NHK・SDGsテーマソング 「ツバメ」オリジナルミュージックビデオ大募集!

「Nコンスキルアップ講座」のダイジェスト動画を公開します!

「第70回NHK杯全国高校放送コンテスト」に向け、2023年3月27日(月)にNHK職員によるスキルアップ講座を開催しました。全国から約3,400人の皆さんに参加いただきありがとうございました。

放送現場の第一線で活躍する職員を講師に、番組制作のポイント、撮影のコツ、アナウンス・朗読の練習方法等、生徒の皆さんが抱えている疑問や悩みの解決につながる具体的なノウハウをレクチャーしました。

こちらのページでは、講座の様子をダイジェスト動画でお届けします。
また、当日チャットに寄せられた質問の一部も、講師からの回答とともにご紹介します。
ぜひ、今後の作品づくり、コンテストに向けた練習の参考にしてください!

番組部門 ドキュメント編
<講師> NHKメディア総局クリエイターセンター 
東森 勇二 チーフディレクター
主な制作番組:「プロフェッショナル 仕事の流儀」

Q. 取材をしていく中でどんどんやりたいことが増えた時どう整理していますか?

A. そういうときは「原点に立ち戻る」ことが大切。自分が何でこの企画をやろうと思ったのか思い返してみてください。今やろうとしていることが必要なのか分かるはずです。コンテンツとしてはあれもこれも広く伝えるよりも、1つのものを深く伝えるイメージの方が個性的だし多くの人に響くものになるのではと思います。

Q. 伝えたいことは最初と最後どちらに持ってきますか?

A. 構成の基本である「起承転結」にならい、最後まで見ると伝えたいことが浮かび上がってくるという構造の番組が多いです。しかし、セオリーを裏切り、結論を最初に持ってくる構成も魅力的です。どちらの方が興味が途切れることなく最後まで見てもらえるか。常に視聴者の気持ちを想像しながら、その番組にとってベストな構成を考えてみてください。

Q. 取材を終えた後ドキュメントの構成を組みなおすときに、何から始めれば良いでしょうか?

A. まずは、取材や撮影の過程で印象に残った場面や言葉を思い返すことをおすすめします。メモや撮影素材を見なくても鮮明に思い出せることは、おそらく、構成の核になる大事な要素になりえるはずです。そして次に、なぜそれが心に残っているかを掘り下げてみてください。
構成は論理も大切ですが、直感も大事にしてみるとより楽しめると思います。

番組部門 ドラマ編
<講師> NHKメディア総局クリエイターセンター 
梶原 登城 チーフディレクター
主な制作番組:大河ドラマ「龍馬伝」、朝ドラ「マッサン」「おかえりモネ」

Q. どこからドラマのインスピレーションをもらっていますか?

A. 歩くのが好きでよく散歩をするのですが、歩く速度でみえるものがあって、テンポ・リズムでインスピレーションが降りてくることが多いです。具体的に言いますと、映画とかドラマをたくさん見ると良いと思います。名作と言われているもの、ジャンル問わず好きなもの、個人的な興味があるものを観るとオリジナリティにつながるのではないでしょうか。

Q. オリジナルのドラマのタイトルはどうやって決めていますか。何かコツなどはありますか。

A. 直感で決めていますが、耳や目に残りやすいインパクトとテーマ性を大事にしています。
2021年に制作したドラマ『こもりびと』は、8050問題をテーマにした父子ドラマですが、引きこもりの方々がネガティブな印象を持たれないよう、当事者(子)目線での「籠る人」と親目線での「子を守る人」というWミーニングを意識しました。

Q. 企画段階はドキュメントと似ているように感じました。ドキュメントにするかドラマにするかどのように決めているか教えていただきたいです。

A. 「問題意識から始まる」場合においてはドキュメントとドラマは似ているのかもしれませんが表現方法は真逆です。僕はドラマディレクターなので前提がドラマでの発想ですが、あるネタをつかんだ時、リアルの中にある真実を追求したいのか、あるいはフィクションによるエンタメで人を感動させたいのかで選択してみるのもいいかもしれません。

1 番組部門 Ⅲ.制作技術編
<講師> 撮影:NHK放送技術局制作技術センター 
湯村 武士 職員
音声:NHK放送技術局制作技術センター 
前川 陽州 職員
<撮影>

Q. ドキュメント撮影の際、取材相手の方の邪魔にならない距離がよくわからず、遠くから撮影した結果、良い絵が撮れない時があります。解決策はありますか?

A. 距離感って難しいですよね。普段、人と接するとき(カメラがないとき)に自分がいる位置を意識すると良いと思います。カメラなしでも違和感のないところが基本の位置になります。どうしても距離をとらなければいけないときは、機材を選定できるのであれば遠くから望遠で撮っても揺れない機能がついているものを使う、三脚を使う、などすると揺れづらくなります。

Q. スポーツなどで激しく動いている人をきれいに撮るコツを教えてください。

A. サッカーや野球では映像を安定させるために三脚を使うことが多いです。サイズをアップにするとフォローが難しくなりますので、相手がどう動くかを予想しながらカメラを振ります。手振れ補正のある小型カメラをもって、近くで一緒に動くと躍動感のある画を撮ることもできます。手軽になったハイスピード撮影も効果的です。

<音声>

Q. どうしても、ノイズが入ってしまうのですが、複数の人の音声を綺麗にとるにはどうすればいいですか?

A. 現場に何かノイズ源がある場合と仮定して回答します。まずはノイズ源から離れる・遮断するなどが出来るのであれば、優先的に行うのが良いと思います。あとは複数のマイクの音を足していくと、その分、被りのノイズも足されてしまうので、喋っている人以外のマイクは少し下げておくなどノイズを極力抑える工夫をするとよいと思います。

Q. ドラマの音声をきれいに録るには、ガンマイクとアフレコをどう使い分ければ良いか教えて下さい。

A. テレビドラマの現場ではガンマイクや衣装の中に仕込んだピンマイクを使用して、基本的に映像と一緒に現場で台詞を録ります。その方が映像と合う音声が録れるからです。ただ、収録環境が悪い場合などはアフレコで録ります。その場合、映像を撮ってからなるべく間を置かず、役者さんが演技の感覚を忘れないうちにアフレコすることが望ましいです。

アナウンス・朗読部門
<講師> NHKアナウンス室 
豊原 謙二郎 アナウンサー
主な出演番組:「サンデースポーツ」毎週(日)午後9時50分~10時40分 (総合)
アナウンス編

Q. マイクに声が乗るように発声するのが良いと審査員の方がおっしゃっていましたが、読み下しに集中すると元気な明るいアナウンスができません。どうしたらよいですか。

A. 自分の得意な音域で発声できるよう反復練習することで乗り越えられます。また、原稿を書くテクニックでいうと、一文を短くすると良いです。意味が伝わるなら二文に分けると、発声しやすくなります。

Q. アナウンスをするときに、ゆっくり読もうとしても、焦ってしまいます。焦らずゆっくり読むコツを教えてください。

A. 一つは「上手にやろう」と思いすぎないこと。噛まずに流ちょうに、と思いすぎると読みが「走る」傾向があります。「上手く」より「しっかり届ける」意識を持ってください。もう一つは、漢字全てにルビがふってあると想像して、そのルビ一文字一文字を思い浮かべながら読んでいく。そうすると自然に適度なスピードに落ち着いていくと思いますよ。

朗読編

Q. 放送新人大会のとき審査員の方から「朗読にふさわしい場面を抽出しましょう」とアドバイスをいただいたのですが、どういった場面が朗読にふさわしいのですか?

A. 自分の特徴(声が高くて明るい表現が得意なのか、低くて暗い感じの表現が得意なのか…)に合った場面を選ぶと自分の良さが際立ちます。あるいは自分がいちばん共感できる・入り込める部分を選ぶと良いのではないでしょうか。正解があるわけではなく人によって違うと思うので、自分の強みを考えてみてください。

Q. セリフで「演じる」と「伝える」の違いを教えてください。

A. これは持論ですが、立ち位置が違うと思います。朗読というのはあくまで第3者の立場で物語を紡いでいくものだと思います。ですので「演じる」=「その役になりきる」ということですから、それは第3者の立ち位置を放棄していることになりますよね。心情などにはもちろん寄り添いつつもあくまで第3者として、そのセリフを読む、その違いではないかと思います。

Q. セリフと地の読み方の違いを教えてください。

A. どの立場に寄り添うのか、の違いだと思います。地の文は多くは、作者の立ち位置からの表現。ときに説明であったり、情景描写であったりします。その意図に沿って表現すべきです。一方、セリフは登場人物の発する言葉や心情ですよね。ですからその心情や人物像に寄り添って表現していく、ということだと思います。おのずと違ってきますよね?