2011年6月 7日

2011年06月07日 (火)

建築好きにはたまらない町・弘前

「近代建築」を担当した高橋です。

弘前はお城の桜や夏のねぷた祭などで有名ですが、最近、建築が好きな人たちの間でも、一度行ってみたい町として話題になることが多いようです。そのわけは、前川國男の作品が初期から晩年まで8つも揃っていて、しかもそのひとつひとつが、各時期の特徴をよく表す名作ばかりということ。

前川國男(1905-1986)といえば、東京文化会館や京都会館など、戦後を代表する建築をいくつも手がけた巨匠です。最も旺盛に作品を生み出したのは60〜70年代。前川に限らずこの時代の建物というのは町にすっかり溶け込んでしまって、あまり意識されない傾向があります。誰もが見ているのに、ちゃんと見ていない建物。

そこに登場した市民グループ「前川國男の建物を大切にする会」は、前川作品の魅力を再発見するため、いろいろな活動を行ってきました。前川が作った空間でアートや音楽のイベントを開いたり、バスツアーを企画したり。戦後すぐの作品《弘前中央高校講堂》の椅子を、会員たちが2年がかりで修理したのも、この建物の良さを周囲に気づかせるきっかけになりました。

 

hiro_01.jpgグループの最近の成果は、番組でもちょっとご覧いただいた手作りの博物館。前川のデビュー作である《木村産業研究所》に、「前川國男プチ博物館」としてオープンしました。建築写真や模型はすべてプロが提供した本格的なもので、かなり見応えがあります。展示デザインには、前川の弟子だった建築家・仲邑孔一さんも協力しました。27才の前川が建てた初々しくもピュアなモダニズム建築の中で、その生涯を振り返るというのも味わい深いものです。

所在地は弘前市大字在府町61番地。かつて武家屋敷が並んでいたという静かな住宅地です。開館は午前8時30分から午後5時まで(月曜〜金曜)。入場無料です。また6月18日までは、毎週土曜・日曜日の午前10時から午後4時まで、会員がガイドを務めます。建物の入口右側に「弘前こぎん研究所」という会社の事務所がありますから、平日はそこに一声かけてから中へ入ってくださいね。

投稿時間:10:20 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク


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