福井のそば特集① おいしすぎる隠れた名店3選
- 2023年02月14日
ディレクターの小林彩里です。
私は大阪出身で、関西はうどん文化です。
だしに浸ったコシのあるうどん・・・うどんを食べに香川まで何度も行っちゃう・・・くらいうどん好きだったんです。
うどん派?そば派?なんて質問は、問答無用でうどん派。カップ麺であればもちろん「あーかいきつね」派でした。
しかし3年前、福井でそばを食べて衝撃がはしりました。
まず、えっ大根?おろしそば?ぶっかけスタイル?とそのビジュアルに驚き。食べたらそのおいしさに驚き、しかもヘルシー。
そばの罪悪感のなさたるや…!と気がつけば一度の食事で2杯は食べるように。
あれよあれよという間にそば派に寝返っていました。
「関西捨てたんか!」と豪語していた友達も、
福井でそばを食べると・・・「おいしいやん?」とイチコロでした。
福井のそばは日本一!
みんなをとりこにしちゃう福井のそば…実はこれ必然なんです。なぜなら福井のそばは日本一なんです!
民間の普及団体、日本蕎麦保存会が主催する「おいしいそば産地大賞」で2020年・2022年と2回連続1位に輝いています。
受賞理由はズバリ・・・味の良さ。
さらに、福井には22系統の多様な在来種があって、どれも大切に栽培されていることも評価されています。
在来種がこれほど多く残っているのは福井だけなんだそうです。
番組ではこの連覇を記念して、福井の奥深いそば文化を深掘りしました。
そばマニア激推し!隠れた名店3選
そば文化を語るのに欠かせないのは、まちのおそば屋さん。
紹介してくれたのは、大野市在住で眼鏡がチャームポイントの奥村慎爾さん。
本業はグラフィックデザイナー。しかしその傍ら、県内各地のおそば屋さんを食べ歩き、SNSやブログで発信しています。
味の評価だけではなく、福井のそばへの深い愛がつづられていて、思わず目をひいてしまう内容なんです!
そんな奥村さんが紹介してくれたのは、
“ちょっと素通りしてしまいそうだけど
行かなきゃもったいないお店”。
90以上の県内のおそば屋さんをめぐってきた奥村さんだからこそ、教えられるお店ばかり!
これぞ福井のそば!
田舎そばのたたずまい@大野市
まず案内してくれたのは、奥村さん行きつけのお店。
大野市の七間通り沿いにあるこちら。
確かに知らないと通り過ぎてしまいそう…。
店内は10席ほどとこぢんまり。駐車場の一角にあった空き店舗を借りて開いたそうです。
奥村さんが注文したのは、麺だけ温かいおろしそば。
奥越ではよく食べられているという食べ方です。
そばは、地元・大野の在来種を使った手打ちの十割そば。
大野で醸造されたしょう油に、水も大野。地元産で徹底しています。
奥村さんのイチオシポイントは、
福井らしい“田舎そばのたたずまい”。
短かく切れた麺の味わいがたまらないんですって。
つるつるってよりも、もぐもぐっていうか、かんで食べる感じ。
そばの香りが立って、いい感じなんです。優しい味なんですよ。
実はこのお店の方、元はおすし屋さんをしていたんです。
店主の宮本終子さんはおよそ50年前、おすし屋さんに嫁ぎました。
そのお店でシメとして出していたそばは、お客さんのほとんどが注文する人気メニューでした。
おすし屋さんは2021年に閉めることになりましたが、常連客の熱い声に応え、ここでお店を再開したんです。
お店はもうやらないつもりだったんだけど、お客さんが、
「母ちゃん、そばだけは絶対どこかでやってくれやって。」
ファンが多くてありがたいです。
ピンク色?!
唯一無二の“おろし”が食べられる!
@敦賀市
続いて、敦賀インターから車を走らせること20分。
開店からおよそ20年、県外からもそばファンが訪れる知る人ぞ知るお店です。
注文したのは、こちら。
きれいなおそば!
でも奥村さんのポイントは、右下にある色鮮やかな「おろし」なんだそうです。
大根ではなく…実はこれ、杉箸アカカンバ(すぎはし)。赤いカブで、この地区の伝統野菜です。
店主の山口一夫さんはおよそ8年前、栽培していたアカカンバをおろしそばにできないかと、思い立ちます。
一回試してみるか・・・。
そしたら全然味が変わって、大発見や~って!
アカカンバが持つ甘みと辛味大根の辛みの融合。
山口さんは、最もそばのうまみを引き立てる分量のバランスを探り、このおろしが生まれたんです。
お店おすすめの食べ方もあります。
半分はつゆの中へ、残りは少しずつそばにのせて食べる。
すると、おろしでさわやかになった口に、そばの甘みが広がります。
うまみがあるのは、アカカンバですかね。そばの甘みが際立ってきます。
伝統野菜と混ぜるって、自分では想像もつかないのでご主人さまさま。
ありがたいです。
栽培からそば打ちまで!
こだわり尽くしたおろしそば
@坂井市
最後に紹介してくれたのは、そばの栽培からそば打ちまでを一貫して手がける県内でも珍しいお店。
この店構え、そばファンにはたまらないようで…。
すごいでしょこれ、そばグリーン。
これだけでそば好きは心躍りますよね。
殻をむいたそばの実の色を連想しちゃうそうです。
目の付け所がそばマニア…!
メニューは「おろしそば」のみ。味への自信を感じます!
このそばには、店主でそば農家の高山重則さんの執念が貫かれています。
まず、そばの実の選別から。
乾燥させた実をふるいにかけ、決まったサイズの物だけを選び抜きます。お店で出すのは3.6ミリから4ミリの実だけ。10分の1ミリの差で、味に違いが生まれると考えています。
粘り・甘みが多く、おいしいんです!
石臼でひくときに注意するのは、水分を絶妙に残すこと。香りと甘みを最大限に引き出す決め手になるといいます。
そしてそば打ち職人は、理想のそばのイメージを共有できる同志とも言える存在です。
切り幅は、太めの平たい麺。
かみ応えがあって、香り・味をより深く楽しんでもらいたいという思いをカタチにしました。
ご主人のそばに対するこだわりというか、愛がすごいですよね。
そば以上に愛をかみしめて食べてますね。
お店ごとに広がるそばの魅力。
皆さんも是非、訪れてみてはいかがですか?
《おまけ》
そば屋でコンサート!
歌うのは、おろしそばソング
おいしいそばを堪能していると…おもむろにコンサートがスタート。
赤いドレスの女性と青いはっぴ姿の男性が、突然ライブを始めたのです。不思議な空間…!
歌った曲は、「おろしそば福井」。
ふるさとの町を歩けば 昔の面影
暖簾くぐれば 優しい笑顔 蕎麦を打つ香り
辛みの効いた大根 ネギに鰹節
ふるさと 思い溢れる おろし蕎麦の味
ストレートな歌詞とメロディーがなぜか懐かしく感じ、聞き入ってしまいました。
歌声もとっても素敵なんです!
歌っているのは、県内を中心に活動する歌手の絵利菜さん。
マネージャーの小林靖昇さんと一緒に大好きなおろしそばのPRソングを制作。県内のおそば屋さんをランダムに巡り、コンサートを行っています。
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