イベント探訪ブログ N:KIKOU

【えぬきこう】
読めば、あなたも参加したくなるイベント紀行ブログ

冬のニセコでアイヌの星物語に想いを馳せる
「星降る夜はこの丘で ~夜空に浮かぶカムイたちの物語~」


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皆さんは星にまつわるアイヌの伝承が数多くあることをご存知でしょうか。

NHK札幌放送局では、アイヌの人々の間で語り継がれてきた“星にまつわる物語”を、人気声優による朗読とアイヌ民族の伝統楽器の生演奏でお届けするイベントを実施しました。

夜空に浮かぶカムイたちの物語
イベントで読み上げた物語は、昭和20年代からおよそ20年かけて、旭川出身の末岡外美夫さんによるアイヌの古老たち400人以上への聞き取りによって丹念に集められました。『アイヌの星』『人間達(アイヌタリ)のみた星座と伝承』の2冊にまとめられています。

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ここで少しだけご紹介。
例えば北斗七星は、北海道でも1年を通して北の空に見ることのできる星座です。呼び名は「チヌカルクル」…われらが見るカムイ(神様)という意味です。山の中で方角を知るだけでなく、様々な造形も連想されていました。

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本州にも伝わるひしゃくだけではなく、弓と矢や天上界で一休みするカムイに見立てたり、踊りを踊るひとがぐるぐる回ることから「ウポポ・ノチウ(輪舞する星)」と呼んだ地域もあるそうです。
他にも、しし座の一等星を「ヘロキノチウ(ニシンの星)」と呼び、夕暮れ時に上るとニシンの群れがやってくる(春が来る)合図ととらえたり、秋に東の空に浮かぶアンドロメダ銀河を、雪虫(雪が降る前に道内に大量発生するアブラムシ)に見立てて冬の到来やその年の雪の量を占ったりしていたといいます。
アイヌの人々は生活に即した豊かな知恵や想像を、星の世界に重ねていたのです。
イベントでは『人間達(アイヌタリ)のみた星座と伝承』に収録されているこうした“星空にまつわる物語”をいくつかを抜粋し、可能なかぎりそのままの形で読み上げました。

耳からも目からも癒される時間を
さて、会場となったのはニセコ町。雄大な羊蹄山をバックに、澄んだ星空が綺麗に見える町です。イベントはニセコ町とニセコ町教育委員会にご後援いただき、町の中心にあるニセコ町民センターにて行われました。

hoshi9.png朗読したのは、人気声優の細谷佳正さんと五十嵐裕美さん。群れのリーダーを務める勇敢なオスのエゾシカ「ソラ」を細谷さんが、好奇心旺盛で元気でやんちゃなメスのオオカミ「ユキ」を
五十嵐さんが演じました。朗読中はアイヌ・アート・プロジェクトの皆さんに、伝統楽器(トンコリ、カチョ)で生演奏をしていただきました。

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真ん中のスクリーンには、8Kプロジェクターから映像を投影しています。BSプレミアム・
BS4Kで放送中の「コズミック フロント」で撮影した北海道の星空の映像をふんだんに使用し、「耳も目も幸せ~♡」なイベントを目指しました。

ご来場いただいた方からは、「ストーリーもわかりやすく、アイヌや星について知ることが出来てよかった」「幼馴染のソラとユキの優しい世界がずっと続いてほしい」という声をたくさんいただきました。大雪の中足を運んでくださった皆さま、ありがとうございました!

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星がきれいに見える町 ニセコ町
イベントにあわせて、ニセコ町、ニセコリゾート観光協会、そしてニセコ町在住の星空案内人・
渡辺浩樹さんの協力を得て「ニセコ星空MAP」を作成しました。ニセコエリアで特に星がきれいに見えるおすすめスポットがまとめられています。
ブログを読んでくださった皆さんに特別にお裾分け!暖かくなったらニセコ町に足を運んで満天の星空に癒されてみてください。

★ニセコ星空MAP★


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(お知らせ)2022年4月から、より地域に密着したニュース番組が放送開始!
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