2012年04月17日 (火)

吉野・熊野の恵み

「吉野熊野」を担当した川口です。1年にわたる取材で垣間見えてきた、吉野熊野にまつわる人々の物語。それは1300年以上受け継がれてきた、伝統ある、歴史深い物語でした。 1300年間、人々の手によって受け継がれてきた吉野の桜。1300年続く荒行・大峰奥駈け修行に参加し、“何か”を見つけようとする人々。その修行者を宿坊で迎える1300年続く鬼の末裔、などなど・・・。時空を超えた人々の営みが、吉野熊野には根付いていました。そうした、歴史が積み重ねられる瞬間、瞬間に立ち会ったことで、自分の人生の歴史を積み重ねる瞬間も、これまで以上に大切にしていきたいなと感じることができました。


人生観にも影響を及ぼした(大げさ過ぎ!?)今回の取材でのおすすめは「湯の峰温泉」です。世界遺産で知られる熊野古道・熊野詣がその昔、民衆の間で流行するきっかけとなった温泉です。場所は、和歌山県田辺市本宮町、熊野参詣道内にあります。15ほどの旅館が軒を連ねる温泉街で、2箇所ある共同浴場のうち「つぼ湯」は、日本最古の共同浴場といわれ、小屋の中には2~3人程が入れる岩穴があり、そこに温泉が湧いています。ここのお湯は「小栗判官物語」で有名な、餓鬼阿弥となった小栗が元の人間の姿へと復活を果たした伝説のお湯でもあります。近くには「湯筒」と呼ばれる源泉自噴口があります。そこから出るお湯は温度が高いため、地元の人が温泉たまごや茹で野菜を作る光景が見られました。(もちろん観光客が作っても大丈夫です)。残念ながら、取材スケジュールの都合で「つぼ湯」にも「温泉たまご」にもありつけませんでしたが、必ず、もう一度行って体験したいと思います。


しかし、私を含め撮影クルーが泊まった宿(小栗屋)では、「つぼ湯」を使った料理を食べられました! 「つぼ湯」を汲み、そのお湯で湯豆腐を頂いたのです。ここの宿では食後のコーヒーにも使われるこのお湯は、飲むことで胃腸の病気などにも効能があると言われているそうです。その評判を聞きつけ、遠方からわざわざお湯をもらいに訪ね来るお客もいるんだとか。ご主人がご好意で「お湯」をペットボトルに入れて、お土産にと下さりました。持ち帰り、しっかりと熱燗にして飲み干しました!ごちそうさまです! 浸かっても飲んでも身体に良いとされる「湯の峰温泉」。歴史がつくられる舞台ウラにはきっとこうした万人を喜ばせる“恵み”が溢れている気がします。
 

投稿時間:10:05


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