新潟 山古志

新潟県
2015年4月24日 放送

雪国・越後。中でも、半年近くを3メートルもの雪に閉ざされる山間の集落「山古志」。厳しい気候と地理環境の中で、独特の雪国精神が育まれてきた。
古くは江戸時代の書物「南総里見八犬伝」にも登場する「牛の角突き」。牛を家族のように大切にしてきた人々が追い求める理想の勝負の形は「引き分けにする」こと。互いの牛の健闘を喜び合うことが良いとされてきたのだ。
真っ白に閉ざされた世界で、「色」を渇望した人々が生み出したのは「泳ぐ宝石」。江戸時代後期、冬場の食料として飼われていた真鯉が突然変異したのを見逃さず、人々は競い合うように掛け合わせを始めた。今や、冬の間も世界中からバイヤーたちが訪れる、錦鯉の聖地となっている。
こうした文化を育んできた山古志の人々の根底にあるのは、「ざまったれ=弱虫」と言われることを忌み嫌う精神。冬場、危険な峠越えをしなければ隣町の病院にもいけなかった人々は、日本一長い手掘りトンネル「中山隧道」を貫通させた。
かつて出稼ぎに行く男たちの代わりに雪掘りをしていた女性たちは、今は楽しく「お茶飲み」をしながら厳しかった時代を振り返る。そして、春が待ちきれないと、吹雪の中でフキノトウを探しに行く。全村避難となった10年前の新潟県中越地震をも乗り越え、降りしきる雪の世界を力強く楽しむ人々のひと冬の物語。

旅のとっておき

「新潟 山古志」を担当した、新潟局ディレクターの橋本です。番組をご覧いただき、ありがとうございました。
山古志は、11年前の新潟県中越地震で大きな被害を受けた地域ですが、この厳しい「冬」の間に養われる濃い人間関係や精神力が、復興への原動力になったのだなあと、連日の豪雪に震えながら思いをはせた一冬でした。続きを読む

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