ページの本文へ

ザウルスウェブ

  1. NHK福井
  2. ザウルスウェブ
  3. 福井が全国シェアNo.1 除雪トラックの違いは“顔”に出る!

福井が全国シェアNo.1 除雪トラックの違いは“顔”に出る!

福井が誇るシェアNo.1のモノづくり②「ザウルス!今夜も掘らナイト」2023年2月17日放送
  • 2023年04月19日

雪国ではおなじみの除雪トラック。その全国シェア1位を誇るのは、福井県にある社員50人の小さなメーカーです。今まで作ってきた除雪トラックはなんと1000種類!とことんニーズに応えることで、シェアNo.1に輝き続けているんです。

雪に合わせてオーダーメイド 

 

あわら市にある社員50人の小さなメーカーで作っているのは、除雪用トラック。その前方に構える雪をかく部分「プラウ」という装置の製造で国内シェアNo.1を誇ります。主に自治体から発注を受けていて、北海道から鹿児島まで、全国でこの会社の除雪トラックが活躍中です。
ズラリと並んだ出荷を待つ除雪トラック。実は、1台1台プラウの形が違うんです。ここにシェアNo.1の秘密があります。 

下の写真をご覧ください。左が岡山県に、右が鳥取県に納入される除雪トラックです。違いがお分かりですか?

岡山県(左)と鳥取県(右)のプラウ

開口部の両端の長さが同じ岡山のプラウに対して、鳥取のプラウは左右の長さが違います。鳥取のプラウは、道路の左側に排雪できるように作られているからなんです。 粉雪が多い東北、湿った重い雪が特徴の北陸、量としては少ない太平洋側など、雪質や降雪状況は地域によってさまざま。それぞれの自治体の個別の注文に対して、オーダーメイドでスノープラウを作っているんです。 

九州や関東など雪が少ない地域のニーズに応えたこちらは、プラウが折りたためるタイプです。ボタン一つで自動で折れ曲がることで、ETC をすり抜けることができます。雪が多い地域の高速道路には、除雪トラック用の広いレーンがあるのに対し、雪が少ない地域ではそのようなレーンがないため、この折りたたみタイプが重宝されているそうです。 

 特殊なニーズにも応えています。直線が多く速さが求められる高速道路専用や、1度に多くの雪をかくために、4.8mの巨大プラウを付けた空港滑走路用など、今まで作ってきた除雪車は、なんと1000種類ほどにもなると言います。 

こうしたオーダーメイドの対応が可能なのは、熟練工がプラウを1つ1つ手作りで製作しているためです。大きさ、カーブの形状、自由自在の加工が可能なのだといいます。

岩﨑茂雄社長

社長 岩﨑茂雄さん
お客様の要望にお応えできるように私どもの会社では手作りで色んなものを作れるような体制を整えている。これが強みかなと思う。

 No.1の原点にあった失敗

 この会社がプラウの製造を始めたのは1965年。以降、雪かきの効率性を上げる製品を世に送り出してきました。ところがある問題に突き当たります。雪に隠れた縁石にプラウを引っ掛け、道路やプラウ自体が破損する事故が多発していたのです。 一度プラウが破損してしまうと、直すのに数十万~200万円ほどの費用がかかってしまうだけでなく、乗車している人がけがをしてしまうこともありました。

そこで開発したのが、先端が折れ曲がるプラウでした。その仕組みをご説明しましょう。

それまで一体成型していたプラウをあえて「本体」と「先端の雪をかく部分」に分けて、そのつなぎ目に金属の棒を入れて組み合わせました。この金属の棒、点線の部分に溝が切ってあるため、5トン以上の衝撃が加わると棒が折れてプラウが曲がるようになっているんです。衝突の衝撃を逃がすことができるので、プラウの破損は激減。これをきっかけに売り上げを伸ばし、シェア1位に駆け上がりました。 

ニーズに合わせた開発 今も 

ワイヤー式ガードレール

第1号機を作ってから58年。今でも地域やニーズに合わせた開発を続けています。この日は、近年増えている高速道路のワイヤー式ガードレール専用の除雪装置について話し合っていました。最近増えているこのワイヤー式ガードレールは、積雪が重なるとその高さが車を超えることもあり、放置すると雪解けの時期に車道に雪が崩落してくる危険性があるそうです。それを防ぐため、ワイヤーに積もった新雪をはらう装置が欲しいと、山陰地方からの要望があって開発しました。今後、受注が増えるのではないかと期待を寄せています。

高い技術力を生かして、全国シェア1位の商品を製造している福井の企業を紹介するシリーズ、次回はシェアNo.1商品を3つも開発した中小企業の、時代を先取りした戦略を紹介します。

ページトップに戻る