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福井のそば特集② そば打ち愛好家が極める“そば道”とは

2022年10月7日放送 ザウルス!今夜も掘らナイト「福井のそばは日本一 名店!達人!青春!」
  • 2023年02月14日

    福井のそば特集、第2回で深掘りしたいのはそば打ちです。

    というのも、福井はそば打ち愛好会の活動が盛んなんです。
    愛好家の皆さんは日々そば打ちの技術を磨いていて、素人名人大会に出場したり、段位の認定試験を受けたりしています。これら実は福井発祥なんです!

    そば打ちに情熱を注ぐ福井の人々を見つめました。

    アマチュアそば打ち界の頂点!
    名人の美しすぎるワザとは

    アマチュアそば打ち界で、一目置かれている名人が福井にいるということで、ご自宅にお邪魔しました。

    普段は会社員のそば打ち名人、井敏朗さん。
    さっそく名人の証を見せてもらいました。

    井敏朗さん
    これが6段の証状です。

    段位認定者およそ1万5千人のうち、最高段位「6段」は21人だけ。まさにアマチュアそば打ちの頂点です。

    6段になるには、技だけでなく、深い知識も問われます。自宅には何百冊のそばに関する本が。
    歴史や文化など、そばの全てを知り尽くしたいと今も勉強を欠かしません。

    井敏朗さん
    6段という立場でわかってないと恥ずかしいのかなと。なんかもう見栄だけですね。

    井さんはおよそ20年前、アマチュアそば打ち界のレジェンドに弟子入り。打つたびに違う表情を見せるそばの魅力に引き込まれました。

    井敏朗さん
    そばは一期一会。
    水の入れ方であったりで、出来上がってくるものが違うものですから、「あ~そばは良いな」と思って。

    腕を磨き、名人大会で優勝するなど実力を伸ばすと、教えることへの情熱も湧いてきました。

    そして今、探究しているのはそば打ちにおける美しい所作です。

    例えば、そば粉に水を混ぜる「水回し」という作業。
    ここでの美しさは「穏やかな動き」。
    手首や肘などの関節を柔軟に動かし、ペースは一定に保ちます。
    すると、水分が均等にいきわたり、粉の塊も均等に大きくなっていきます。
     

    右はそば打ちを始めて数年の中級者。粉のまま残っている部分もあり、塊の大きさはまばら。
    井さんとの違いは一目瞭然です。

    そして、生地をのばしていく作業でも、美しい所作の追求があります。
    仕上げ直前の打ち粉を振る作業。
    必要最低限の粉の量で、かつ美しい模様を描くことに集中します。

    まさにそば打ちの演武
    アマチュアそば打ちの世界には、達人たちが追い求める深い領域があるんですね。

    井敏朗さん
    原則はおいしいものを作る。
    作ることができれば、それを今度人に披露するとか、きれいな所作として伝えてあげられるのが、今の私のそば道の追求だと思っています。

    そば打ち甲子園!
    青春をささげた高校生たち

    夏をそば打ちに捧げた高校生たちがいます。
    県内唯一、そば打ちを部活動にする啓新高校そば部
    全国大会に向けて特訓に励んでいました。

    全国高校生そば打ち選手権大会は、通称“そば打ち甲子園”とも呼ばれ、全国から20校以上が集まります。
    出場する団体戦は、4人のリレー。
    4分ごとに作業を交代し、制限時間40分でそばを完成させ、作業の正確さや出来映えを競います。

    時間配分や連係が欠かせないこの競技。
    啓新高校初となるベスト3を目指します。


    大会1週間前。
    この日はプロの職人から指導を受けていました。
    まずは本番通りに打って、現状を評価してもらいます。
     

    「外園、お前がポイントだ」
    声をかけられたのは、3年生の外園果那恵さん。

    この夏、実力を伸ばした外園さんは大会の3週間前、代表メンバーに選ばれたばかりでした。

    主に担うことになるのが、丸い生地に角を出して、正方形に伸ばしてしていく四つ出しという工程。

    目指すのは、このようなきれいな正方形です。

    しかし外園さんは、4つの角全てをきれいに出せずにいました。

    外園果那恵さん
    角が一か所だけ出ていないとか、角が出過ぎてるとか。
    自分のやり方が分からなくなって。


    大会2日前、最後の練習日。
    外園さんは、四つ出しを繰り返し丁寧に練習していました。

    外園果那恵さん
    他のメンバーも頑張っていたんで、それを見て「自分も頑張らなきゃ」って気持ちが入りました。

    チームでの練習も最後まで。
    前のメンバーの作業を引き継いだ上で、いかにそれぞれが持ち味を発揮できるか。
    4人は、納得がいくまで連係を確認しました。


    大会当日。
    「宣誓!私たち選手一同は、そば道の精神にのっとり正々堂々と競技することを誓います」

    3年ぶりの開催となった2022年、全国から17校が参加しました。
    いよいよ啓新高校の出番です。

    出だしは、順調にすすんでいきます。
    そして、外園さんの出番。練習に練習を重ねた四つ出しです。

    綺麗な正方形!これまでで一番の出来です。

    外園果那恵さん
    ずっと練習していた四つ出しがうまくできたので、ほっとしているというか肩の荷が下りたというか。

    その後も、メンバーはそれぞれに力を発揮していきます。直前での練習の成果もでて…納得のそば打ちができました。


    結果は後日、ウェブ上で発表されました。

    結果は…目標にしていた3位
    福井のそばの歴史に新たな1ページです。

    大会出場メンバー 左から 髙田隼也さん、水谷里羽さん、外園果那恵さん、山形陽和さん

    部長 髙田隼也さん
    やっぱり嬉しいし、みんなと協力して勝ち取った3位入賞だと思います。
    そば部に入ってよかったです。

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