桜前線を追いかけて
「さくら 十二の物語」担当した坂本です。
日本全国、桜と人々の物語いかがだったでしょうか。
見ている方々にも自分だけの桜を思い起こして欲しいという思いで制作しました。
2013年の春は、桜前線に追いつき追い抜き、まさに風土に翻弄される日々でした。
この番組をご覧いただいている頃は、昨年の開花がいつもより早かった(北は遅かった)ことや爆弾低気圧が来て一夜にして桜が吹き飛んだことなどお忘れのことだと思いますが、私たちスタッフにとっては連日必死な桜旅、桜を満喫する余裕もなく次の地、次の地へと転戦しておりました。取材をさせていただいた方々にも「咲いてますか?」「どうですか?」としょっちゅう電話して迷惑のかけっ放しでした。この場を借りてお詫びします。
今回の旅で初めて知ったことがいくつかあります。
九州出身の私が思っていた桜と、冬が長い地域の人たちにとっての桜とは、桜の見え方や感じ方が違うことでした。私にとっての桜は卒業式や上京した「さよなら」や旅立ちのシンボルでした。でも冬が長い地域の人々にとっての春は、心からの喜びの時であり、誰もが待ち望む花でした。そうやって番組を思い起こしていただけると、西の方、北の方では受け止め方が違っていたかと思います。
そしてもうひとつ、桜が咲かない年があるということ。
2013年は開花が早かったせいか全国的にいまひとつの咲きっぷりで「本当はもっとね」と各地で聞いていて、次の取材場所にたどり着くまで(着いても)ハラハラドキドキの連続でした。
そんな中、釜石の桜舞太鼓の皆さんがこう話してくれました。
「普段は当たり前だと思ってすごしていることが、突然失われることがある。だから花見をしたいなら自粛とか考えないで“ちゃんと”花見して欲しい。ちゃんと今その時をおもいっきり楽しんで欲しい」と。
桜の元では、誰もがとても穏やかでそこらじゅうに笑顔と愛情がいっぱいでした。他にそんな花があるでしょうか。あなたにはどんな桜の物語がありますか?
投稿時間:10:42