターが意識するのは、「自分を信じてシュートを打つ」ことでした。
リーグNO1
スリーポイントシューター
田渡選手はBリーグ1部の強豪・サンロッカーズ渋谷から加入しました。思い切りよく放たれるスリーポイントシュートは、チームの大きな武器です。
成功率40%で一流とされるスリーポイントシュートですが、田渡選手は、それを上回る46.09%と、リーグトップの成績です(2月18日時点)。
新しいチームで一から何もないところからチームを作ることに関われる。この年になってこういうチャレンジができるっていうのが、自分の中ですごいワクワクしています。
ずっとくやしいシーズン
田渡選手の競技人生は、決して順風満帆ではありませんでした。
名門・筑波大学でキャプテンを務めた後、プロの世界に飛び込みました。リーグ屈指のシューターとして、オールスターゲームのスリーポイントコンテスに出場するなど将来を嘱望されていました。
しかし、毎シーズンのようにけがに見舞われます。特に去年の左足首の大けがは、選手生命を脅かすほどのものでした。
去年のけがは、やった瞬間に『引退かも』という考えが頭をよぎりました。そのそぶりは見せないようにしていましたけど、この数シーズンは苦しかったですね。
万全ではない左足
田渡選手の左足首は、いまだ完治していません。
左足首に負担がかからないように、トレーナーとともに、地道に体作りに取り組んできました。
服部亮一 ストレングス&コンディショニングコーチ
プレシーズンの時に比べたら、全然良くなっています。田渡選手は努力家なので、ちゃんと愚直にやるんで、そこは彼がしっかりやったものがちゃんと効果として現れていると思います。
左足首が少しでもよくなるようにと、自宅でも朝晩20分のケアは欠かしません。
歯磨きと一緒ですね。顔を洗って歯を磨くのと一緒です。このリハビリをやらないと、足首が固まって動かなくなってしまうので、これをやらないとバスケットボールができないんです。
自分を信じて打つ
地道な努力を続ける田渡選手は、ここまで全試合に出場を続けています。
サンロッカーズ渋谷時代からの恩師でもある伊佐勉(いさ・つとむ)ヘッドコーチは、いまこそ、自分が思うがままにプレーしてほしいと考えています。
伊佐勉ヘッドコーチ
サンロッカーズ渋谷での時代を含めて、いまが一番良いパフォーマンスだと思います。ただ、これだけシュートの成功率が高い選手なので、もっと『エゴ』を出して、もっともっとシュートを打ってほしいと思っています。
田渡選手の意識が変わったのが、11月18日に行われた岐阜スゥープスとの試合でした。
試合は、福井がリードするものの、岐阜が追い上げを見せます。そうした中、田渡選手にボールが渡ります。しかし、この日は、4本連続でスリーポイントシュートを外していたのです。この時、近くには、チームのトップスコアラーであるトレイ・ボイド三世選手がいましたが、迷うことなく、自らスリーポイントシュートを打ち、見事に決めたのです。
田渡選手は、外し続けた中で打ったこのスリーポイントシュートは、今シーズンの中で、最も意味がある一本だったと振り返ります。
前の僕だったら、味方にパスを出していたと思います。この試合の前半にムー(伊佐ヘッドコーチ)さんに、『どんどん打て』と言われて、パスが来たら打つ、それだけを考えていました。この一本は、自分の中では、よく自分を信じて打ち切れたというのと、いままでのメンタルじゃなかったというのは大きかったです。
田渡選手は、このあと4本連続でスリーポイントシュートを決め、勝利に大きく貢献しました。
「自分を信じてシュートを打つ」。
けがと向き合いながらも、新たな境地に辿り着いたベテランが、チームをB2昇格に導きます。
自分がこのチームで一番スリーポイントシュートが入ると思っているし、何ならB1でもトップだと思ているので、その気持ちを強く持ちながら、僕が責任を持ってチームを引っ張っていくぞと思っています。