2018年02月10日放送放送内容まるわかり!

本業・副業"二刀流"? どうなるニッポンの働き方

いま政府は「働き方改革」の一つとして「副業」を促進しようとしています。厚生労働省は1月31日に「モデル就業規則」を改定、これまで"原則禁止"だった副業を"原則容認"と変更。副業を持つことで「所得の増加」「将来の起業や第二の人生への備えができる」などとしています。一方「情報漏えいや、働き過ぎになるのでは」という懸念の声も。副業が広まると、私たちの働き方はどう変わる?専門家とともに深読みします。

今週の出演者

専門家

大内 伸哉さん(神戸大学大学院 教授)
高橋 克徳さん(コンサルティング会社 代表)
竹田 忠(NHK 解説委員)

ゲスト

田村 亮さん(ロンドンブーツ1号2号)
宮崎 美子さん(女優)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


首藤 アナウンサー
街の皆さんに聞くと、副業を「やりたい」「やりたくない」、両方あったんですけれども、「やりたくない」が、やや優勢かなという印象でした。私たちも大谷選手のように二刀流になる社会が本当に来るのか?

宮崎 さん
誰もが大谷選手になれるわけがない。

首藤 アナウンサー
比べたらね、ちょっと難しいかもしれませんが。まずは田中アナウンサーのプレゼンを聞いてください。


プレゼンテーション

田中 アナウンサー
深読みでは何度も取り上げていますが、今回も「働き方改革」というテーマです。これまでは、あんまり残業しちゃだめよ、長時間労働やめていきましょうねっていうことでしたけども、今回また国が新しい働き方として提唱したのがこちらです。

首藤 アナウンサー
副業容認という。

田中 アナウンサー
副業っていうのは、1つの会社にいて、さらにまた別のところで仕事をすると。国が言うには、副業するとすごくいいこといっぱいあるよ。例えば副業のその先で、また新しい経験、経験値増えますよね。

宮崎 さん
まあね、うん。

田中 アナウンサー
人脈も広がりますよね。これがひいては本業に返ってくることもあるでしょ、生かせることもあるでしょっていうこと。
もう1つ、これ。将来、起業したいなという人にとっては、その前の準備みたいなのも、副業でいろんな経験ができておくとやりやすいよね。いますぐ起業したいってなった時には、会社を辞めて独立っていうんじゃなくて、いま会社に籍を置きながら、つまり、お給料をもらいながら新しいことに挑戦できる、これ、結構いいんじゃない?

田村 さん
いい話だけで聞くとそうですけど、単純に僕が最初に思ったのが、残業を減らせと言って、日本の人は働きすぎやって言ってんのに、もう1回その時間を使って働けって、働いてほしいの?国は。それとも、休ませてほしいの?どっちなの。

田中 アナウンサー
国としては、どうぞ日本の企業の皆さん、これやってみたらいかがですかって言うんですが、会社ってどう考えているのっていうのを見ていきますね。
この深読株式会社。社長さんに聞いてみました。副業、どうですかね?

首藤 アナウンサー
眉をひそめてますけど。

田中 アナウンサー
いい顔しないんですよね。本業がおろそかになっちゃうんじゃないの?
そもそも副業って「認めてない」と答えた企業。

首藤 アナウンサー
85%以上。

田中 アナウンサー
会社の中、見てみます。

皆さん一生懸命働いてますね。そして、この部長さん。

深読作さん、50歳ですけれども、会社に入る時に会社とある約束を交わしました。それがこれです。

「就業規則」というものです。会社と従業員の人たちで交わす契約です。これは10人以上の従業員を抱えてる会社だったら絶対に作らなきゃいけないもの。これは法律で決まっています。主にどういうこと書いてるかっていうと、基本、「いつでも、どこでも、いちずに」働いてねっていうことです。
「いつでも」、残業を命じることもありますよ。ただ、その代わり、手当や補償はちゃんとしますよ。「どこでも」、転勤言われます。ただ、ちゃんと仕事をしてくれれば昇進もありますし、お給料もアップしますよ。で、これです。「いちずに」。原則、副業はだめです。企業を見ると多いですよね。理由なくクビにはしませんから、よそ見しないで、うちで一心不乱に働いてくださいねということです。
ということで、読作さん、入社した時から会社とは・・・。

首藤 アナウンサー
わぁ、何それ?

田中 アナウンサー
強い"絆"です。強い結びつきがあるわけですよ。

首藤 アナウンサー
絆ですか?

田中 アナウンサー
違うふうに見ないでくださいね。だから読作さんとしては、家族で団らんの時があったとしても、休日、もし仕事があるんだったら出勤ということもあるでしょうし、転勤を命じられたら、家族と離れちゃうけど、単身赴任で会社のために働きますよ。
でもこの強い結びつきのおかげで、実は読作さんにとってもいいことが。

首藤 アナウンサー
なになに?

田中 アナウンサー
例えば、これ。

強い結びつきのおかげで安定したお給料が入ってくるでしょ。ひいては家族をちゃんと養えるよね。だって、クビになんないんだもん。そして、家族の手当とか、住宅の手当とか、いろいろある。
さらに個人でいっても、これ。

入社して、そこから会社でいろんな経験させてもらって技術を教えてもらった。その結果、大きな仕事を任せてもらって、うまくいった。その成功体験が自分の自信になり、誇りになる。

プライドを感じるわけです。部長さんになったわけですから。読作さん。
そして、気が付けば会社一筋の企業戦士へとなるわけですよね。

会社と従業員、結びつき、共に支え合って、共に高めてきた。これが1つの日本のある種のモデルケースだったんですね、これまで。
その流れの中で、副業容認って急に国は舵を切ろうとしている。なんで?
こういう背景。

これも深読みでやりました。皆さん、これから人生100年ですよ。いま、多くの日本の企業でいうと、65歳までは働いていいよ。ただ、65からまだ先30数年ありますでしょ。

首藤 アナウンサー
長いですね。

田中 アナウンサー
その時に、皆さんはどうやって暮らしますか?ちゃんとその時の仕事見つけてますか? 稼ぎ方、分かりますか?だから、いまのうちにいろんな準備をしておきましょう。
皆さんがとってもこだわっている会社との結びつき。これをパチンと切って、自由に皆さんで自発的に活動されたらいかがですか? というのが今回の国の提案なんです。

首藤 アナウンサー
はぁー。

田中 アナウンサー
実際、働く人たちはどう受け止めているのか。今回、番組でアンケートを採りました。いざ副業がオッケーと言われたら、皆さんはどう感じますか?

視聴者の声

北海道・30代・女性
「いまさら副業といっても、何をしたらいいか分からない」。

神奈川県・40代・男性
「本業でへとへとになるまで働かされています」。

岐阜県・60代・女性
「寝不足になっちゃいませんか? それで仕事のミスが増えるんじゃないですか? 負担が増えるんじゃないですか?」。

東京都・40代・女性
「副業を会社が認めたとしても、本当は上司がいい顔してないんじゃないかな」。

田中 アナウンサー
こういうような不安の声があるわけです。
国も、働く人に調査をしました。皆さん、副業したいですか? 「したい」と答えた人の割合。

首藤 アナウンサー
少ない。

田村 さん
でしょうね。

首藤 アナウンサー
5.7%だけ。

田中 アナウンサー
やっぱりまだまだ皆さん、この意識が強いんですね。会社とつながっている。これが多くの企業戦士にある中で、果たして副業って日本で広がっていくんでしょうか?

首藤 アナウンサー
うーん。本当にこの状態で二刀流社会というのはやってくるんですか?

竹田 解説委員
最初に確認しなきゃいけないのは、別に国は、副業したくもない人に副業やれやれって言ってるわけじゃないんです。あくまでも、いままでは一律だめって言ってたものをやりたい人はやってもいいじゃないですかっていう。

具体的に言うと、企業が就業規則で禁止してるのは、実は国が大元の、ひな型の「モデル就業規則」っていうのを作ってるんです。

宮崎 さん
へぇー。

竹田 解説委員
特に中小企業はだいたいこれを基に作るんです。国のモデル就業規則は、以前はこうだったんですよ。「許可なく他社の業務に従事しないこと」。明確にだめよって言ってたんですね。
こうやって基本原則禁止って言ってたのを、1月31日、こちらに変えました。「勤務時間外に他社の業務に従事することができる」。

宮崎 さん
許可はいらなくなったんですか?

竹田 解説委員
それはケースバイケースですね。何の届け出もなしにできるかどうかっていう、それはまた、それぞれの会社のやり方によるでしょうけども、基本的には、本来はその人は勤務時間外に他社の業務に従事することはできるんだよ、これが原則ですよっていうことに書き換えたわけなんですよ。だから、これから各社の就業規則も少しずつこっちに変えていくんじゃないかと。

大内 さん
そもそも副業の問題というのは勤務時間外の話ですよね。これは私生活の問題、個人の自由の問題なので何をしようがかまわない。遊んでもいいし、働いてもいいしっていうのは本来原則のはずなんですよ。だから、副業を規制するということは、個人の自由という観点から見ると望ましくないというか、問題意識が当然出てくるわけですよ。
しかし、これまで言われていたのは、そうは言っても勤務時間外だから何をしてもいいということでもないだろうと。例えば、副業することによって本業に支障が生じるような場合。あるいは副業の内容が企業の信用を失墜させるような、そういうこともありえると。そういうものも規制していいと。それから、同業他社で働くのはちょっと困るでしょうと。あるいは秘密漏えいの危険があると。このへんが副業を制限していい正当な理由ということだった。そういう場合は新しいモデル就業規則の下でも、副業を企業は不許可にするということはかまわないと。原則と例外が変わるというようなことなんですね。

宮崎 さん
その時の解釈でね、それこそね。

大内 さん
抽象的に、本業に支障が生じそうだねっていうことで副業を規制するとやっちゃうと、規制の範囲が広がっちゃうということなんで、本当に本業に支障が生じるかどうかを今後はちゃんと見ていかなきゃならない。

首藤 アナウンサー
不安の声、たくさん届いてるんで紹介させてください。

視聴者の声

愛知県・50代・女性
「すべて中途半端になり、会社や相手先、周囲の人たちに迷惑をかけかねない」。

大分県・70代・男性
「真剣に働こうという社員が減少し、業績悪化を招くと思う」。

首藤 アナウンサー
専門家の皆さん、こうした声にはどう答えますか?

高橋 さん
前提になってるのは、まさにこの社会ですよね。企業のために働く。企業が逆にいろんな補償をしてくれるんだと。守ってくれるんだと。だから企業のために頑張りましょうってやってきて、そういう気持ちが残ってるわけですよね。
現実、書いてあること、ほとんど崩れてるんですよね。残業しても、ちゃんとした残業代払われてるのかとか、昇進・昇給っていうけど、みんながちゃんと昇進・昇給できた時代じゃもうなくなってるとか。実質的に理由なき解雇はまだできないですけども、でも、一方でリストラが起こったりだとか、会社が守ってくれる時代じゃもうない。なのに、そういう幻想の中で、まだまだ守ってくれるんじゃないか。そういう中で働き続けようって気持ちがどっかにあるけど、不安もたくさんあるんですよね。

首藤 アナウンサー
幻想ですか。

大内 さん
幻想というか、先ほどご説明いただいたのは、日本型雇用システムっていうやつですよね。大事なところは、長期雇用を保障すると。雇用が安定してて、賃金も安定させる。その代わり、企業の言うとおりに働いてねというのがセットなんですね。正社員としてみれば、いちばん大事な生活保障があれば、多少企業に無理を言われても、従うっていうことで合意はできてた。企業としてみれば、必要な時には残業してもらいたいというのが本音としてあるわけです。そういう時に社員が副業をやってるとなると、それとバッティングしますよね。
あるいは企業はこんだけあなたたちを守ってるのに、ほかのところで働いて仕事のエネルギーを使うというのは、ちょっとそれ、背信的じゃないですかっていうようなことを企業は考える。先ほど、法的な原則では副業を規制するにはちゃんとした理由が必要だって話をしましたけれども、企業の気持ちも分からないではないんですね。
ただ、この日本型雇用システムが、だんだん変わりつつあるというところなんですね。長期的な雇用保障って本当にできるんだろうか。こんだけ技術革新が進んでて、いまの社員の力で、10年後そのまま企業がうまく事業を回していくことができるだろうかということを考えると、場合によっては違うところに行って働いたほうがいいですよって話にもなるかもしれないと。実際そうなるかどうかはともかく、従業員のほうがそうかもしれないと思うと、忠誠心というのもだんだんと。忠誠心持っててもいいんですけど、それはもしかしたら根拠のないというか。

宮崎 さん
根拠のない忠誠心?

大内 さん
忠誠心持ってても、それは満たされないかもしれないっていうことにもなりかねない。忠誠心持たなくていいって言うとまた怒られそうなんですけれども、労働者側からすると少し警戒したほうがいいと。

宮崎 さん
そんな時代なんだ。

大内 さん
そうすると、副業というものももっと認められてもいいんじゃないかって、労働者のほうから考えるようなことも起こるだろうと。

視聴者の声

神奈川県・60代・男性
「愛社精神、責任感、日本人が持っていた美徳はどこにいってしまうのか」。

首藤 アナウンサー
いまの話だと、美徳っていうのはないんですか?古いんですか?

高橋 さん
ないというか、盲目的に信じるっていうか、すべてを委ねるっていう形での愛社精神ではないと思うんですよね。

竹田 解説委員
あと、重要な視点は、愛社精神とか忠誠心の問題もありますけども、実際に副業しないと困るっていう人もたくさんいるわけですよ。

実際にいま副業してる人の年収、アンケートで聞いてみると完全に2分してるんですよ。400万ぐらいがだいたいサラリーマンの平均年収ですね。この下にものすごく大きな山があるわけです。年収200万以下の人たちが副業をやってる。つまり、本業だけでは生活していけないので、生活するために副業をやらざるを得ない。それ禁止なんて、それはありえないでしょうっていう切実な人たちがまずここにあるわけですね。
あとはもう1つ、年収が高い人も、実は副業をやってるんですよ。この人たちは、例えばデザイナーとか、ITの技術者とか、スキルを持っていて、ちょっと副業すればものすごくお金が稼げるとか、もしくはその人たちの貴重なスキルをいろんな団体が欲してるっていう、そういう人たちですね。
いま、だいたいこうやって大きく2分化してるんですよね。ですから、いろんなところで、副業ってひとくくりには語れない。

田村 さん
上の人とかはその技術を見られてたり、買われたりするから、そっち側の人はうまいこといくような気がするんですけど、結局、間の人だったり、ちょっと下目の人が、メリットがあまりにもなさすぎないかなって僕はちょっと感じちゃうんですよね。


グラフィックレコーディング

田中 アナウンサー
皆さんの議論を聞いていて、ツイッター、かなり来ています。視聴者の方のリアルな声をイラストとともに描いている、グラフィックレコーダーの山田夏子さんです。

実は山田さんも副業の経験がかつてありまして、その副業がいまの本業になっているというご経験の持ち主なんですね。
いま副業やってますっていう人の体験の声も来ています。

「考えの幅が広がりました。本業のストレスも副業で相殺されています」「全く違う業種をやりました。価値観の違う人たちと交流できます」「人脈がぐっと広がって、その分、視野も広がって本業にも生きています」。
その一方で、「大変だった」という声も。

「どれも中途半端」「税金の手続きが面倒になりました」。そして、「働き方改革で残業と収入が減りまして、副業やらざるを得ない」。「睡眠不足」。「副業していましたが、忙しくなって体を壊し、結局独立しました。うまくいってません」。

宮崎 さん
中途半端になんないですかね。会社でも満足にまだこなせてないのに、副業っていろいろ手を伸ばして、結局何もできない人みたいになることはないですか?

高橋 さん
会社の中で、昔は、会社が期待してるとおりの役割を果たしてくださいと。でも、いま、いろんな考え方がどんどん増えてきてるし、いろんな新しいことをやらなきゃいけないと。
そうすると、決めた役割をそのままやるだけではなくて、多様な価値観とか、多様なノウハウだとか、どんどん会社に持ち込んでもらって、それをみんなで組み合わせて仕事をしましょうって、こういう時代になってきてるので、多様性が必要になってきている。

竹田 解説委員
日本型雇用システムって、なぜ欧米とは違うシステムが独自に、ガラパゴスのようにできたのかっていうと、工業化を進めるためにはこんないいシステムはなかったんです。

首藤 アナウンサー
工業化のためにはよかった。

竹田 解説委員
日本が高度経済成長を遂げるために、目標は分かってると。車でも、家電製品でも、作るものは分かってると。それをいかに大量に、安く、性能いいものを作るか。それはみんなで一致団結して、仕事の管理から、上の命令もピラミッド的にどんどん下に下ろしていって、みんなで改善運動をやって、それが本当にいいものを大量に作るという工業化、日本が先進国入りする時にはこんないいシステムはなかった。 だから、昔、ジャパン・アズ・ナンバーワンとか言われたころに、なぜ日本型システムはこんなにすばらしいのかといって、それは、会社への忠誠心がすごいとか、長期的な安定があるからみんなが自主的に頑張るとか、そういうことは全部美徳として、いいこととして評価されるような記事が欧米でもたくさん載ったんです。
だけど、工業化は行くところまで行って、いま、IT化、そして、AIだ、クラウドだってどんどん出てきた。つまり、作るものがはっきり決まってるから、そこに向けてみんなで頑張ろうじゃなくて、ないものを作ってください。
例えば、いままでテープレコーダーをいかに小さくするかっていってウォークマンを作って、完成形まできたと思ったら、突然iTunesみたいに、こんなちっちゃい、半導体の中ですべて音楽聞けますと。物理的に動くものは何もないです。この中に何千曲と入りますっていうようなのが突然出てきて、一気にビジネスモデルががらっと変わったわけです。
それから、いまシェアリングエコノミーとかいうけど、いままでみんな、大量にものを作って、いかにものを所有するかっていうのが目的だと思っていたら、所有しなくていいです。借りたらいいです。

首藤 アナウンサー
そうなってますよね。

竹田 解説委員
でも、必要な時に借りられるなんてないでしょっていったら、インターネットですぐにマッチングができるんですと。貸したい人と借りたい人がすぐに結びつくことができるんですっていって、ビジネスモデルがどんどん変わる。
そういう新しい発想を社員1人1人が持ってもらうためには、会社の中で決めたことを決めたポストでずっとやってくださいじゃ、ちょっと限界なんじゃないかなっていうのも実は背景にはあるんです。

田村 さん
なるほど。

首藤 アナウンサー
でも、視聴者の方から、とにかく不安の声が来てますけれど、欧米の人たちはそういうことにならないんですか?

竹田 解説委員
だって、残業しませんもん。

高橋 さん
海外行って本当に感じるのは、残業っていう概念は基本的にないのが前提ですから。5時に終わって、家帰ってごはん食べるっていう。家族となんでごはん食べないんですか?ってすごい聞かれます。

首藤 アナウンサー
基本給がいいんですか?残業しなくていい?

大内 さん
アメリカは1週間40時間以上働きますと、割増賃金5割なんですね。日本は2割5分なんですけど、5割。たくさん働いたほうがもうかりそうだから、どんどん残業しそうな感じがするじゃないですか。そうはならないんですよ。仕事よりも大事な価値というものがあって、それを尊重する。家族と一緒にいるとか、自分の趣味の時間を大切にするとか、そういう基本的な価値観があるので、残業したい人もいるかもしれませんけれども、ものすごく疲弊するまで残業するとか、そういうことにはならない。どれぐらいの給料をもらってるかにもよるんでしょうけどね。

竹田 解説委員
さっき首藤さんが言ったことはものすごく重要な指摘で、賃金水準そのものがちょっと安くないですかっていうのはあるわけですよ。会社のもうけの中からどれだけ賃金として出してるかっていう労働分配率っていうんですけど、日本は低いんです。欧米に比べて。すぐ生産性高めないとだめだとかいうけど、実際に会社にあるお金のうち、どれだけ労働者に回してるかっていうのはもともと低い。さらにそこに働き方改革で残業やめようって。

宮崎 さん
そもそも会社で、普通に賃上げとかすればいいじゃないですか?

田村 さん
最近ようよう考えたら、昔よう聞いたストライキみたいのは聞かへんなって思って。

高橋 さん
労働者が弱くなってしまった。

田村 さん
全然弱いですよね。そんなんも背景にあんのかなと思ったり。

大内 さん
賃上げをしてくれと、政府のほうが言ってるという話もあります。

首藤 アナウンサー
高度経済成長の時はものすごい皆さん頑張って、とにかく働いて上っていったじゃないですか。いま、その成長もどうなのっていう時に、そんなに働くなってどうなんですか?

高橋 さん
そもそもいま、働き方改革をしましょうって言ってますよね。残業を減らせとか、早く帰りましょうって言ってるだけじゃ変わらなくて、欧米の話でいくと、例えばミーティングなんか、15分ぐらいで、数人で短い時間でさっとミーティングをするとか、ちょっと決めたらまずやってみて、だめだったら修正しようとか、そういうことをやってるんですけど、日本企業って会議1時間、2時間ずっとやってるとか、何かあっても上に何段階も了解を得なければ決まらないとか。

竹田 解説委員
同じような会議を何度もやるとかね。

大内 さん
だから、残業を減らすというのは、残業代減るかもしれませんけど、それによって短い時間で効率的に働いて生産性を上げて、それが基本給のほうで返ってくるっていう流れに本当はすべきなんです。

竹田 解説委員
賃金改革ですよね、本当はね。

大内 さん
だから、残業代もらえないから困るとかっていうのはよろしくない話で、それは労働法の基本的な考え方とは違うんですね。労働時間は一定の時間に抑えなきゃならないという。

宮崎 さん
会議に罰則とか税金かければいいのにね(笑)。あんまり何段階もやったり、何時間もやったら。

大内 さん
いまだと1日8時間を超えて働けば割増賃金を払いなさいという形で、ある種そういう罰則というか、ペナルティーはある。

田中 アナウンサー
視聴者の方から疑問が来ました。主に2つ。まずは、

「公務員も副業ってできますか?」。

竹田 解説委員
国家公務員・地方公務員は法律で副業禁止です。

田中 アナウンサー
もう1つ。

「副業したら昇進できないんじゃないですか?」。

大内 さん
それは会社での評価しだいで、副業して、すごくスキルをアップしたとか、ほかの会社での経験が本業のほうで生かせるような形になれば、それは昇進につながる可能性もある。

高橋 さん
結局、会社が何でその人を評価してるかですよね。その中身が、ただ売り上げを上げたとか、たくさん働いたとか、それで測ってたら確かに影響するかもしれないけど、新しい事業を興していこうとか、あるいは仕事を効率化していくような動きを作ろうとか、そういう基準になれば、むしろそうやっていろんなことをやってる人のほうが知恵が出るかもしれない。新しいやり方を持ち込んでくれるかもしれない。そこは会社がどう捉えるかですよね。

宮崎 さん
会社は寛容になってくれるかな。竹田さんがNHKの解説委員をしながらホストクラブで働くとします。そこでトークスキルを上げて。

高橋 さん
上がるかもしれないですよね(笑)。

宮崎 さん
ね。それをNHKって認めてくれるんだろうか?

大内 さん
それは微妙で。

高橋 さん
微妙ですか(笑)。そうは言いきれない。

大内 さん
でも、もしかしたらトークは技術上がるかなってことで会社を説得して、許可してくださいと言えば。

宮崎 さん
そうそうそうそう。

高橋 さん
また人の魅力が上がるかもしれないっていう。

田村 さん
そうですよね、厚みとか。

竹田 解説委員
実際その話が実は大手企業の女性社員のところで、マイナンバーが入った時にものすごい問題になったんですね。マイナンバーが入ると副業がばれやすくなるんです。それで、大手町とか霞が関とか、ああいうところで働いてる人たちが、まさしく夜のキャバクラとか、そういうところで働いてるケースも結構実はあって、それがばれちゃったらクビになっちゃうかもしれないっていう。

首藤 アナウンサー
どう考えたら副業を前向きに考えられるんですか?モデルがいないじゃないですか。ずっとこうやってやってきたから。

高橋 さん

実際にいま副業っていっても、イメージ持てないと思うんです。そもそもなんで副業したいかっていう時に、お金のためかもしれないけど、自分の心が何か動かないと、無理してやってストレスたまるんだったら、それはやらないほうがいいなと。

首藤 アナウンサー
自分の心に聞く。まず。

高橋 さん
そうですね。その時に素直に好奇心が持てたり、わくわくする、そういう気持ちか、もしくは何か問題意識があって、誰かのために何かをしたいみたいな、そういうところから始める人っていうのは結構多いんですよね。
その時に、すでに自分が何か特殊な知識だとか技能を持ってますっていう人と、まだ持ってないなという人。これでもいろんなやり方がある。例えば、私の教え子でいたんですけど、自分がアイドルとか野球が大好きで、ひたすらそのコラムに投稿してたら、プロの人が目をつけて、ライターになってくれ。そこから実際に発信型で仕事が増えてきました。副業が出てきましたっていう人がいたりとか。

首藤 アナウンサー
オタクな部分の副業。

高橋 さん
こっちは、自分が、例えば何か好きで資格を取りたいと。例えばカウンセリング、人のことを、気持ちをもっと分かるようになりたいのでカウンセリングの仕事もしたい。そうすると、ある意味で自分のいまの仕事をしながらマネージメントにもいい影響があるし、いろんな会社の人たちの悩みに寄り添えるので、そういう形でスキルを高めようっていう人がいたりとかね。

田村 さん
あれも副業なんですね。トレンドキャッチ型。

宮崎 さん
仮想通貨。これ、副業なんですか?

高橋 さん
これも、副業といえば副業ですね。

竹田 解説委員
投資ですね。

高橋 さん
ただ、危険はありますよね。

竹田 解説委員
ほとんど投資じゃなくて、投機的になってますからね、いまね。

高橋 さん
それが楽しかったり、本当の意味で自分なりにわくわくしてやってるんだったらいいんですけど、金もうけだって始めると、まさにそちら側に気持ちがとられてしまうということが起こりますよね。

宮崎 さん
いろんなものがあるんだな。

高橋 さん
これなんかもそうです。自分の親の介護だとか、子育てやったと。ベビーシッターやってみたいなとか、そういう形で誰かに貢献したいと。いろんな形があると思いますね。
これは政府が言ってることですよね。政府からするともう少し、先ほどあったような、副業で本業に革新を起こしてほしいってことで、農業とITを絡めていけば、新しい仕組み作れるんじゃないのとか。特にいま、地方の創生ですよね。これがすごく大きなテーマになってきているので、自分たちがやってることを、特に地元だとかそういうところに還元できないか。
あと起業の準備ですよね。実際にいろんな経験していく中で、いろんな人と出会って、そこから仲間ができて起業するなんていうケースもあったりするので、そういうこともできないだろうか。

大内 さん
先ほど出てきたように、賃金が低いから副業しなきゃならないっていう人たちへの対策は、副業を規制することではなくて、賃金の本体のほうの見直しをやっていくっていうのが大切。
もう1つ、専門性が高い人たち。こういう人たちの副業というのは、まさに日本のこれからの経済にとって必要なことで、これから日本の労働力人口ってどんどん減っていきますよね。限られた人材で日本の経済を支えなきゃならないと。優秀な人材が特定の企業だけで労務を提供してるっていう状況よりも、人材のシェアという感じで、効率的な人材の使い方にもなるし、本人にとってもそういうほうがいろんな可能性も感じられる。言わば活性化ですよね。

副業っていうのは雇われるだけじゃなくて、自分で事業を興していくという面もあって、これからの、第4次産業革命なんてことをいわれていますけれども、新しい産業社会においても求められるということかなという気がしますね。

竹田 解説委員

ただね、これまで副業というのは認めないというのが基本の考え方だったので、法律とか社会保障の制度が、あくまで本業だけということを前提に組み立てられちゃってるんですよ。どういうことが問題になるかというと、労働時間、どうやって管理するんですかと。一応法律は、労働時間は、例えばA社、B社、別々で働いても、その人はそれ全部通算するということになってますけど、それぞれの会社が、相手が副業先とか本業先でいったい何時間の労働をしてるのか、どうやって把握すればいいんだと。その具体的なガイドラインとか、具体的なルールが明確になってないんですよ。
ですから、なかなか実態は合わせられてないんじゃないか。それぞれ別々に働いて、別々にお金をもらってるだけなんじゃないかっていうことが指摘されてるんですね。それはね、いろんなところ。例えば労災なんか。

宮崎 さん
労災は難しいですよ。

竹田 解説委員
例えば、この人がA社で30万円もらってるとしましょう。B社で週に1回ぐらい働いて、月収5万円もらったとしますね。30万と5万円。たまたま5万円働いてるところで事故に遭った。休まなきゃいけなくなった。入院した。そうすると、全部それを休まなきゃいけないですよね。
ところが、労災が最大8割ぐらい補填を、休業補償してくれるんですけど、その元になるのは5万円だけなんですよ。30万円のことを考えてくれないんです。こういう場合に、所得なり、収入なりを合算して労災っていうのを考えてもらえないのかとか、いろんな問題点がいま出てるんです。これは今後、少しずつ時間をかけて厚生労働省のほうでちゃんと議論を深めていきましょうっていうことで、これからなんですよ、ようやく。

田中 アナウンサー
まだまだこれからいろんな考えなきゃいけないことはあるんですが、それでもやっぱり副業って可能性あるんじゃないかっていう声が来てまして、これですね。「複業」。サブっていう意味じゃなくて「複」、複数の、パラレルってことですね。

「こっちっていう考え方をするとどうですか?何になるかではなくて、何をするかということです」。あと、これ。「社内の常識は社外の非常識と分かるためにも、副業はいいんじゃないの?」。

田村 さん
業界違うとね、いろいろ違いますからね。

大内 さん

まさにこれですよね。「パラレルワーク」なんて最近よく言われてますけれども、1人の人生、1回の人生の中でどういう仕事をして生きていくのかって考えた時に、いくつかの本業的なものを並行して走らせとくほうがいい時代が来つつあると。
先ほどの日本型雇用の問題は、本業がガチッとあって、そこで守られるってことですけれども、それがだんだん怪しくなってくると、例えば全く違う仕事、又吉(直樹)さんは、芸人をされながら作家にもなるとかですね。昔は、小椋佳さんが銀行員をやりながらシンガーソングライターをやるとか、これは代表的な二刀流の例だと思うんですけれども、こういう生き方というのは、今後、自分の人生を豊かにしていくという観点からも必要だと。単に本業の空いてる時間をどう使うかっていうだけじゃなくて。

田村 さん
悪いこととは全然思ってないですよ。ただ、会社のシステムとか、給料上げるとか、そんなんがあってから推進してくれないと、みんな困ると思いますよって僕は言いたいだけで。

竹田 解説委員
まず、環境をもっと整備してほしいと。

高橋 さん
確かに会社として準備しなきゃいけないこと、たくさんあるんですよね。ただ、それを待ってると、自分が本当にやりたいことだとか、1歩踏み出したいことに踏み出せなくなりますよね。
私は副業ってもう1つの意味があると思って、幸福の「福」ですよね。実際自分が何か本当にやりたいこととか、わくわくすることに踏み出してみよう。そしたら、それがまさに幸福の「福業」になっていって、それが自分に返ってくると。

大内 さん
「幸福追求権」っていう言葉が憲法ではありますけれども、われわれみんな、幸福を追求する権利があるわけですね。

宮崎 さん
こっちをキープしつつ、こっちも。

高橋 さん
そこに相乗効果が生まれてくると思います。

竹田 解説委員
もう1つね、「キャリア権」っていう考え方が最近出てきてる。自分のしたい仕事をする、そのために努力する権利が認められていいんじゃないかと。日本型雇用は、とにかく会社に入ったら、あっちやれ、こっちやれ。はっきり言えばたらい回しのようになって、何も専門性が磨かれないまま退職ってなっちゃったら、そのあと、人生100年どうやって稼げばいいんですか?

宮崎 さん
分からないまま、いろんなことする人もいそうね。自分探し的な人も出てきそう。

大内 さん
人生100年時代になってきて、適職に巡り合わなければ幸せになれない。こう考えると、自分の空いてる時間をいろんな経験に使う。本業の会社だけで働くのではなくてという生き方が、これからは問われるのかなと。

高橋 さん
会社のための人生だって思って頑張ってきたけど、自分のための人生を生きていいんだよ。そのために何かを、いろんなことをやってみようよっていう、そういう気持ちが大事じゃないかなと思いますね。

首藤 アナウンサー
きょうはどうもありがとうございました。

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