味わい多彩 みんなの岩手山
「岩手山」を担当した、千葉と申します。いつも温かく迎えて頂き、取材にご協力下さった皆さん、ありがとうございました。
自分は、生まれも育ちも宮城。岩手はお隣ですが、盛岡の街を訪れるたび、間近に迫る岩手山の大きさに圧倒されていました。
今回、実際に取材してさらに驚いたのは、「岩手山ほど愛されている山はない!」と感じるほど、山麓に暮らす皆さんの山への思いが熱かったこと。小学生からお年寄りまで、岩手山を語り始めると止まらない!「家の台所から見る姿が一番」「車の中で山と会話してる」「自分にとっては神様以上」どの方にも自分だけの岩手山があり、山を仰ぐ眼差しは敬愛に満ちていました。大らかな岩手の大地と人々を育ててきた、岩手山の偉大さを教わりました。
東西南北、どこから見ても姿が異なる表情豊かな岩手山は、旅の楽しみも盛りだくさん。歴史・自然・食、3つのキーワードから、イチオシをご紹介します。
まずは「岩手山のレトロに会える!」小岩井農場。明治24年、南麓に開かれた、日本屈指の巨大農場です。おすすめは春。桜が満開を迎え、雪どけの岩手山と瑞々しい新緑が美しい季節です。
広々としたまきば園で遊び、有名な一本桜を愛でるのはもちろん、面白いのが、農場めぐりのバスツアー。春から秋まで毎日運行されています。なにしろ農場の敷地は3000ヘクタールと巨大、立ち入れない所も多くあります。このツアーでは、普段非公開の場所も含めて、農場の隅から隅までをご案内。百年以上前から少しずつ植林されてきた森など、不毛の原野を豊かな牧場に生まれ変わらせた、小岩井の素顔に触れることができます。
中でも見所は、国の重要文化財に指定された貴重な建物たち。明治から大正に建てられた牛舎や本部事務所など、その多くが未だ現役!という生き続ける農場遺産です。和風にも洋風にも感じられる独特な雰囲気に浸りながら、気分は明治にタイムスリップ。
さらに、ガイドの皆さんの個性豊かなトークも魅力。昔の制服に身を包んだ髙山勉さんは、宮沢賢治さんを愛するあまり、賢治さんが“奇跡”とうたった小岩井で働きたいと、故郷の静岡から移り住んで20年以上!賢治さんの作品や思いを交えながら、愛情たっぷりに農場を案内してくれます。
続いては、岩手山の自然に飛び込んで出会える「とっておきの景色!」毎年7月1日の山開きを迎えると、岩手山では本格的な夏山シーズンが始まります。登山は、紅葉の10月初旬までがベスト。百回以上登っている岩手山を知り尽くしたガイドさんも、山麓にはたくさん。十分な計画と準備の上、楽しんでいただければと思います。
登山の頼もしい味方が、標高1700mほどの8合目にある避難小屋。夏場は、岩手県山岳協会の方々が常駐し、管理しています。宿泊もでき(毛布貸し出しあり・食事提供なし)、それぞれの手料理を分け合いながら登山者同士で語らうのも、山の楽しみの一つ。
避難小屋に泊まってから、翌朝、ご来光を拝むために山頂にアタックする人たちも多くいます。また、山頂まで登ることができなくても、8合目からも素晴らしい御来光が望めます。
「山登りは好きだけど、岩手山はちょっとハードルが高い…」、という方におすすめしたいのが、岩手山の西側にある1466mの三ツ石山。山頂から眺める岩手山は、麓では見ることのできない、独特なお姿!
そして、旅の楽しみは、なんといっても地元の食。きのこや山菜など山の幸が豊富な岩手山麓。それだけではありません。「ピチピチの鮮魚!」も自慢です。その名も「八幡平サーモン」。岩手山の北にある八幡平市で、愛情こめて育てられています。驚くのは、その大きさ。体長60㎝、重さ2キロ以上と、普通の20倍ものニジマスです。
欠かせないのが、岩手山からの清らかな湧き水。年間ほぼ12度に保たれた少し低い水温が、ニジマスをじっくり育てるのに最適なんです。稚魚から3年かけて育てられた魚は、肉厚で脂ののった身に仕上がります。
6年ほど前からその美味しさが話題となり、今では、盛岡市や八幡平市の飲食店・旅館だけでなく、東京のフレンチレストランでも提供されている、岩手山が育む逸品です。
ゆっくり時間が流れる岩手山は、心も体ものびのびできる優しい場所。ぜひ遊びに来てください。
投稿時間:19:58 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク