松島

宮城県
2011年10月28日 放送

あまりの美しさに、松尾芭蕉が句をしたためることが出来なかったという宮城県の松島。日本三景のひとつに数えられています。静かな海に260余りの島々が浮かぶ景観は、東日本大震災のあとも奇跡的に保たれました。遠い昔から人々を引きつけたのは、その美しさだけではありません。この世のものと思われない絶景は、古来、浄土へつながる霊場とされ、こう呼ばれてきました。「死後の迎えを待つ(まつ)島」。亡き人の往生を願う人々は、遺骨をわざわざ松島に運び埋葬したと言います。いくたびもの災害や飢饉を乗り越え、祈りの地に暮らしてきた人々。その歴史は縄文にまで遡ります。日本最大級の貝塚「里浜貝塚」にも縄文人の弔いの痕跡が残されています。中世以降、祈りは仏教と結びつきました。現世の栄華と死後の安寧をともに願った伊達政宗は、瑞巌寺を再建し、ここに桃山時代の美の極みを集めました。そして最近明らかになった松島誕生の秘密。13万年前の超巨大地震が、山を崩してこの美しい島々を作り上げたという研究が進められています。
今年は大震災を受けて、30年ぶりに盆行事が復活しました。海に響く瑞巌寺僧侶50人による読経、松島の海の恵みを歌う盆踊り。霊場・松島を美しい映像で綴ります。

旅のとっておき

「松島」の取材を担当した堀部です。松島と言えば「日本三景」の一つ、松尾芭蕉も絶句したと言う景勝地。その地に着く前から、誰もが身構えてしまうネームバリューがあります。さて、いざ目の前にその多島海(たとうかい)の美がひろがると、これはもうどこそこと比べるという次元を超えて「あぁここは特別な場所なんだな」ということが、なんというか身体全身に伝わってきます。続きを読む

ポスター
松島
写真:吾妻寛 協力:木村法雄
Page Top