瀬戸の島々

2016年10月28日 放送

700以上の島々が浮かぶ瀬戸内海。穏やかな海とは裏腹に、陸から孤立し、限られた資源しかない島の暮らしは決して便利なものではなかった。それでも島人たちは、不便な暮らしを豊かな暮らしに変える知恵があった。
一見穏やかに見える瀬戸内海も、海の中は激流。点在する島々が海を狭めるため、全国でも最も潮流が速い海域だ。その荒波で磨かれた操船技術を活かし、江戸時代には島人は北前船の水夫や幕府の御用船方となり海運業で栄えた。島と陸の流通が進むと、島では石工や、花の栽培、イワシの煮干しの加工といった、外との取引を主にした産業が発展していく。そうして島が外とつながりを持つことは、孤立した島が生きていくための知恵でもあった。
外につながりを求める一方、島人たちは独自の文化や暮らしを守り続けてきた。航海の安全を祈り、火を裸足で渡る祭りや、夏になると島を離れた人達も戻って一族総出で励む漁、自家製の野菜と取れたての魚の物々交換が行われる島の集会場など、瀬戸内海の島には日本の原風景が残されている。島人たちは不便なはずの島での暮らしに、“心豊かな暮らし”を見出していた。
そうした島の豊かな暮らしがいま、新たに見直されている。東京や大阪などの都会から、島の暮らしに憧れ、移住する人達が増えてきたのだ。瀬戸の島々を舞台にした現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」をきっかけに、島人たち自らが島の歴史を伝える動きも高まっている。
不便でありながらも、日本の原風景が残る瀬戸内海の島々。どこか懐かしくて、どこか豊かさが感じられる備讃瀬戸の島々の暮らしを見つめる。

旅のとっておき

はじめまして。「瀬戸の島々」を担当しました、高松放送局の山下です。今回は、移動がとにかく大変で、取材以外にも、機材の運搬を手伝っていただいたり、食事を用意して頂いたりと、島のみなさんにご協力頂きました。番組にご協力して下さった全ての皆様に御礼申し上げます。本当にありがとうございました。私が初めて島に取材に行った時に、驚いたのは島の人たちの生き生きとした姿でした。続きを読む

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