「花を巡る旅」
「花園」を担当した中村裕です。
冒頭に一瞬だけ出てくる富山県の砺波チューリップ公園、東京都立川市の昭和記念公園などは、花園の中にいくつもの家族の幸福な風景があるという感じで、こちらまで幸せな気分になります。最後に登場する福島県福島市の花見山公園を撮影したのは4月の中旬でした。花見山は園主の阿部一郎さんが無料開放している私有地です。この時期の見頃は言うまでもなく桜ですが、桜の他にも、桃、ボケ、レンギョウ、サンシュユ、モクレンそしてツバキなどが、まさに百花繚乱の美しさで咲き誇っていました。父親の代から、花の苗木などを販売する花木農家を営んできた阿部さん。91歳になる今も、広大な山ひとつ分隅々にまで、訪れる人の目を楽しませるために花の苗木を植え続ける姿は、「現代の花咲か爺さん」を彷彿とさせました。
75年の長きに渡って花園作りに精魂を傾けてきた阿部さんと、また違った味わいを見せるのが、北海道オホーツク海からほど近い滝上町に50年かけて高橋武市さんが築いた花園です。そこは、自生する花も都会で人気の園芸品種も、まるで昔から自然にそこに生えているような風情ですが、すべて高橋さんの手による魔法のような花園。ちょっと遠いですが、その魔法をご自分の目で見てみる価値はあると思います。そして、どうせ北海道に出かけるなら、オホーツクからはおよそ百キロの美瑛、富良野まで足を伸ばされたらいかがでしょうか?それまでの花園の概念を変えられてしまうスケールを是非体感していただきたいと思います。育む人の愛情を受けて、毎年咲き、枯れてもまた美しく再生してくる花園...。なぜ、私たちの心に花園は必要なのか?少しだけ思いをめぐらせていただければ幸いです。
投稿時間:15:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク