人情にあふれた街・川崎
「川崎」を担当した土屋です。
日本の高度経済成長を支えた工業都市・川崎の物語、いかがだったでしょうか?
「川崎って新日本風土記らしくないよね」、川崎を担当することになったと周囲に話すたびに返ってきた反応です。
確かに、大工場が林立する重工業の街のイメージが根強く、いまだに公害の街という語られ方をすることも多いのが川崎。多くの方が抱く番組のイメージとはちょっと違っているのかもしれません。しかし、取材をすればするほど、川崎に暮らす人たちが長い年月をかけて作り上げた文化には、「風土記」に相応しい奥深さがあると確信できるようになってきました。
昭和の下町の風情や人情味がいまだに溢れているこの街は、隣接する東京や横浜とは違った素晴らしさに満ちあふれています。
番組をご覧になった方々にも、そんな川崎の隠れた魅力を感じて頂けたら幸いです。
★私のおすすめポイント
1)多摩川
番組の中でも紹介しましたが、多摩川沿いには、土手の上をのんびりと散歩しながら風景を楽しめるスポットがいくつもあります。
【川崎競馬の練習馬場】
多摩川の河川敷に広がる川崎競馬の練習馬場。毎日、午前2時30分頃から午前9時頃まで練習しています。土手の上からなら誰でも調教の様子を見学することができます。早起きしてぜひ見に行ってください。(ただし、川崎競馬占有敷地内への立入はできません)
写真左の白い服の騎手は、番組にも出演して頂いた瀧川寿希也騎手。
今年でまだデビュー2年目ですが、画家の平野さんも、その乗りっぷりの良さから何度も絵のモデルにした期待の若手です。川崎生まれの地元っ子、これから先が楽しみです。
練習馬場へのアクセスは、JR川崎駅西口から市バス〈川73 上平間行き〉に乗って妙光寺前停留所で下車、徒歩3分ほどです。
そして、番組内では紹介できなかったもう一つのおすすめスポットが…。
【羽田空港が見える多摩川の土手】
多摩川の河口から約1km上流の土手からは、対岸の羽田空港がよく見えます。この土手は、ジョギングをしたりサイクリングをしたりする市民の憩いの場所。しかし、知る人ぞ知る穴場的な存在です。夕暮れ時には、とても美しい夕陽を見ることもできます。
【多摩川土手から見る夕陽】
アクセスはJR川崎駅東口から出る臨港バス〈川02 殿町・浮島橋行き〉に乗って殿町三丁目停留所下車。そこから徒歩3分の殿町第2公園を目指してください。
2)JR川崎駅周辺の路上ライブ
番組の中では、川崎生まれの三姉妹アーティスト「ちょっキんず」を紹介しましたが、川崎にはその他にも路上ライブを中心に活動するアーティストが数多くいます。駅周辺には何カ所か川崎市公認のライブ会場があり、週末は多くのファンや市民が気軽に音楽に親しんでいます。
【JR川崎駅東口いさご通りの街角ミュージック会場】
特設ステージの前には椅子や物販のテントなども用意されています。固定ファンがいてかなり動員力があるアーティスもちらほら。無料の路上ライブです。
【JR川崎駅西口のミューザ川崎前のライブ会場】
こちらはJR川崎駅西口のすぐそばにあるミューザ川崎シンフォニーホール前の路上ライブ会場。若手ミュージシャンをバックアップしようという環境が川崎にはあり、そうした流れの中から、ちょっキんずも生まれてきました。
市公認のライブや音楽イベントについては、「音楽のまち・かわさき(http://www.ongakunomachi.jp)」でネット検索すると最新のカレンダーを見ることができます。
週末はぜひ川崎で音楽を堪能してください。
3)川崎大師門前の縁起物
川崎大師門前の仲見世通りと表参道には、数多くの土産物屋が軒を連ねています。
【仲見世通りの賑わい】
土産物の多くは、お大師様のご利益にあやかったもの。いくつかご紹介しましょう。
【飴切りの実演販売】
仲見世通りに入ってすぐに響き渡るのは、飴をトントン切るリズミカルな音と元気の良い売り子の声。この参道の賑わいは環境庁の「残したい日本の音風景100選」にも選ばれています。飴切りは単なるパフォーマンスではなく、厄除け大師にあやかって「厄を切る」という意味もあります。
切っている道具は包丁に見えますが、実は鉈(なた)、しかも刃を落としてあります。刃の鋭さで切っているのではなく、瞬間的な力加減で叩き落としているというのが正確な表現。粘りがある飴は、そうしないと刃にくっついて切れないそうです。
【店頭に並ぶ縁起物のだるま】
門前を歩いていて目立つのは、だるま店の多さ。縁起物の代表「厄除け・開運だるま」です。
もともと疱瘡(天然痘)除けの力があると信じられていて、子どもの流行病の見舞いの品として広がっていったようです。現在では、厄除けをはじめ、家内安全・商売繁盛・事業繁栄・選挙必勝など、様々な目標達成祈願の縁起物として親しまれています。1年ごとに一廻り大きなだるまに買い代えていくのが慣習です。
病除けの力があると信じられていた赤いだるまが本来の色でしたが、現在では風水を取り入れたカラーだるまも人気を呼んでいます。
【川崎大師のだるま煎餅】
だるまの厄除・開運のご利益にあやかったお菓子、それがだるま煎餅です。大きなものから小さなものまで、いろいろなサイズが売られています。
写真は仲見世通りの煎餅店ですが、表参道にあるベーカリーでは、だるま型をしたサブレー、だるまサブレーも売られており、人気のお土産物として親しまれています。
川崎大師で開かれている十年に一度の大開帳は5月31日で終わってしまいますが、川崎にはその他にも魅力的な場所がたくさんあります。
人情に溢れた街・川崎へぜひお出かけください。
やっぱ川崎!
再放送もぜひご覧下さい!
投稿時間:15:35