2017年05月30日 (火)

日本のソウルフードを支えた知多半島

「知多半島」を担当したディレクターの平元です。番組をご覧いただいた方、取材にご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。 

多くの方が「知多半島ってどこ?」という印象かと思います。愛知県名古屋市の南に突き出た知多半島は、伊勢湾と三河湾に挟まれた愛知県民には親しみのある場所です。そして、日本のほぼ真ん中という地の利を生かして様々な産業が発展してきた歴史があります。今では、三方を海に囲まれているということで、夏には海水浴や海の幸を堪能できるスポットがたくさん!そして、実は今はあたり前になっている日本の文化や産業に、知多半島が大きな影響を与えていたことも取材で分かりました。「急須でお茶を飲む習慣」、「戦後の農業改革のモデルケースになった用水路計画」など、今生きる私たちの暮らしの陰の立役者だったのです。そんな知多半島を全国の人に知ってもらいたいと、波乱万丈の歴史と魅力的な文化や風習を番組でご紹介させていただきました。 

chita1.jpg今回は、そんな知多半島の魅力を身近に感じていただける、ある調味料をご紹介したいと思います。

それは、「粕酢」です。実は、知多半島で作られたこのお酢が我々の大好きな「お寿司」をソウルフードにまでした歴史があるんです。

chita2.jpg握り寿司が庶民の味になったのは、江戸時代後期のこと。それまでは、シャリに使われていた米酢が高価だったため、寿司はご馳走でした。そこに登場したのが、知多半島・半田市の酒蔵が作った「粕酢」です。酒を搾ったあとの残り粕を使うことで安価な酢を作ることに成功。日本のほぼ真ん中という知多半島独自の地の利も生かし、江戸に早く大量に輸出することで、江戸っ子たちも安い寿司を食べることができたというわけです。

chita3.JPGと、ここまでは番組でもご紹介したのですが、実はこの粕酢は今でもいくつかの調味料メーカーで作られており、粕酢を使ったお寿司も食べることができます。粕酢の特徴は、酒粕を3年ほど寝かせて熟成させることで生まれる芳醇な香り。そして、独特の赤い色から、粕酢のことを“赤酢”とも言うそうです。東京や大阪などを中心に、この粕酢を使った寿司屋さんがたくさんあります。でも、せっかくなら、握り寿司の立役者、知多半島で作られた粕酢を使ったお寿司を食べてみてはいかがでしょうか?知多半島・武豊町のお寿司屋さんでは、同じく知多半島・半田市で作られている粕酢を作ったお寿司を提供しています。コクが強いので、すべてのお寿司に使うわけではなく、脂がのったネタに使われることが多いとのこと。実際にいただくと、普段食べているお寿司と違って、シャリがしっかり主張しています!米酢を使うシャリと違い、砂糖をあまり足さないので、酸っぱさと香りが口の中に広がります。ただ、不思議なことに魚の味も引き立って、絶妙な味わいなのです。江戸時代、握り寿司を陰から支えた粕酢。ぜひ知多半島の味としてご賞味あれ。 

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さらに、知多半島が誇るオススメ観光地もご紹介させていただきます。愛知県南知多町の日間賀島です。知多半島の南端から約2km。高速船やカーフェリー10~20分ほどと、簡単に行くことができます。

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知多半島は、年間の降水量が少なく、高い山も大きな川もなく、水不足に悩まされてきた土地でした。そんな状況を一変させたのが、昭和36年に完成した「愛知用水」。地元民の訴えから国家プロジェクトにまでなった用水路計画で、水源である岐阜県木曽川から知多半島の南端まで112kmに渡る日本最大級の用水路です。愛知用水のおかげで、農業はもちろん、生活用水にも困っていた知多半島の人々の暮らしは一気に改善されたのでした。

番組では、愛知用水の水が届くまで、飲み水すらままならなかった場所の一つとして、知多半島の南端から2kmほどの「日間賀島」をご紹介しました。この島にも、愛知用水が完成した翌年、昭和37年に、海底のパイプを通って水が届きました。実は、日間賀島では、愛知用水のおかげで生活用水だけでなく、島の産業が大きく発展した歴史もあります。

愛知用水が運んだのは、もちろん真水。そこで日間賀島の漁師たちは、ある産業に手を付け始めます。「海苔養殖」です。海苔を洗ったり、成形する際には、大量の真水が必要で、愛知用水の水を手に入れたおかげで、当時需要が多かった海苔養殖を始めることができたのです。そして、海苔養殖で潤った日間賀島は、三河湾の魚介や離島ならではの景色を生かし、観光業が盛んになります。今では、年間を通して美味しいタコが食べられる「タコの島」として有名です。タコのモニュメントやタコを祀った神社、極めつけは、タコの姿を模した交番まで…。

chita6.JPGもちろんタコ料理は、はずせません。特にオススメなのが、「タコの姿茹で」。島の民宿では、獲れたてのタコを茹でて出してくれます。スーパーマーケットなどで買うタコとは、弾力や風味は別格です。ぜひ、知多半島は、日間賀島に遊びにいってみてください。

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投稿時間:11:00


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