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全国の警察紋章 じつは7割福井産 シェアNo.1の理由とは?

福井が誇るシェアNo.1のモノづくり①「ザウルス!今夜も掘らナイト」2023年2月17日放送
  • 2023年04月17日

警察署の玄関などで目にする金色に輝く紋章。全都道府県の7割を福井県の会社が作っていること、みなさんご存じでしょうか。それだけではありません。サッカー日本代表のユニフォームにも福井のシェアNo.1の技術が使われています。実は、全国No.1シェアを誇る企業が福井になんと51社もあるんです。こだわりの技術に驚きの戦略…日本一に輝き続ける福井のモノづくりに迫ります。

金属に見えてじつは・・・

全国7割の警察紋章を作っているという福井市の会社を訪ねました。

中は工房のような雰囲気。出荷前の警察紋章が所狭しと並べられています。 本物の金のような輝きを放っていますが、裏を見てみると…。 

あれ?白い。この会社で作っている紋章、じつはセラミックスでできているんです。コンコンと軽くたたくと食器をたたいたときのような音がします。磁器として焼き上げたあと、表面だけ金色に色をつけているんです。

この紋章、従来は樹脂、金属などで作られているものが多かったそうですが、屋外に掲げられることがほとんどで、雨風にさらされるため、どうしても数年で劣化してしまっていたそうです。 そこで先代の社長が、耐久性の高いセラミックス製の紋章を開発。越前焼の試験場に通い、数年間研究を重ねました。金属に比べ腐食しにくく、塩害や凍害にも強いため、雪国や海に近い警察署など、どんな環境でも長持ちするといいます。 

こちらは60年前に警察署に納品され、実際に使われてきたもの。金の輝きが半永久的に持つという評判で、全国で採用されるようになりました。

廣部耕一社長

二代目社長 廣部耕一さん
問題は金をどうやって長く半永久的に持たせるのか。屋外の自然環境に耐えうるように、(父は)やり方を考えてやったというのがすごいと思います。

金の輝きにかけるこだわり

いったいどうやって本物の金のような輝きを出しているのか。その作り方を見せてもらいました。

型に粘土を流し込んで乾燥させた後、一度窯で焼いて成形します。輝きの肝となるのが、焼きあがった紋章に吹き付ける薬液です。純金と数種類の薬品を調合して作られていて、会社でも社長しか知らない秘密の配合なんだそう。たとえ本体が壊れなくてもその輝きを失ってしまえば紋章の価値は半減してしまう、と輝きを持続させるためにとことんこだわりぬいて作られています。できあがった薬液を塗って、秘密の時間と温度で焼きあげると、まばゆいばかりの金の輝きを放つようになりました。

 17年前、会社を継いだ耕一社長は、金の色みに磨きをかけるため今でも製造方法の改良を重ねています。左が先代社長、右が耕一社長が作った紋章です。輝きがさらに増しているのがわかりますよね。目指すのは、限りなく純金に近く、威厳を持った輝きです。焼く時間や温度を変える試行錯誤も繰り返し、シェア1位を守り続けています。 

サムライブルーの背中にも福井の技術 

 去年、カタールで開催されたサッカーW杯。日本中を沸かせた日本代表のユニフォームにも、福井のモノづくりの技術が生かされています。

それがこの背番号と名前のラベルです。福井市にある会社の熱転写ラベルが使われています。熱転写とは、透明のフィルムにデザインを印刷し、熱と圧力を加えることで衣料などに貼り付ける技術のこと。サッカーのユニフォームには、スライディングでこすれたり、相手選手に引っ張られても破れないだけの高い耐久性が求められます。とにかく剥がれないことが売りのこのラベルは、2007年にJリーグのユニフォーム向けに開発され、2008年からは日本代表のユニフォームに採用されています。

 このラベルのもととなっているのが、車の座席のサンバイザーに貼ってあるこの注意ラベルです。マイナス30℃から80℃までの温度に耐えることができるので、駐車中、フロントガラスに雪が積もっても、真夏に社内の温度が上がっても大丈夫。日本のメーカーの8割で採用されています。

こんなものまで福井産! その数50以上

私たちの暮らしに身近なもので、福井で作られているトップシェアのものはまだまだあります。カーシートやレンタルDVD専用ケース、昔懐かしの蚊帳も節電意識の高まりやクーラーをつけても冷気が直接当たらない、などの理由で見直されているんだとか。福井県の産業技術課によると、自動車やスポーツ、ファッションなどの分野でシェアがトップの企業は、なんと51社あるんだそうです。

次回は、こちらも福井がシェアNo.1、雪が降った時に活躍する除雪車についてご紹介します。

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