伊豆大島
東京都
2017年4月28日 放送
東京の南、約120km。黒潮に浮かぶ伊豆大島は、周囲約50kmの伊豆諸島最大の島だ。活火山、三原山の噴火を何度も乗り越えながら歴史を刻んできた。島の総鎮守は三原大明神。三原山それ自体が御神体だ。前回の噴火は昭和61年。溶岩流が町へ流れ出し、全島民が島を離れざるを得なかったが、今も島民は噴火を「御神火さま」と親しみを込めて呼び、信仰を守っている。
三原山は信仰の他にも島民の暮らしに大きな影響を与えてきた。伊豆大島といえば誰もが思い浮かべるツバキ。実は、ツバキは火山灰の水はけの良い土を好む植物。島は300万本のツバキで覆われている。島民はそのツバキを防風林にして家や畑を守り、秋に実のなる種から油を取るなど、暮らしに役立ててきた。観光のシンボル「アンコさん(島の女性)」が水桶を頭に載せたかつての光景も、そして特産干物クサヤの誕生物語も、みな火山灰の痩せた土地で培われた生きぬくための知恵だ。
冬から春へ。伊豆大島は、真っ赤なツバキから白く可憐な大島桜へ装いを変えていく。火を噴く島の人々の、いつもの春の物語。
ポスター
[写真]油谷勝海
[協力]東京都立大島海洋国際高等学校/大島観光協会/東海汽船
[椿写真]東京都提供
[協力]東京都立大島海洋国際高等学校/大島観光協会/東海汽船
[椿写真]東京都提供