2015年9月15日

2015年09月15日 (火)

東京の夏の記憶

「東京の夏」を担当した米本です。

東京にいると、時間の流れを早く感じます。つい昨日まであった店が、気付いたら別の店になっていたり、あったはずの建物がなくなっていたり。でも、目を凝らせば東京にもきちんと、時間が置いてきぼりにしてしまったものを大切に守り、伝えようとしている人たちがいます。そして、夏にはこの季節に特有の「記憶」があります。セミの鳴き声だったり、恋人と見た花火だったり、お盆のお墓参りだったり。猛暑の今年、そんな東京の記憶の断片を紡ぐような、夏の風景を記録しました。では、番組ではご紹介しきれなかった東京の夏の風物詩をいくつかご案内します。

【ポイント① 浅草ほおずき市】

冒頭で登場した「入谷の朝顔市」は7月6~8日の3日間。その翌日、9日~10日は浅草の浅草寺で「ほおずき市」が開かれます。この2日間にお参りすると四万六千日分のご利益があるという、江戸っ子らしい気風のいい縁日です。境内には露店が軒を連ね、色鮮やかなほおずきの市が立ちます。ほおずきは、お盆に亡き人を迎える際の目印になるとも言われます。お盆に飾る提灯と同じ役目があり、仏壇やお墓に供えます。既に赤くなったものは東京を中心とする7月のお盆用、まだ緑色のほおずきは、1か月後の8月のお盆用と教えられました。賑やかな売り子の呼び声と風鈴の音に耳をすますだけでも、東京の夏を感じます。

hoozuki.jpg

〈浅草寺「ほおずき市」〉

【ポイント② 浅草かっぱ橋本通り 下町七夕まつり】

その入谷と浅草の間をつなぐ道が、「浅草かっぱ橋本通り」。この商店街で、時期的にも朝顔市とほおずき市の間に開催されるのが、「下町七夕まつり」です。真正面にスカイツリーを臨むロケーションのもと、地元の皆さん手作りの七夕飾りがずらりと並びます。お店も地元商店街の皆さんが出店し、通りには様々なパフォーマーが集まります。番組のインターミッションで登場した、針金細工や飴細工の職人さんも七夕まつりで出会いました。syotengai.jpg

〈浅草かっぱ橋本通り「下町七夕まつり」〉

この下町七夕まつりでひときわ人を集めていたのが、昔懐かしい街頭紙芝居。紙芝居師の3代目・森下昌毅さんが、毎年ここで『黄金バット』など往年の名作を披露しています。下町だけあって小さい頃に紙芝居を見た方が多く、大人になってお子さんを連れて訪れ、またお子さんが楽しむという、「記憶」のつながりがありました。紙芝居師の森下さんも、父親の影響で紙芝居を演じています。父の正雄さんは名人として知られましたが、晩年に喉頭ガンの手術で声が出なくなりました。でも、ファンの方が全盛期の正雄さんの演技を録音したテープを送ってくれたため、そのテープを使って口パクで演じ続けたという筋金入りの人です。もちろん、その技は昌毅さんに受け継がれ、思わず引き込まれる名調子を楽しめます。来年の夏はどうぞ、朝顔市、ほおずき市、下町七夕まつりの「3大下町縁日」に足をお運びください。

morishita.jpg

〈街頭紙芝居「黄金バット」を演じる森下昌毅さん〉

 

投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク


カテゴリー

新着記事

ブログ内検索

 

カレンダー

2015年09月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

バックナンバー


RSS

page top